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ベンチャー企業の資金調達のその後 〜 チョウシ・チアーズ株式会社の成長戦略インタビュー 〜後編

こんにちは、FUNDINNOのまとめ編集部のハネコです!
FUNDINNOで資金調達したベンチャー企業の”その後”に迫る本企画。
今回は、2022年9月に資金調達を果たしたチョウシ・チアーズ株式会社 代表取締役 佐久間快枝(さくま・よしえ)さんのインタビュー後編をお届けします。

第1回目インタビューはこちらから

2022年当時のFUNDINNOで資金調達した際の募集ページはこちらです。


資金調達のその後をインタビュー

今後の事業展開~ファンコミュニティを通じて「地域に愛される100年ブランド」を目指す~

チョウシ・チアーズ社の今後の事業展開についてお聞きしました。

ーー 最近はWORLD BEER AWARDS 2023の金賞を受賞された「成田空港エール」など、コラボ商品の開発も進んでいるようですね!
はい、OEMビールが好調で事業の柱になりつつあります。成田空港さんとのコラボのきっかけは、コロナ禍に成田空港のオンライン見学ツアーに登壇依頼をいただいたことです。何度かご一緒させていただいているうちに、担当者の方が「コロナで利用客が減ってしまい本当に大変なんです」とお話ししてくださって。空港って行くだけでワクワクしますし、飛行機を見ながら全国各地の美味しいビールが飲めたら楽しいだろうとなと思っていたところ、この成田空港オリジナルのクラフトビール醸造企画が実現しました。ビジネスは基本的にwin-winであるべきだと思っているので、自分たちだけではなく相手にもメリットがあるように、という点はいつも意識しています。

●参考:WORLD BEER AWARDS 2023 金賞受賞! 成田空港エール(セゾン)が受賞、COUNTRY WINNERに選ばれました!(プレスリリース)


成田空港エール


ーー これからどんなコラボ商品が出てくるか楽しみです!今後、こういうところとコラボしていきたいなどのお考えはありますか?

キングコング西野亮廣さんとshowroom前田裕二さんがオーナーを務める会員制のスナック「Candy」とコラボしたCandyビールもその一つです。デジタルネイティブが働き手の中心世代となった今、消費者が心からほしいと思ったものでないと売れない時代になりつつありますよね。私たちが真摯にビールづくりに取り組んでいれば、世の中に驚きや感動を提供できるコラボの組み合わせは無限にあると西野さんからアドバイスいただいて、本当にその通りだなと実感しました。大勢のファンがいるコミュニティと銚子ビールをうまく掛け算をしていくことが大事だと思いますし、銚子ビールとしてのファンコミュニティも大きくしていきたいと思っています。

●参考:西野さんがVoicyでCandyビールを大絶賛!
銚子ビール 公式X(twitter.com)

●参考:スナック「CANDY」公式ホームページ

●参考:Candyビールについて


Candyビール

ーー ファンコミュニティは今後重要なポイントですよね。販売面の課題は、どういった点にありますか?
商品に込める思いやストーリーはとても大事にしています。コラボ商品をつくるにしても、コラボ相手は誰でもいいわけではないと思っています。成田空港さんの例だと、私たちが銚子という小さい港町から世界を目指しているから、その玄関口である成田空港さんのビールを一緒につくりましょうという話が出てきたと思っています。こういった思いに共感してくれたお客さまのおかげで今があると感じているので、これからもストーリー性は重視したいと思う一方で、地域のビール屋さんで終わらないために、少し話題性があることにもチャレンジしていきたいと思っています。
また、今まではプロダクトアウトと言いますか、醸造士のみんながつくりたいビールを優先してきたところがありますが、これから事業としてしっかり成長させていくためには、クリスマスなど季節性のある商品の企画のようなマーケットインの考え方も取り入れていかないといけないと思っています。

ーー チョウシ・チアーズでは持続可能な醸造所を目指しているとのことですが、サステナブルという視点は、お子さまの影響もあるのでしょうか?
そうですね。仮にチョウシ・チアーズという会社を子供たちが引き継がなかったとしても、何のために銚子ビールをつくったのかという思いは残せたらいいなと思っているんです。「地域に愛される100年ブランド」を目標に掲げているのも、どんな小さい企業体だとしても、環境への配慮やフードロスの問題など、将来起こりうる危機を念頭に置いて事業を運営していかないといけないと思っているからです。子供たちはまだ幼いので、すぐに理解してもらうのは難しいと思うのですが、一人ひとりが持続可能な社会に向けて何ができるかという意識を持っていれば、きっとSDGsの世界が実現すると信じています。

