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試す_2024年2月13火/快晴

天気予報が、3月並みの陽気でしょうと告げるほど暖かい平日。
ランニングできることで人気の公園で、若いカップルを見た。

「もうだめ、終わった」と
吐き捨てるような大声がするのでわたしの横をみると、
二十歳くらい女の子が、膝に手をやりうつむいていた。
ベンチに座るわたしにおかまいなしいに
わたしのとても近くでそうしてることに驚いた。

そのそばには、こちらも同い年なのかな、男の子がよりそうように立っている。女の子が走って疲れたために、「そうだね」と二人で休憩中だということはわかった。

女の子も男の子もそれぞれ好みの「ランニングウエア」を着ていて、それなのに、なんとなく同じ雰囲気がある。本格的ではないが普段から走ってますというような感じだ。
なにか、走ることが必要なところに所属しているのか、そうでないかもしれない。平日の昼間にこうしてるということは、学生さんかもしれないな。

二言、三言、相談するような、でも優しくことばを交わしたあと、女の子と男の子は「ランニング」に戻っていった。二人並んで、ぴったり肩をつけて走っていく。つきあってまだ浅いんだろうな、と、後ろ姿を見送るわたしは思った。

その姿が半分くらいに小さくなるまで遠くに走ったところで、
また、女の子が止まった。男の子も、もちろん足をとめる。
女の子は、こんどは片足ずつ、ふくらはぎを伸ばしつつ、「こんなにたいへんなの」と筋肉の動きを確かめはじめた。

このときわかった。
女の子は、男の子がじぶんのためにどれだけ尽くしてくれるか、じぶんの「力試し」をしていのだ、たぶん。
あぁ、女の子よ、それをやるのか。
「ワガママ」を駆使する女の子に、
叫んでやりたい気持ちでいっぱいになる。

「彼」に「なにか」してほしい気持ちは、よくわかる、たぶん。
その証拠に、
「彼」に面倒みてほしくて、あれこれ「こと」を起こしていた。
で、そのあと怒られるやらフラれるやら、
さんざん痛い目にあったのだった。
あのときつきあってくれた男の子たち、といっても数は少ないけど、
ごめんなさい、ありがとうございましたなのだ。

女の子はまだ足を気にしてる。
大丈夫って男の子が言って、うんとうなずいてから、
止まったところがT字路だったから、
二人で左に行くと決めて走っていった。

女の子よ、グッドラックを祈る。

季節外れの暖かさをもたらす高気圧のせいで、
風が強く吹いた。
懐かしさも優しい気持ちもぜんぶ飛んでいった。

平日の公園っておもしろいね。












よんでくださった方、ありがとうございます! スキをくださった方、その勇気に拍手します! できごとがわたしの生活に入ってきてどうなったか、 そういう読みものをつくります! すこしでも「じぶんと同じだな」と 思ってくださる人がいるといいなと思っています。