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星組「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」感想②


星組観てきたよ!

公演中止で何枚か飛びましたが、東京宝塚劇場公演も観劇してきました!
ご縁があり、東京公演のほうが観劇回数が増える事態に。
ル・サンクや歌劇等での情報も増えて、原作を改めて読み返しての観劇はとても楽しかったです!
改めて星組公演の千秋楽おめでとうございます。
そして、素晴らしい作品を本当にありがとうございました!
感想①は以下に。

また、双眼鏡も冬のボーナスで新調しました。
3日連続観劇したら、二の腕内側(いわゆるオペラ筋)が少し筋肉痛。
鍛えたい。

ジャラルッディーン

初めて観劇した時に「原作から飛び出してきた!」と感動したのは、ジャラルッディーンとナサウィーの二人。
銀橋から登場するのも好きです。
ギオルギ王にどこか似た大らかさや器の大きさを滲ませる人で、瀬央さんの立ち居振る舞いもあって、作中後半から出てくるにもかかわらず存在感がありまくりで本当に素敵でした!
堂々とした立ち姿はもちろん美しいですし、ディミトリの最期の場面での、己の大切なものを奪われた者だからこそ理解できる、絞り出すような「……ああ」という声の表現が素晴らしくて。

ナサウィー

最高。この一言に尽きます。
生田先生が『歌劇』の座談会で「天華さんの声で台詞が聞こえた」と仰っていたけど、とてもわかる。
銀橋に立ち、ジャラルッディーンに片目を瞑ってみせるナサウィーは『斜陽の国のルスダン』を初めて読んだ時に私の目に浮かんだナサウィーそのものでした。
原作のナサウィーは、万物をディナール金貨で見積もってくるなんでも見積マン。
正直、原作ではナサウィーが一番好きです。
キャラクター紹介に「主君とディナール金貨とを深く愛する」って書かれているのも良いです。
宝塚版では見積マン要素は控えめに、けれどもしっかり財布の紐は握っている優秀な書記官で最高でした。
ジャラルッディーンが「美貌の噂は聞いていたが、貴公の姿は想像を超えている」と言った時に、(また我が君の悪い癖が……)といったやれやれ顔をしていたのが、とても私のツボに刺さりました。好き。
個人的には書記官って憧れジョブなので、こういうのが観たかった!という喜びもありますね……

ホラズムのナンバー「帝王ある限り国は滅びぬ」でジャラルッディーンへ礼をする仕草(事ある毎にこの所作をすることで、彼の忠誠が誰にあるのかが分かりやすくて本当に好きな動きです!)や、ダガーを抜いた時の天華さんのにっと口元をあげた表情が好きで、観劇の度にこの場面は天華さんをオペラグラスで追っていました。
そして、伝書鳩の場面!天華さんの表情の演技が本当に素晴らしくて、毎回オペラグラスで追ってしまいました。ディミトリへ微笑んだ後に、ふと訝しむような表情に切り替わるところが印象的でした。

アヴァク・ザカリアン

原作では壮年の副宰相。宝塚版はギオルギ王と同世代くらいの印象を受けました。
将来の側近候補として幼馴染的に育っていそうだなあと。
アヴァクの好きな場面は、タマラ王女が馬のいる天幕へ入ってしまうところ。
ルスダンの慌てた声に反応し、王女の動きに目を見開き慌てて階段を下りてゆく様子や、ミヘイルに助けられた後は少しほっとした表情をしているなど細かくお芝居を作りこまれていて、この場面は俯瞰で見てしまいがちですが暁さんにオペラグラスを向けることが多かったです。
アヴァクは副宰相ということもあり、舞台上では時間の関係上描けていないルスダンの王としての様々な選択を目の前で見ていて、おそらく助言というか苦言も呈しているわけで。そんな中で彼の忠誠メーターがじわじわと上昇していき、トビリシ奪還の場面での機を見誤らないルスダンの姿に忠誠心メーターが振り切って、彼の国への忠誠と王への忠誠がイコールで繋がったのだなあと伝わってくるお芝居がとても素敵でした。
敵に回すと大変厄介ですが、一度落ちるととことん尽くしそうな男性だなあと。めちゃくちゃ好き。
また、暁さんといえば月組でもたくさん踊ってたくさん回転しているイメージがあったのですが、今回もジョージアンダンスの場面や後半のトビリシ奪還の場面でたくさん回転しておられました。すごい。

