新入社員の心の声が短歌みたいだった
「稼ぎたいとかはべつにないです。困りたくはないけど」
この前、ある出版社の新入社員と話してて彼女が言ったこと。そうか、と思いました。
たまたま、これからの時代のお金についての考え方みたいなテーマ(ぼんやりしたテーマ表記なのは、今まさに進めてる企画だからですw)で打ち合わせをしてて、新人の勉強の一環で同席してたらしく編集者と一緒に聞いてみたんですよ。
そもそもお金稼ぎたいとか、今の子って思うんすかね、と。
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まあ、即答はしないですよね。いろんな意味で。こいつ面倒くさいとか思われてんだろうなーと思いつつ、答えてくれたのが冒頭のやつ。
んー。リアルっちゃリアルだよなぁ。なんだろう。すごく、お金との距離感が現実的というかフラットというか。がっついたりもしないし、なくていいとも思わない。「年金とかも考えるし」って言ってたし。
結構、社会人になって一か月経って、わりともう目の前すぐ戦場だよみたいな職場に放り込まれて、そろそろダークな空気も吸っちゃったりしてる頃。余計に「リアル」になるのかもしれない。
で、ふと頭に浮かんだのが服部真理子さんの短歌。
水仙と盗聴、わたしが傾くとわたしを巡るわずかなる水
服部真里子「塩と契約」
この歌を巡る議論もいろいろあったけど、それは置いといて「そうとしか言えない」現実感をすごく感じる。極端にその現実に呑み込まれてもいないし、突き放してもいない。そこにそうあるしかない立ち位置。
同じような感覚を「稼ぎたいとかはべつにないです。困りたくはないけど」にも感じたんですよね。
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でも、こう書くとなんか「稼ぎたいとか~」が短歌っぽくも思えてしまうんだけど。
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