世界は鯛焼きのしっぽでできている
最近、ちょっと意識して「そのままを見る」練習してます。
動物園で何も考えずに象の動きを見てたり、職人さんが流れるように手を動かすのに見とれたり。けど、目の前にある何か、人、なんでもいいんですが「そのまま」を見るって簡単で難しい。
って、よくわからないですよね。たとえば、こういうの。僕の目の前に猫様がいるとします。その猫が、ちょっと目を離した隙に僕が買ってきて食べようと思ってた鯛焼きを嘗めている。
え? ちょ、待って。こんがり焼けた鯛焼きのしっぽが猫様の舌によってしっとりと……。僕の頭の中は、あのこんがりを味わうはずだったのに、それができなくなる残念な絵が浮かんでます。
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このときの僕は、自分がつくり出した「猫様に自分の鯛焼きを食べられてしまう哀しいストーリー」を見てることになります。100%のピュアさで「そのまま」を見てるわけじゃない。わかりますかね。余計わからなくなった気もしなくもないですが。
本当だったら「猫が鯛焼きを嘗めている」。その絵をそのまま受け取ればいいだけ。それ以上でもそれ以下でもない話なんです。
なのに、なぜか僕らは「猫が鯛焼き嘗めてるね」とは見ることができず「おい、ちょっとまて」という別の光景を見てる。そのままを見ることができたら、もっと違った世界がじつは飛び込んでくるかもしれないのに。
なぜ、こうなるのかは人間の脳が進化しすぎたこととも関係ありそうです。脳が外部から受け取る情報は全体のほんの3%程度で、残り97%は既に脳内に蓄積されたデータベースから引っ張ってきたものを使ってる説もありますね。
ということは、たいていのものは自分が見たものそのままを「見てる」のではなく、脳が出力したCGみたいなのを見てることになる。まあ、目の錯覚なんかも理屈としては同じ。
脳は基本的に賢くラクをしたがるので、じっとそのままを見るだけってことが逆にできないんですね。目の前の状況を早く処理して命令を出そうと動いてしまう。
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逆に赤ちゃんなんかは、まだデータベースができてなくて、その処理をしないでので「そのままをじーっと見てる」ことができてしまう。
ということは、案外、ものごとをちゃんとそのまま見てるのは大人の人間より赤ちゃんや動物たちのほうなのかも。だからって、今さら赤ちゃんに戻れないし他の動物にもなれないので、自分にできるのは「そのままを見る練習」ぐらい。
まあ、自分のための練習なので気長に気楽にやります。
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