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ムーミンの国にて

 日曜日の朝。
 いつも以上にしーんとしている。
 今日もまた朝から雲ひとつない青空、今、家の中でこうしてじっとしている分にはまだ涼しいけれど、一歩でも外に出ればたちまち灼熱地獄だろう。先週前半はローマで連日40℃超え、そのあと少しマシになったとはいえ、36-38℃と、体温より外気温が高い日が続いている。コロッセオやバチカンや、観光地に出れば驚くほど観光客でいっぱいだけれど、ローマの人々は海へとさっさと涼を求めに(いや、一段と日焼けするために、か)出かけてしまっているのだろう。

 すっかりごぶさたしてしまっているうちに、日本に行って、またローマに戻っています。慌ただしい滞在中、お会いしたかった方にもほとんどご連絡できなかったこと、この場を借りて失礼をお詫びいたします。ごめんなさい。

 帰国してすぐは、ニュースや情報番組で、災害対策だのハザードマップだの、といった話題が中心でちょっとびっくり。梅雨の頃とは覚悟していたけれど、台風でなくて梅雨でももはやそんなレベル?・・・最初の数日は確かに小雨がちで肌寒いくらい。ローマを出てくる前は既に連日35℃超えだったので、ほっとするのと、着るものがないのに悩むのと半々。ところが数日後には、もわーっと蒸し暑くなり、日本を出る前最後の数日は、ピーカン青空の猛暑とともに早々と梅雨明け。そしてローマに戻れば40℃、日本もイタリアも、猛暑と干魃が深刻な事態になっている。

 実は、今回初めてヘルシンキ経由で帰国したのだが、そのヘルシンキ空港が思いのほか快適だったので、日本でのあれこれや、ローマでのあれこれもありつつ、そのヘルシンキ(空港)について記しておきたいと思う。

 ローマと羽田の往復で、行きは乗り継ぎ時間が2時間弱。初めて利用する空港だし、言葉も(英語も・・・)わからないし、やや不安もあった。降りたところで出発便ボードを見ると、羽田行きの搭乗口まで徒歩30分!とある。ここでヨーロッパを出ることになるので、出国審査もあるし、なにはともあれそちらへ向かう。ところが、空港内移動は(確かに距離はあるものの)ひたすらまっすぐ、適宜表示もあるし、かなり方向音痴の私でもすんなり、たどりついた。

広々、のんびりとした構内


 感心したのは、途中、階段どころか段差の1つもないこと。私自身も荷物が多いし、子どももお年寄りも、さまざまな人が利用する空港などは、こうしてフラットな構造であるのはとても気持ちがいい。(帰りに、羽田の第3ターミナルも、移動距離が少ない上にシンプルでなかなかよいことに気づいたけど。)
 もう一つ意外だったのは、ムーミンがそれほど登場しないこと。フィンランドを代表するキャラクター、ムーミンがもっとあちこちに登場するのかと思いきや、ムーミンに出会えるのは、ムーミンショップと、フィンランドお土産屋さん、そして(日本便搭乗口近くにある)ムーミンカフェのみ。いくらムーミンがかわいいったって、好まない人や、子どもっぽい(元々は子ども向けではないけれど)と思う人もいるだろう。もっとも、構内何カ所かに「ムーミンカフェは搭乗口40番」と書いた看板が立っていて、某米系コーヒーショップの横にもさりげなく置いてあったのには笑えたけど。

構内のレストランはなんだか、映画のセットのよう。


さすが森と湖の国、ベンチがさりげなく森のシルエットだったり。しかも、しっかりコンセント口もあって便利。


 ムーミンカフェは真ん中にムーミン・ファミリーがいるのと、お子様向けのテーブルなどがあるだけで、別にムーミン・クッキーがあるわけでも、ムーミン・パフェがあるわけでもない。コーヒーやサンドイッチ、ヨーグルトなどを出す普通の空港カフェ、値段はイタリアよりやや高めかな・・・普通のカフェなのだが、店員さんの感じもよく、居心地もよくて、ついつい長居してしまった。



 実は帰りは乗り継ぎ時間が10時間(!)もあり、半日市内観光に出かけるか迷ったのだが、諸々の事情を鑑みて空港内でのんびり過ごすことに。朝6:30くらいに到着してから、ムーミンカフェが開いたのは結局11時だったのだが、ありがたかったのは、開店前の間も、テーブル席に特にチェーンがかかったりすることなく、自由に座って、なんなら他のお店で調達したコーヒーや食べ物を持ち込んだりしても何ら問題のなかったこと。私のほかにも、同じようにコーヒーを飲んだり、パソコンを開いてパチパチやっている人もちらほらいた。お店の人が出勤してきて、準備を始めても、お店が開店しても、何も言われることなく。
 途中、偶然にもやはりヘルシンキ乗り継ぎで日本へ向かう友人2人組と落ち合ったり、結局この日は何時間もムーミンカフェで過ごしたのだった。
 
 日本便含む長距離便の出るターミナルは、搭乗口同士の間隔も広く、待合の椅子もたっぷりあって、そんな風にゆったり、のんびり、過ごせるのだが、入国審査を通って、ローマ行きの便が出るターミナルにたどり着くと様子は一変!ただでさえ、搭乗口同士の間隔も狭く、細い廊下状態がそのままカフェになっており、飲み食いする人と搭乗する人がほとんどごっちゃで、椅子もほとんどないような。確かナポリの空港がこんなだったかな・・・。あと、超満席のヘルシンキーローマ便では、私以外、乗務員さんも含め誰1人マスクをしていなかったのはちょっと衝撃だった。


 ローマに到着して、タクシーでさっそく運ちゃんにガーガーまくしたてられて、あっという間に現実に引き戻された・・・。

 空港だけちょっぴり味わったフィンランド、今度ぜひ、ゆっくり訪ねてみたいと思う。

#イタリア #エッセイ #ヘルシンキ空港 #フィンランド #ローマ #ムーミン   #飛行機の旅
07.03.2022

 


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