思い出の地層

だいぶ遠くに来てしまったなぁ、と思う。
年齢、土地、気持ち、いろんな意味で。

今日、久しぶりに吹奏楽を聴いていたときに考えていたことだ。

最後のステージは10年前。それがはるかはるか昔のことのように感じるようになった。


「サロメ」「たなばた」「アフリカン・シンフォニー」……過去に演奏した曲を聴くと、中高生の頃を思い出してしまう。

あの頃は猛烈に忙しかったし、緊張でガッチガチになるのが悩みのタネだった。正直、戻りたくはないし、ビターな思い出も多い。

楽器をやめて、もう聴きたくないとすら思っていたのに。今はまた演奏できたらな、と思うくらいには楽しく聴けるようになった。うーん、時が経ったからなのだろうか。


しかも、いまだに譜面を覚えている。楽器の聞き分けもできる。そんな自分に思わず驚いてしまう。

「このタイミングでシンバル入る!」「ここ決めどころ!」自然に身体が動き出す。自転車の乗り方を忘れないように、音楽のノリって忘れないものなんだな。

普段は「ブランクがあるからもう演奏なんてできないですよ〜」なんて言ってはいるけれど、音楽をこうやって楽しめるのは、やっぱりあの頃、必死で練習して演奏してきたからだ。

なくしてしまったものも、場所もたくさんあるけど、残り続けているものも確かにあるのだ。 10年前の私が積み重ねてきたことは確かにここにある。

そう思うと、急に過去が愛おしくて涙が出てきた。


ビターでほろ苦い思い出もたくさんあるけれど、それすらも私の地層を作っている。たまには振り返るのもいいかもしれない。

私の地層はどんな色だろう?

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fumi
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