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星組「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」感想①(だいたいギオルギ王)


星組観てきたよ!

11/12、12/10に宝塚歌劇団星組公演を観劇してきました!
原作『斜陽の国のルスダン』は今回の公演をきっかけに読んだのですが、この中世ジョージアの風を感じる素敵な作品がどんな宝塚作品になるのか……とてもわくわくしておりました!
初日の感想でTLに回ってきたのが8割 JAGUR BEAT!!。震えた。

結論からいうと、最高の作品でした!
原作ありの宝塚作品としてとても面白く、生田先生作品の中でもダントツで好きかもしれない……
今年観た宝塚作品のなかでは一番好き!

演出など

みきちぐさんの物乞いとリラの精たちから物語が始まり、ぐるりと装置が回ってリラの木とディミトリが出てくる演出は原作を読んでいるとぐっとくるものがあります。
飛び出す仕掛け絵本のような幕開きの舞台装置は本当にわくわくしました!
リラの木で始まり、リラの木で終わるのも筋の通った演出で好きです。
リラの精達が読み聞かせてくれる、かつてこの土地で勇気をもって生きた人たちの物語を垣間見ているような気持ちになりました。
また、リラの精達のダンスもジョージアンダンスの女性の踊りのような振り付けがあって、優雅で軽やかで美しかったです!
特に、小桜ほのかさんの袖捌きが本当に美しくて、全然手のひらが見えない……!

ポスターのメッセージは「勇気とは、何か」ですが、愛とは何かを突き詰めていった結果勇気に結びついているような作品だなという印象を受けました。

そして、「嵐が迫っている――」からのセリあがりチンギス・ハンは満点すぎ。草原を駆け抜け強き弓を操る民を率いる者としての貫禄しかなかった。
下手花道からジョージア軍とモンゴル軍の戦いを見ている様子は貫禄の塊。
また、話題になっていたジョージアンダンスも本当に引き込まれました!
礼さんを中心にずらりと銀橋に並び、そこからジョージアンダンスを交えた立ち回りになっていくのが本当に格好よかった!
前方席だと、足音がダイレクトに響くのもありより引き込まれますね……
東京は2階席もゲットしたので、2階からの景色も楽しみです!
ディミトリと間者のやり取りをルスダンが目撃する場面も、塔の舞台装置にプロジェクションマッピングのように映像が乗ることで、直前にディミトリがここを歩いて行った様子を回想のように表現しているのは舞台ならではで面白かったです。

楽曲

曲も素晴らしくて、太田先生の曲が好きだと改めて実感。
太田先生には「シルクロード~盗賊と宝石~」プロローグの御恩があるので。
特に『歌劇』座談会で綺城さんが「難しい」と仰っていた、ディミトリ、ギオルギ、バテシバの三重唱になっていく曲「世界を敵に回しても」が本当に美しいメロディーとぐっとくる歌詞で好きです。
早く楽曲配信してほしい。いっそ録音CD出してほしい。
礼さんと綺城さんの歌声だけでもすごい音の圧なのに、そこに有沙さんの声も加わって音の波がぶわ~っと客席に押し寄せてくるのを20列目でも感じました……
楽曲の好き嫌いを判断する場合、メロディーの響きが重要だと考えているタイプなのですが、この曲はもう音の響きが本当に好き。掛け合いの部分のメロディーが特に好みで、曲購入したらここばっかり聴いてそうです。

アヴァクの「仕える王は、私が選ぶ」は、いきなりドゥンドゥン……って始まって驚きました。この曲でアヴァクのキャラ立ちすごいしていると思います。
ホラズムの「帝王ある限り国は滅びぬ」も好きです!
この場面、ナサウィーがステゴロ戦法で蹴りを駆使しているのと、ジャラルッディーンが近くに来るたびに一礼するのがとても好きでついついナサウィーを見てしまいます。
曲も勇ましくて、騎馬と生きる辛酸をなめつくした男たちのナンバーって感じで単純にアガる一曲。カラオケに入れてほしい。
アヴァクとジャラルッディーンの曲は、二人が出てくるときの出囃子的な感じでモチーフが使われていて、わかりやすくて良い。