ディミトリ

愛している。愛している。僕は君を愛している。
一度でも言葉を与えればもう二度と止められない。

ディミトリ~曙光に散る、紫の花~ S7「運命に結ばれて」より

「運命に結ばれて」のこの歌詞がとても好きです。
ルスダンからディミトリへの好意は、ギオルギが「ルスダンは、妹は貴公が好きなのだ」と言っている事や、リラの木の下でのやりとりもあって客席にわかりやすく伝わってきます。
一方で、ディミトリからルスダンへの明らかな好意が、彼女へ向けた言葉で表されているのが特にこの部分だなと。
今までは人質であり想いを言葉にして伝えることが許されなかったディミトリが、王配となったことでようやくルスダンに対して己の気持ちを言葉で伝えられることが許された場面でぐっときます。
今までせき止められていたルスダンへの想いを、ようやく言葉で表すことのできる喜びが伝わってくる曲で何度聞いてもいいなあと。
他には、「勇気とは何か」の歌い出しも好きです。
ミュージカルの心情吐露ナンバーって感じ。
いつの日か君を我が妻に。いつしか密かに夢見ていた。
我が妻にっていいね……

礼さんのジョージアンダンスも素敵でした!
出陣の場面での剣舞もそうですし、婚礼の踊りも男性の踊りらしい力強さがあって見惚れてしまいました。足さばきがすごい。

ルスダン

まず、衣装が素敵……!
同人誌版『斜陽の国のルスダン』の表紙にある水色のドレスの印象が強いのですが、パンフレットにあのリラの花を持ったイラストのイメージであろう写真もあって!
このドレスの場面が多かったのも嬉しかったですし、後半の薄紫色のドレス姿も、髪を隠しヴェールと王冠を付けた女王としての貫禄が伺える衣装でとても素敵でした。
王女時代の天真爛漫に育った姿から、王位を継ぐことになり次第に王としての覚悟、貫禄を備えていく姿をとても自然に演じていて舞空瞳様……!と感激しました。
王女しての声、タマラ王女へ声をかける時の母としての声、アヴァクや家臣に対しての王としての声の違いも明瞭で素晴らしかったです。
王女時代が天真爛漫であればあるほど、王となってからのジョージアの王としての仮面を付けた姿の気高さが強調されているように感じます。
特に、トビリシ奪還の場面での「何に代えてもトビリシを取り戻すのです」というセリフからの流れが本当に好きです。
あの場面で国のための選択をしたことで、アヴァクの中の忠誠メーターも振り切ったのかなと思います。

また、ラストのリラの木の下から下手花道に向かって背筋をまっすぐに伸ばして歩いてゆく、未来へ進むルスダンの姿が本当に気高く美しいと思います。
リラの木の下へ向かうディミトリ、未来へ進むルスダンの姿は、二階席で俯瞰して観た際にはより一層感動しました。
ルスダンのことを、ディミトリはあのリラの木の下でずっと待っているんですね。

おまけ

宝塚に限らず、公演にかこつけて酒を飲むのが趣味なのですが、今回は以前から興味のあったジョージアワインを飲むよい機会になりました!
ヨドバシカメラのお酒売り場がかなり充実していて良かったです。
白ワインが好きなのでムツヴァネを使ったものを飲んだところ、クリームシチューに大変合って美味しかったです。
クリームシチューに合うので、おそらく伝統料理シュクメルリにも合うと思います。

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