全力で手綱を引っ張っるだけじゃ問題は解決しないんだ
二人で食事をするのが辛い上司がいる。
ふらっと入ったイタリアン、僕はこの人から信頼されていないのか、いつだって仕切らせてはもらえない。何故かコースはオーダーせず、アラカルトで前菜からコース構成でがっつり砂糖山盛りのエスプレッソまでをコンプリートしないと気が済まない人だ。アラカルトはだいたいどの店もボリューム多めに設定しているから、コースの皿と比較すると1.5~2倍の盛りはあるだろう。その上シェア厳禁。おのずと通常の1.5倍以上は食べる計算だ。
小料理屋なんかに行っても店に失礼だからとオーダーは多めにする。僕らの父親世代にはテーブルが貧相なのはよくない!って、余っても皿の数だけは多めに用意しろという頑固じじいは結構存在した。若いもんは食って当然という勘違いを引きずったままのそんな昭和な人だった。
で、だれが一番不幸かと言うと、山盛りの餌を与えられる僕なわけだ。旨い料理を「好きなだけ」ではなく「良いと言われるまで必要以上に」だ。そして悲しいことに性格上食べ物を残せない…
僕は「満腹」と「満足した食事」は天地ほども違うと常々思っている。
だいたい日本人は全然合理的じゃない。大量に食って酒飲んで健康診断でマーキングされて大量の薬飲んでこれが身体に良い食べ物だからとまた摂取して足し算しすぎなんだよ。
一度やんわりと本当にそれほど大食いではないということは伝えたのだが、若いもんの遠慮というラベリングをされるだけに終わった。そうやって毎回大量の太田胃散をディジェスティーヴォとして摂取する。
※ディジェスティーヴォ(食後酒)
こんなに誰かとの食事が辛いと思ったことはない。
だが、この苦悩を直接アプローチすることは危険だ。同じ職場で働く者である以上、今後の関係にヒビが入っても問題だ。なにしろ上司だ。ここは第三者の介入を…そうだ!あの人が厭な顔できない少し年配の誰か!柔軟な対応をしてくれそうな誰かを誘って食事に行こう。僕って頭いいじゃん!
ところが僕は愚かで致命的なミスを犯した事を思い知らされる。
「私はこう見えて元相撲部なんだよ~」
嬉しいはずのキラキライタリアンが、鍛え抜かれた大食らい達によって、力士の食卓になってしまった。
体育会系出身者キライ…
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