「トビリシ奪還」も歌でストーリーが進んでいく様子、メロディーもリズムも緊張感があって好きな一曲です。

ギオルギ王

綺城さんのギオルギ王、まさに大国の若き王といった風格があって本当に素晴らしかったです。
彼の死から物語がより大きく動き出す役でもあり、序盤の登場だけで今後のディミトリに大きな影響を及ぼす存在なのだと観客に理解してもらわなければならない、本当に難しいキャラクターだと思います。
チンギス・ハン、ジャラルッディーンとはまた違った主君としての風格があり、本当に素敵でした。
今回は特に歩き方と声の出し方が印象的だなと。
右目が見えないためか、階段を下りる場面では柱に右手をついて歩いていて。細かい部分ですが、綺城さんのこういう所まで神経の通ったお芝居が本当に好きだなと思います。
あと、綺城さんの声が本当によく通るので、兵を鼓舞する勇敢な王の役がめちゃくちゃ似合う。もっといろいろ鼓舞してほしい。

ギオルギとディミトリ

「貴公に妹を嫁がせることはできない」と話をする場面では、穏やかな口跡とその中にも有無を言わさない貫禄が出ている声の出し方や、一歩一歩踏みしめるように歩いていく様が印象的。
ディミトリから「よいのですが、本当にそれで」とバテシバとの別れについて問いかけられる場面では、一瞬眉間に皺をよせるようなこらえるような表情をされていて。
「これがジョージア王の生きる道なのだ」と告げる所は胸が締め付けられます。この場面以降は本当に完璧な王の要素がより強くなる印象。
ほんの一瞬、愛する人と別れることを選択した一人の男性としての姿が伺えるようでした。好き。
モンゴルとの戦の場面で「勇気とはなにか。貴公に教えてやろう」と言って歩いていく様子も堂々としていてかっこよかった~!!
最初に観た際には、ディミトリが何か選択をする際に出てくるギオルギ王は、彼を導いているような印象を受けました。
改めて観ると「妹を、頼む」という一言はいっそ呪いのような印象も受けますね。

ギオルギとバテシバ

有沙さん演じるバテシバとのお芝居も、登場回数は少ないものの2人のしっかりとした絆が感じられるもので……!
二人の選んだ、愛しているが故に別れを選ぶ、共にいるだけではない愛の形が最期の瞬間までディミトリへ影響を与えているのだなと感じました。
トビリシ陥落の場面で、血に塗れたトビリシの民衆の間を二人で歩いていく様子は、改めて二人がもうこの世の人ではないのだなと思わせる雰囲気があり、お二人とも美しいのもあってぞくりとしました。
王宮を出た後、バテシバはどうなったのだろうと思っていたら、NOW ON STAGEでモンゴルの襲来によって亡くなっているという設定が出て界隈は大騒ぎでしたね……

バテシバ

ギオルギ王の愛した女性。カヘティの村出身の人妻。
原作では本当に少しだけ出てくる彼女を、ギオルギ王と共に物語のキーパーソンの一人に昇華させた生田先生の脚本と有沙さんのお芝居。
本当に素晴らしかったです。
イサニ王宮でディミトリやルスダンに話しかける所は軽やかな口跡なのに対して、「世界を敵に回しても」のナンバーが始まるとがらりと声の圧が変わっていき、ルスダンとデュエットになる部分での「あなたでも許さない」は覚悟を決めた人の声色を感じました。

少女時代のルスダンとの服装での対比も印象的。
ルスダンがきっちりと襟元まで留まった服を着てヴェールも付けていないのに対して、バテシバは美しいデコルテを見せるような胸元のあいたドレスにヴェールを付け、髪を結いあげているていることもあり、なんとなく見ただけで成人した、大人の女性なんだなということがすぐわかるなと。
このドレス、ギオルギ王の趣味なんですかね。王も橙色ぽい衣装だし、赤系統でお揃いなのかわいい。

東京公演も楽しみ!

生田先生といえば、ひかりふる路東京公演の恐怖政治の場面で台詞を少し変更していたのをとてもよく覚えています。
東京公演で演出や台詞に変更があるかどうかも楽しみですし、何より、更にパワーアップした「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」を観劇するのが本当に待ち遠しいです。
まずは無事に東京公演の幕が上がりますように!


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