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009 手紙のあたたかさ*ふむもくエッセイ*

私の家の洋服をしまっているところに、ひっそりと箱を置いています。
箱は二つあって、ひとつはワイングラスが入っていた薄黄色の箱、もうひとつは何が入っていたのかわからないのですが、昔母にもらったダークグリーンの箱。

この箱の中には、ひみつの宝物を入れているのです。
これまでもらった手紙たち。友人や先生からの大切な言葉たちです。

私がよく開けるのは、薄黄色の箱の方です。
薄黄色の箱は、大学のころから現在までにもらった手紙が入っています。

例えばこんな手紙。
高校生のころ特に仲が良かった友人と高校卒業後はなかなか会えなくなったので、手紙でおしゃべりをしていました。お互いに絵本が好きなので、自分が出会った絵本の話や日々のちょっとしたこと、好きな人のこととか、お休みの日にオムライスを食べに行こうとか。
(私と彼女はほんとうによくオムライスを食べました)
明るいニュースが飛び込むような、そんな手紙です。
彼女とは、今でもときどき手紙のやりとりをします。

例えばこんな手紙。
大学で仲良くなった友人は、さまざまな事情で大学をやめることになりました。
その子の実家は少し遠いので、手紙でおしゃべりをしていました。
彼女はとてもユーモアセンスがある子で、美容室でへんな髪型にされた話とか、恋人の天然ぼけのこととか、なんてことない毎日のことをとてもおかしく書くのです。
私はその子からの手紙を読むたびに、ころころと笑ってしまいます。
にぎやかで楽しい手紙です。
彼女ともたまに手紙のやりとりをしますが、この頃は電話で話す方が増えた気がします。
(そして、毎年すばらしい桃やいちごを贈ってくれます)

ダークグリーンの箱は、高校生・中学生・小学生・保育園くらいまでの古い手紙が入っています。照れくさくて、なかなか開けられないのです。
高校生や中学生のときは、毎日会う友人とも手紙を交換していて、イラストを描いたりもしていました。休み時間にもたくさん話すのに、よく話題がつきなかったな、と思います。

そういえば、授業中におかしいことがあると、すぐ友だちに話したくて話してたくて、はやく授業が終わらないかなぁ、なんて思っていました。

おそらく、ダークグリーンの箱には、私が人生で初めてもらった手紙が入っています。
保育園で仲良くなった子が引っ越すことになって、その後大学で再開するまで文通をしていた子からの初めての手紙。

その子とは、今の時点ではもう会うことがかなわないのですが、やはりとても大切な友人です。

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年に一、二回くらい、薄黄色の箱を開けます。
中に入っている手紙を選んで読み、くすっと笑ったり、とてもはずかしくなったりします。

その時に感じるのが、手書きの文字のあたたかさ。
上手な字も、丸文字も、少しくせのある字も、全部その子らしさが出ていて、目の前でおしゃべりしているようです。手紙は、何かをしながらでは書けません。書いている時間は、相手のために使った時間で、だからこんなに愛おしい宝物なんだと思います。

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おまけ

お気に入りレターセットのご紹介です。

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左から*
ひつじのインパクトがとてもかわいらしいです。楽しいあの子に。
今はお店がなくなってしまったローラアシュレイ。上品なデザイン。
野の花がさりげなくちりばめてあります。シンプルでかわいらしい。
カラフルで童話のような絵柄。絵本が好きなあの子に。
大人っぽい花模様のはがき。
夏のお便りにぴったりな金魚たち。

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