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もしあの時、「好き」と伝えていたら
今日、私は住野よるさんの『告白撃』を読んだ。
ざっくり本のあらすじを書くと、
自分のことが好きな親友(響貴-ひびき)にウエディングドレス姿を見せたくないがために告白されて振って、それにより結婚式に来なくて済むようにしたいヒロイン(千鶴-ちづる)の話。
響貴が想いを引きづらず、前に進めるようになることを願って、学生時代の共通の友人(果凛-かりん)が協力してくれることになったが、共通の仲良しメンバー(大賀-たいが、舞-まい、華生-ハナオ)の思惑が交差し、【告白大作戦】は予想外の展開を見せ─。
というお話。
興味がある方は本屋に行けば99%置いてあるはずなので、ぜひ。
響貴は、ゲームもギターも恋愛も「全部、自分がどこで納得するか」と利己的に生きている。
「告白」をしないまま「友達」の関係が1番しっくり来ていると、友人である果凛(男)に本音を打ち明けている。
響貴という人間は、好きな人の幸せの為なら自分はどうなっても構わない。たとえ自分の「好き」という気持ちを押し殺しても。という考え方をしていて、
千鶴から大学生の頃に『響貴がいれば安心して失恋できる』と言われてから、ずっと響貴は友達でいるということを全うしていた。
もし自分と付き合ったら「安心して失恋できる」場所がなくなってしまうと考えたのか、そもそも恋愛対象にないと感じ取ったのかもしれない。
さて、「告白しない方がベストである」という考えを深掘りたい。
男サイドから言えば「告白して成功する確率が高い(8割を超えている)」「どうやら風の噂でお相手がこちらを好きである」状態ではないと「告白」という勇気ある1歩を踏み出せない。
思うに、その背景にある心理としては、
「失敗したくない」「今まで積み上げてきた信頼を失いたくない」、失敗したら「信頼を得るためにかけた時間がもったいない」「周りの友人・コミュニティに対して恥ずかしい」がある。
「告白」が成功した後に得られるメリットよりも
失敗した後の未来を心配して自己保身に走ってしまう。結局は自分が傷つきたくない、失いたくないという不安なのだ。
そして、「現状維持がベストだ」と自己完結させることで自分の心を守っているのだ。
傷つく覚悟がない者に、
その先の未来を実現する権利なんてないのに。
「現在/今」を構成する自分は、過去の自分が意思決定したすべての「選択」の上に成り立っているわけで、すべての瞬間に「もしあの時、こうしていたら」という「if」の世界線が存在する。
だから、誰にでも1個以上の大きめの「別の選択があったなぁ」と考えることがあるだろう。
その大きめの選択は、人によっては後悔であり、人によっては最高な選択である。
その中で、こと恋愛においてその「if」が記憶に強く残る理由は、「恋愛という行為・感情が自分一人では成り立たないこと」と「若さゆえ」だと思う。
この「若さゆえ」と述べた背景をもう少し説明する。
「告白しなくて後悔したのはいつか」ともし誰かに聞いたとしたら、おそらく7割の回答は10代であるはずだ。もしかしたら割合はもっと高いかもしれない。
「告白しようと思う」という相談を大人はしない。
「好きだったら普通に告白しろよ」と返ってくるのが見えているからか、失敗した時の対処の方法を人生経験で得ているか、そもそも告白という行為に対するプレッシャーが減った(振られたら人生終わると、考えなくなった)からか。
感情の振幅が小さくなったのもあるはずだ。
会社の同年代の先輩と、【withのフィルター機能でどうフィルタをかけているか】という話題になった。
マッチングアプリ【with】はフィルタ機能が多くて、様々な角度でお相手を絞り込める。
「旅好き」「理系」「大卒」etc
というように自分がお相手に求める条件や御相手の趣味嗜好から母数を絞った上で、スタートさせる。そこから数人から10人くらい会ってみて「合いそうな」人を選ぶ。
お互いに同時並行で何人かやり取りを続けているわけなので、たとえ「告白」が上手くいかなかったとしても「タイミングが合わなかった」「お相手の手札の中で自分がベストではなかった」と割り切れるし、そもそも「ベストを探しているわけではなく、よりよいベターな選択肢を選んでいる」という感覚に近しいのではなかろうか。
そもそも、告白するデメリットが弱いのだ
「失敗したくない」
▶︎選択肢が他にもあるという安心?
「今まで積み上げてきた信頼を失いたくない」
▶︎そもそも積み上げてない。長くても2ヶ月とか?
「周りの友人・コミュニティに対して恥ずかしい」
▶︎共通の友人がいないことがほとんど
だから、大人は恋愛における「もし告白していたら」という「if」は少なく、「もし別れず結婚していたら」の「if」の方が多いのかもしれない。
そういえば大学時代はマッチングアプリや、日雇いバイトで、今はGravityで「後悔した話」「誰にも言えなかった話」を聞くのが好きだ。
共通の知り合いがいないからこそ、
一期一会だからこそ、言えることもある。
どうしても関係が近いと、
「プライド」が邪魔をするし、
なにより僕らはかしこすぎる。
これからも、誰にでもあるだろう恋愛における「if」の話をもっと聞いていたい。
けれど、「if」ばかり考えることも、
そもそも「if」を作り出さないことがベストであるはずだ。
まとめると、
人生におけるすべての選択において
傷つく覚悟と行動する勇気をもって、
賢くなりすぎず生きていきたいものだ。
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