介護事業の社長になりましょう
「介護事業の社長になりましょう」と言っても、介護事業所を立ち上げて経営者になれというわけではありません。
「あなたのご両親の介護」という事業をするにあたって、あなたが「社長」として、事業の目的・方針を定め、その事業がうまくいくような体制をつくりましょうということです。
あなたがやるべきこととは?
ご両親の介護をするときに、あなた自身が手を動かして、ご両親の身の回りのお世話をしたり、掃除や洗濯、料理をしたりといったことをすべてやるのは、絶対してはいけないことです。
あなたにはあなたの仕事があり、家族がいます。
あなた自身の仕事をしっかりとこなし、家族と楽しく幸せに生活すること、それが何よりも大切なのです。
あなたがやるべきなのは、無理のない介護の体制をつくることです。
介護の目的・方針を定め、無理なく継続的に介護をしていける体制をつくり、それを維持していくことです。
ご両親の介護を会社にたとえると
「ご両親の介護」を「会社の事業」にたとえると、あなたがやるべきこと、プロの力を借りることの違いが分かりやすくなります。
(1) あなたは「社長」
まず、あなたは「社長」です。
① 会社の経営目標をつくる
社長は会社の経営目標を定めます。多くの人にとって目標は「親の介護と自分の仕事・生活とのバランスをとりながら、みんなが幸せな生活を送ること」のようなものになるのではないでしょうか。
ご両親の思いを大切にしつつ、どのように介護をしてどのような生活を送ってもらうか。
あなたの仕事や家庭に介護が与える影響をどのようにコントロールして、無理なく継続していくか。
そういったことを考えながら、会社の経営目標を定めます。
介護のことを知らない自分が社長でいいのか?という不安もあるかもしれません。でも考えてみてください。
社長やえらい人が仕事の現場に乗り込んでくると、たいていの場合うまくいきませんよね。だからこそ、現場のことはプロに任せるのです。ケアマネやヘルパーといった介護のプロの力を信じ、存分に力を発揮してもらうのです。
② 目標達成に向けた介護体制構築
そして経営目標を定めたら、目標達成に向けてどのような介護の体制をとるべきかを考えます。
・施設に入るか、在宅での介護サービスを利用するか
・どの介護事業者と契約するか
・介護サービスの利用頻度はどうするか
といったことを検討し、一つひとつ体制をつくっていきます。
もちろん、介護体制構築には、ご両親の希望をしっかりと聞き、包括やケアマネといったプロと相談することが必要不可欠です。
③ 介護体制の維持
また、介護の体制は「一度つくったらそれで終わり」というわけではありません。
・親の希望に合った体制になっているか
・ケアマネやヘルパーが困ってしまうようなことが起きていないか
・親に悩みごとや困りごとが出てきていないか
など、気にするべきことや考えるべきことは山ほどあります。介護体制をいかに無理なく、長く継続させるかといったことに気を配り、問題があれば一つひとつ対処していかなければなりません。
ご両親・あなた自身・介護事業者の関係をいかに良好に保っていくかという努力も必要です。
(2) ケアマネは「執行役員」
ケアマネは社長であるあなたを支え、実務を取り仕切る「執行役員」です。
あなたは社長とはいっても、介護のプロではありません。
介護という「新規事業」に参入するために、介護のプロであるケアマネを執行役員として迎え、実務を担うヘルパーをとりまとめつつ、あなたとご両親の様々な相談に乗ってもらうことが必要となります。
いいケアマネと出会えるかどうかは、運の要素も大きいです。もしケアマネとの相性がどうしても合わない場合は、包括に相談して変更してもらうことも必要かもしれません。
でも一度信頼できるケアマネを見つけたら、そのケアマネを信じることです。信じて、任せることです。
彼らは介護のプロです。ご両親にとって最適な介護サービスができているか気になって、社長が現場に口を出したくなる気持ちも分かります。でもそこはぐっと我慢して、プロのやり方を信じましょう。
(3) 包括は「コンサルタント」
介護が必要になって要介護認定が出て、ケアマネを選ぶという執行役員人事の段階で、コンサルタントである包括の力を借ります。
コンサルタントには早め早めの情報共有が大切です。ご両親と自分の置かれた状況や困っていることなどを早めに伝え、詳細に話をしておくことで、あなたの状況に合ったケアマネを紹介してもらえる可能性が高まります。どんなに優秀なコンサルでも、情報がなければいいアドバイスはできません。
また、事前に包括と信頼関係をつくっておけば、包括からケアマネにもあなたのことを情報共有してくれて、ケアマネとの信頼関係をつくりやすくなります。
おわりに
今日のまとめです。
あなたは介護事業の社長
社長の仕事は現場に出て手を動かすことではなく、体制をつくり維持していくこと
信頼できるケアマネを見つけ、信じて、任せることが大切
あなたのご両親にとっても、あなたにとっても、望む形の介護体制が実現できることをお祈りしています。
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