ーー  素晴らしいですね!佐久間社長の思いがお子さまたちに受け継がれ、いい循環が続いていくといいですよね。
 今、三菱商事さんが銚子に洋上風力発電所の建設を進めているのですが、あと3−4年で発電所が完成したら、当社の工場も再生可能エネルギーで稼働できるようになります。また、現在、ビールの製造過程でできるモルト粕も一部はお菓子に変え、残りは牛の餌にして、100%アップサイクルはできていますが、食糧難の時代が来ることを考えると、すべて食料にできるよう研究していきたいと思っています。モルト粕は、いわゆる「ふすま」みたいなものなのですが、実はお米の20倍の食物繊維があると言われるスーパーフードで、アメリカではモルト粕を小麦粉状にした「スーパーフラワー」が販売されているんです。その他にも、ビールに使う麦を国産や地産に変えたり、オーガニックのものを採用したり、少しずつサステナブルを実現していきたいと思っています。

●参考:三菱商事 洋上風力発電プロジェクト

モルト粕の活用


事業にかける思い~夢見ることができれば実現できる~

最後に、チョウシ・チアーズの創業時のエピソードや佐久間社長が経営をされる上で大切にしていることをお聞きしました。

ーー 今まで経験のないクラフトビールの製造にチャレンジするのはご苦労もたくさんあったと思います。起業すると決めた当初、ご家族や周囲の皆さんはどのような反応でしたか?
当初はもう、とにかく反対されましたね。両親も自営業だったのですが、自営業は軌道に乗っているときはいいとして、うまく行かなくなっても誰も守ってくれませんよね。収入が安定しない世界に来ようとすることに対しての反対もありましたが、クラフトビールというよく分からないものに対する反対も大きくて、「絶対うまくいかない」と心配されましたね。


ーー ご家族の反対を押し切ってまで起業できた一番の要因は何だったのでしょうか?

直前の仕事でアメリカに行けたことが転機になったと思います。当時、アメリカではクラフトビールが流行っていたのですが、この流れは日本にも必ずやってくると確信しました。あとは、自分自身が情熱を注げるものでないとくじけてしまうと思いましたね。元々お酒は好きでしたし、お酒の場でみんなが楽しくなれるのが好きだったんです。
思い返すと、私の母は昔から厳しく、学生時代にアメリカに留学したいと相談した際も猛反対されました。ただ、人って適度なストレスは成長につながるんですよね(笑)。留学先は田舎だから日本の大学に進学するよりお金もかからないし、英語も身に付くしと、子供なりに必死に説得したら最後には了承してくれました。そういう意味で、反対されることに対して人よりもレジリエンスがあったのかもしれません!


ーー 新しい醸造所を開設したのは、200年続くご実家の飲食店の跡地なんですよね。

はい。起業当初は家族からなかなか賛成を得られませんでしたが、三姉妹の中でも私が一番お店に対する思い入れが強かったので、色々なめぐり合わせで醸造所とビールカフェをオープンすることができたと思っています。

醸造所にて

ーー 「夢見ることができれば実現できる」というディズニーの言葉を大事にされているとのことですが、新しいことにチャレンジし続けていく、その原動力はどこにあるのでしょうか?
子供たちの存在が大きいのはもちろんなのですが、今まで本当に叶えたいと強く思ったことは一つずつ実現してきたんですね。起業家さんたちの中に、根拠のない自信を持っている方っていらっしゃるじゃないですか?何となくそれと似ていて、「きっとまだ見えてない景色もいつか見えるはずだ」といつも思っています。そういう思いを貫いてると、投資家の皆さんもそうですが、支援してくださる方が自然と集まってきてくださって。今、チョウシ・チアーズという船は皆さんのおかげでどんどん大きくなってきているので、皆さんの思いも一緒に乗せて、みんなが楽しいと思えるような世界を実現できたらと思っています。

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佐久間様、貴重なお話をありがとうございました!

編集後記:
チョウシ・チアーズは、8月からは自社通販サイトや小売店、飲食店向けの販売を開始され、新たな販路を拡大されています。また、ファンやパートナーとのコラボレーション(「銚子ビール藤兵衛醸造所」で製造した缶ビール『Survivor(サバイバー)』および「BrewColony」とのコラボクラフトビール『WaggleDance(ワグルダンス)など』からの認知拡大といった仕掛けも順調です。
その背景にあるのが、佐久間さまの人や土地への想いです。その一杯に込められた凝縮した想いを感じていただくと、さらに美味しくなります。佐久間さまの清々しい挑戦に大きなエールを送りたいと思います。Cheers!

チョウシ・チアーズ株式会社の成長戦略や直近の仕掛けは、@Pressや公式サイトをチェックしてみてください!


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では、また次回お会いしましょう♪

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