花のようなる秀頼さまを、鬼のようなる真田がつれて。この戯れ歌にこめられた願いの色
かなしい旋律シリーズ。
大坂城、落城。
落城という響きに、哀感がないわけがない。
落つるは、涙か。流るるは、血か。
それでも、いのちまではとられなかった。ひとはそう思いたい。
秀頼は死ななかったのだ。落ちのびたのだ。
歴史の舞台には、もうもどってこないのかもしれない。
政争に負けたのだ。
ふたたび、頭上にいただくことはない。
それでもかまわない。
生きていさえいれば。
花のようなる秀頼さまを
鬼のようなる真田がつれて
のきものきたり加護島へ
秀頼の首級は、みつからない。
切腹して果てたといわれていても、たれも確かめられない。
そう、幸村が、鹿児島へつれて逃げたのだ。
忠臣とともに、南へ南へ、おちのびたのだ。
この旋律、聞いたことがないけれど、聞きたくないかもしれない。
当時のわらべ歌なので、おそらく、当時には音色があったんだろう。
字面だけで、もうたっぷり音色が聞こえる。
逃げてない、のがれきれていない、やっぱり果てたのだろう。
そうだ、あきらめるほかないのだ。もういないのだ。
それでも、ざれ歌の世界でなら、反実仮想も、現実のものとなってくれる。
どこか南国で、おだやかに暮らしているのだ。
権力闘争もなければ、権謀術数もない日常を。
ざれ歌だから可能になる、かなしい仮定。
そういう思い入れが、聞いたこともない旋律を、よりいっそう美しくしてくれる。
大河では、いい切腹をしていました。ふたりとも。
▼さほど悲愴感がなくてよかったです。
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