見出し画像

【珍しい存在?】上場企業の葬儀社・葬儀関連会社とは?

数多くの上場の葬儀社は世の中にありますが、葬祭業は「平成の時代になってから初めて上場する葬儀社」が現れた近年まで上場企業が存在しないサービス業でした。

理由としては、
①葬儀は「地場産業」であり特定の地域で活動を行えばよく、手広く展開を行う会社は存在しなかったこと。
②上場を行ってまで社会性を高めようとする企業が存在していなかったこと。
③上場を行わなくても一般の方から資金を集められるスキームがあること(互助会制度など)
が理由としてあった為、上場の葬儀社は存在をしていなかったと考えられます。

近年は全国展開を掲げ、上場を行っている葬儀社も増えてきましたが、まだまだ上場を目指すような法人が少ない業界です。

日本で一番最初に上場を行った会社「公益社」

株式会社公益社(現在の燦ホールディングス)が日本で一番最初に上場を行った葬儀社です。

公益社は1994年に当時の大阪証券取引所二部に上場を行いました。

現在では持株会社となり東証一部「燦ホールディングス」が運営、子会社として公益社のほか、山陰の葬儀社「葬仙」、兵庫県明石市の葬儀社「タルイ」をはじめ、葬儀社や葬儀関連会社が連結されております。

元々大阪市中央区北浜の古い葬儀社であり、特定の一族で経営を行っていた過去があり、歴史も古く約100年の歴史がある老舗の葬儀社です。

現在全国で多くの「公益社」が存在しますが、資本関係がある法人はほとんどなく、「東京」「神奈川」「大阪」「兵庫」「奈良」に所在する公益社が燦ホールディングスの経営傘下です。

また京都にある公益社(京都公益社)は燦ホールディングスの株保有を行っております。

それ以外の法人が名乗っている「公益社」は燦ホールディングスとは関係のない法人となります。

東証一部上場企業:株式会社ティア

同じ東証一部上場企業として、比較をされるのが「葬儀会館ティア」となります。

ティアは1997年に名古屋市中川区で創業。

1998年に1号会館「ティア中川」を出店させ、以降名古屋市内を中心に店舗展開をさせ、現在では関東・東海・関西に120店舗以上を出店されている葬儀社です。

フランチャイズ(FC)にて、葬儀会館ティアを展開させていることも特徴であり、関東・東海・関西に多くのFC店がございます。

大手のFCでは大阪の大手私鉄「南海鉄道」が2005年にFC店:ティア橋本をオープンさせ、大阪府下に展開を行っております。

起業から25年の間に店舗数や営業エリアをここまで広げたことは、全国の葬儀社の中でも異質な存在です。

神奈川県の互助会:サン・ライフ

神奈川県と一部東京都内にて葬儀会館の運営を行っている葬儀社となり、JASDAQに上場を行っております。

この企業は法人化は1970年になりますが、元々は戦前から存在していた企業です。

冠婚葬祭互助会の組織の会社であり、互助会運営以外にも介護事業なども行っております。

また「冠婚葬祭の専門学校の運営」も行っており、婚礼・葬祭業を志す若い方への専門学校として事業を行っております。

神奈川県の互助会:平安レイサービス

平安レイサービスも神奈川県が地場の葬儀社となり、こちらもサン・ライフ同様「冠婚葬祭互助会」です。

神奈川県の湘南地域で多く展開を行い、カルチャーBONDS、湘和会堂などの屋号を複数持ち、運営を行っております。

平安レイサービスも東証JASDAQに上場を行っております。

神奈川県は上場を行っている会社が2法人あり、元々葬儀会館も多く競合も多い地域です。

家族葬のファミーユを運営する「きずなホールディングス」

家族葬のファミーユを運営する会社がきずなホールディングスです。

きずなホールディングスは東証マザーズの上場企業であり、「葬儀の再生は日本の再生」を会社のスローガンにしております。

「家族葬のファミーユ」という屋号の方が一般の方には馴染みがあり、全国展開を行う店舗の先駆けと言われております。

「家族葬」という言葉の認知が広がったきっかけの葬儀社の一つです。

近年は「家族葬のファミーユ」以外にもM&Aで、京都府の花駒、地域の葬儀社を傘下に入れる方針を行っております。

東京23区の火葬場運営会社:東京博善を子会社に持つ「廣済堂」

印刷事業を行っている東証一部の企業「廣済堂」ですが、子会社で「東京博善株式会社」という「東京23区内で火葬場運営を行う会社」を連結しております。

品川区:桐ヶ谷斎場
渋谷区:代々幡斎場
杉並区:堀ノ内斎場
新宿区:落合斎場
荒川区:町屋斎場
葛飾区:四ツ木斎場

これら6つの火葬場運営を東京博善株式会社で行っており、葬儀場も併設されているため、毎日多くの方の葬儀が執り行われております。

元々東京23区の火葬料金は日本一高額と言われ、2021年1月に値上げを行い、現在の料金体系となっております。

葛飾区の四ツ木斎場には、日本一使用料金が高い火葬炉「貴賓室」がございます。

運営の現状として、利益が本業の印刷業より、子会社の東京博善株式会社が運営する火葬事業の方が良い状態です。

日本では火葬場はほとんどが「公営斎場」になるため、東京23区は全国でも民間企業が火葬場運営を行う特殊な地域となります。

なぜ葬祭業は上場企業が「少ないのか」

様々な理由が考えられますが、葬祭業は元々、

【上場を行う以外に資金を集める術「互助会制度」がある】のが大きな理由の一つです。

上場を行えば、運営資金を集めることが出来るメリットがあります。

しかし、基本運営方針について「株主」を無視することはできません。

冠婚葬祭における「互助会制度」は登録を行った消費者より「会費を月額」などで集め、条件はありますが「集めた資金を運営資金に使用しても良い」というメリットがあります。

元々葬祭業は「家業」で行う会社が多かったので、株主に色々な人が関わるより、経営陣が経営権を掌握し、資金を集められる「互助会制度」を多用する会社が多かったのではないでしょうか。

なお互助会は「許認可制」なので、現在では簡単に互助会を作ることはできません。

【葬祭業は地場産業】

元々葬祭業は「地場産業」であったことも影響しています。

地域により葬送文化が異なり、葬儀に必要な費用も異なります。

他所の地域に積極的な進出をしなくても、自社のテリトリーを守ることに徹すれば、売上と地域の信用を確保できる業界でした。

現在では、積極的出店やM&Aを繰り返し、営業エリアを広げている葬儀社が増えたため、地元の基盤を守るだけでは運営は上手くいかなくなっています。

【不透明な料金体系・繋がりがあった】

表には出来ないような、不透明な料金体系、取引先との交流があったことも、上場企業が出てこなかった理由の一つです。

上場を行うことは、企業の透明性を発信することです。

かつての葬儀社は、様々な利害関係者との癒着があったことも事実です。

このような世間に発信できるような業界ではなかったからこそ、一部の葬儀社はこの危険性に気が付き、積極的に消費者に発信を行いました。

その結果、上場を果たし、日本有数の規模になっている葬儀社もあります。

悪しき業界だったからこそ信用を作る

上場するしないに関わらず「葬儀業界の透明性」を追求することが私の使命であると感じております。

葬儀業界はまだまだ改善を行えることがございます。

これからも高齢者人口が増え、死亡人口も増えていく以上、誰もが身内の葬儀・終活を意識する時代が来ています。

必要なことだからこそ、葬儀業界は真摯に向き合い、正しい行いと発信をする必要があると感じております😌

こちらは主に寺院、介護施設、行政への寄付等、またコミュニティ運営費として活用させて頂きます😌