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懲役ダイアリー 2017年1月9日月曜日 成人の日に考えた・・・。

『funaimさん、funaimさん!X JAPANのYOSHIKIって苗字カワイっていうんですね!初めて知りましたよ!!』

一人の受刑者が私に話しかけてきた。え、YOSHIKIってそんな苗字だったっけ・・・。X JAPANは昔から好きでよく聞いているけれど、苗字までは知らない。疑問に思った私は思い切ってその受刑者に聞いてみた。

『え、なんでYOSHIKIの苗字がカワイってわかったんですか?』

するとその受刑者は笑顔で自信満々にこう言い放った。

『紅白見てないんっすか??YOSHIKI出てたじゃないっすか!白いピアノ弾いてましたよね!そこに書いてあったんっすよ!KAWAIって!』

おい、それ・・・ピアノのメーカーさんのネームだから・・・。

作り話のような話だが、こうした会話は日常茶飯事。それが刑務所。成人の日だろうと関係なく繰り広げられている。

刑務所へ来ての初めての成人の日。刑務所のほとんどの受刑者にとってはただの祝日。お菓子が出る日という認識。成人の日感は全くない。

私が二十歳だった頃、何をしていたのか・・・。何を考えていたのか。ふと振り返りたくなった。

二十歳の頃、私は役者を目指していた。小学校四年生の頃、演劇部に入り人前で演じる楽しさを覚えた。昔から朗読も好きで、感情を込めてセリフを発することは私にとって簡単だったし、何よりも楽しかった。

ずっとずっと演劇をやりたかったけれど、小学校六年生の時、父に演劇部に入りたいと伝えたら、スポーツをやれと言われ、逆らえなかった私は仕方なくキックベースクラブを選んだ。

中学に入り、今度こそ演劇部に入部しようと父に伝えたら、またしてもスポーツをやれと言われ・・・。結局スポーツの中では好きな野球部に入部した。中学三年間ずっと補欠だった。その時もやはり演劇がやりたかった。

高校に入り、家庭で色々とあり、地元でも色々あり、高校三年で学校をやめた。そこから働き始めたが、やはり役者になりたい気持ちは強かった。19歳の時に水商売の世界に入った。水商売の世界でアルバイトをしながら、役者を目指そうとした。

間も無くすると、小さな事務所に所属することができた。そこで色々な映像の現場へエキストラとして参加させていただけるようになった。

映画にVシネマ、再現VTRなどの現場は大物芸能人や俳優さん、女優さんがいらっしゃって目の前で迫力の演技を見られたのは、とても刺激になり勉強になった。

役者の下積みとして物凄く楽しい時間を過ごしていたけれど・・・高校を辞めてからの私はナンパに女遊び、パチンコ、スロット、お金稼ぎに走っていた事もあり、その楽しさから抜け出せず役者への道よりも欲求に促されるまま、人生を過ごしていた。

その結果・・・刑務所へ収監。

二十歳の頃の私には想像もつかなかった人生だろう。

『なぜ夢を追い続けなかったんだろう・・・。』

その答えは・・・

何も考えず、その場の楽しい時間を追いかけていただけ。

昔の自分に説教してやりたい。

そして我が子へ伝えたい。

『夢』『目標』を追い続けろ

その場の楽しさに流されるな

あの時これに気がついていれば・・・もしかしたら今頃は・・・。

そんな後悔も感じたけれど、前に進むしかない。反省できた。この反省をどう生かすかが重要だ。次の夢、必ず追い続けていつか追い越してやる。

全ては順調に進んでいる。人生の成功に向けて。


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