牛も人もハッピーが良い 0213
まとまらないメモのような日記
あったかい。春が近づいてきている。まだ我慢できる、我慢できるぞ!と思いながら日々の寒さに耐えていたので、少し拍子抜けしている。もう春になる。思っていたよりも早くきてくれるみたいだ。
今日は、普段あまり行くことのない気仙沼の南側へ。持続可能な地球と人との関わり方に興味があるメンバーが集い、本吉にある小野寺ファームさんを見学させてもらう。
集合場所に到着すると初めてお会いした牧場主?のゆうゆうさんが迎えてくれて、少し離れたその場所へと案内してくれた。
少し山に入ってゆるやかな坂を登ると、「モォーーー」と牛たちの声が耳に届く。牛だ。
牛はかわいかった。人間の子どもみたいだった。ご夫婦で一頭一頭に名前をつけてかわいがっている。ハロウィンの日に生まれたから「ハロウィン」とか、松茸をたくさんもらった日に生まれたから「まつたけお」とか、名前もよかった。
彼らは乳牛として、肉牛として育っている。
子牛の値段は今、暴落しているらしい。
一頭1000円でも売れない。
餌代とかで20000円はかかり、市場手数料に5000円かかり、そのほかもろもろお金がかかるので、売れば売るほど赤字になる状態だという。
エサである穀物の値段が上がり、買っても利益にならないので買い手がいないのだという。
「ブルドックは30万するんだぜ」なんて声が出る。命の値段ってなんなんだろう。
***
ゆうゆうさんは、耕作放棄地を利用して自分で育てたとうもろこしとか、草とかを牛に食べさせているそう。それも大変な手間がかかるのは想像できる。
***
牛たちは搾乳など朝の仕事がおわって、休憩時間。放牧の現場を見させてもらうことに。「今日はわらパーティーなんだ」とゆうゆうさん。わらを食べたり、積まれたのを崩したりするのが楽しいようで、だからみんなそわそわしているみたい。
0.5haの土地を、牛たちが駆ける。走る牛を初めてみた。人がいっぱいいるのに気づいて、興味津々でこちらに寄ってくる子もいる。人懐っこい。
だいたい10:30には放牧し、17:00までゆっくりすごすが、牛たちは飽きるらしくて16:00すぎになると帰りたそうに入り口付近にくるらしい。
話を聞くと、肉牛は2歳になると出荷される。ここでは3歳くらいまで育てる子もいるそう。複雑な気持ちになりつつも、それが仕事であり経済だからとも思う。
「こないだは被り物つけて誕生日パーティーしたよ」と聞いてアガる。楽しそうだなぁ。
今の仕組みの中で、牛が幸せに生きられたらいいなと思ってやる。それをずっと、続けている人。
帰ってくると、まだ牛舎に残っている牛がいる。「全員行きたいわけじゃないから、好きにさせてる。インドア派だね」
朝とれたての牛乳を飲むと、すごくさっぱりしていた。とれたての牛乳ってもっとクセがあって濃いのかと思っていたので少し拍子抜けした。
特濃とかあるけどさ、そんなに油っぽいおっぱいって、牛にとってどうなんだろうね、という話になる。
「たのしそうに生きている牛の牛乳を、おれは飲みたい」
ゆうゆうさんは濁りなくはっきりと言う。
そういう価値観で食べるものを選びたい。
「きれいごとだけじゃ生きていけないからね」
「時代の先駆者として、潰れたら意味ないからさ。がんばって生きていかないと」
「儲けたいわけじゃない。儲けるってなったら大量に飼わなきゃいけなくなるけど、今みたいに牛の名前を一頭ずつ覚えてかわいがれなくなっちゃうし」
そういう確かな言葉をここでいくつも聞かせてもらった。
ほかにもバターやチーズをつくりたいけど法律が厳しくてそれを売れるものにするためには2000万とかかかる建物が必要で、とか、自然の力を生かして発酵させたいけど法律的に難しい話とか、いろいろ聞いた。発酵デザイナーのヒラクさんだったら、何て言うんだろう。
課題多すぎない?と笑うゆうゆうさん。本当に、多すぎるよと思う。
みんなで話しながらアイデアを出し合うけれど、やっぱり難しい。だけど、絶対なんとかしたいとみんなが頭を回転させる。
それから、牛は暑さに弱くて夏がいばん大変らしく、体力回復に3ヶ月かかるらしい。で、冬が絶好調。そのときにバターとか何かでかえすから、夏の電気代と200万くらいかけてつけた扇風機をなんとかできたらなぁ、とも聞いた。牛の幸せをみんなで守るって、できないかな。クラファンとかしたら集まる気もする。それが自然エネルギーでまわるとなお最高だ。
これからは、耕作放棄地に線を張って中に牛を放し、草を食べてもらって土を肥やすことをしたいらしい。「牛は循環するのに一番必要な生き物だと思うんだよなぁ」と言葉がこぼれる。私もそう思う。
また考えるタネをもらった。
今日は回復デー。明日からまたやるぞー。
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