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文乃 | 歴史フリークときどきコーチ
2022年5月26日 12:13
短冊が、目の前にぶらさがっている。こう書かれている。自分には能がない、と。道場を変えることにした。ああ、むりだ。もう通えない、と思ったあの日の夜のことを、現像できるくらい明瞭に覚えている。ふつうに考えたらそりゃそうなんだけれど、もう曜日の組みようがない。日常に占める比重が大きすぎる。平日の退勤後に、地下鉄で道場に向かう。帰宅して22時。そこからおふろと夕飯。始業も早いので、早く眠らな
2021年12月9日 20:45
おめでとうには、七つの味がする。単一の味だったはずのおめでとうは、人生が展開してゆくにつれて、味わいを変じてゆく。だれかには甘くても、だれかには苦くて、その場にいるだれもが一色に染まることはない。あの人には酸いだろう。遠目に見て思う。どういう気持ちで聞いているのだろう。目を向けても笑っている。大人なのだからそうだろう。お酒をのんで笑うしかないだろう。やけ酒なのかも、こころから喜んでいるの
2021年11月22日 15:33
記憶にあるかぎり、これほど嬉しい買物はなかった。というくらい、目のくらむような体験だった。合気道はじめて半年強、やっと買った。道着。道着着て寝たいくらいオーバーランしてる。気持ちが。別に入門後すぐ買ってよかったし、男性はわりとすぐ買うし、逆に同期のなかでいちばん遅かった。師範八段に「お前まだ買ってへんのか」といわれて、道着をもってこられて「着てみい」と、サイズをあてられてやっと、――