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アトレティコ・マドリードに見た、フリーキック守備戦術

フリーキック守備戦術
~アトレティコ・マドリードより~

 今回は、セットプレーの局面であるフリーキック守備(サイドのエリアからのフリーキック)において、アトレティコ・マドリードを分析します。
 まず、アトレティコのフリーキック守備時のベースとなる守り方は「マンマークディフェンス」です。これを分析することで、マンマークによる守備に対する個人的な見解と、それに対する有効な対抗策を考察していきます。


アトレティコ・マドリードの
フリーキック守備

① ベースとなる配置
 アトレティコはフリーキック守備時、下図のような配置となる。
 説明すると、ボール周辺のエリアでは壁として1人もしくは2人が立つ。そして、ペナルティエリア内のゴール前のエリアでは、残りの8~9人が入る。基本的にアトレティコは11人全員を守備に戻すため、前方のエリアには人は配置しない。
 ここで、全体の配置を「ボール周辺 - ゴール前 - 前方のエリア」の順で「1-9-0」もしくは「2-8-0」と表すことができる。

フリーキック守備時の配置#1
(アトレティコ : 赤)
フリーキック守備時の配置#2
(アトレティコ : 赤)
フリーキック守備時の配置#3
(アトレティコ : 青)


② ボール周辺
 ここから、それぞれのエリアにおいて分析する。
 まずボール周辺のエリアでは、前述の通り、壁として1人もしくは2人が立つ。ショートパスで再開された場合は、ゴール前のエリアから飛び出すかたちで対応するため、このエリアに余分に人を配置することはない。

ボール周辺のエリア#1
ボール周辺のエリア#2
ボール周辺のエリア#3


③ ゴール前 
 次に、ゴール前のエリアでは、ベースとしてマンマークディフェンスを行う。
 具体的に、このエリアには8人もしくは9人が入り、それぞれが敵を捕まえてマークする。このとき、敵がペナルティエリア内に送り込む枚数はせいぜい6枚~7枚であるため、少なくとも1人、多くて3人が余ることになる。そこで、余った選手は基本的にニアサイドのエリアをゾーンで対応する。

ゴール前のエリア#1
ゴール前のエリア#2
ゴール前のエリア#3


④ 前方のエリア
 
最後に、前方のエリアについては、アトレティコは基本的に11人全員を守備に戻すため、ここのエリアには配置しない。
※しかし、試合の状況によっては、カウンターで決定的な仕事ができる選手(または、コーナー守備ではあまり戦力として期待できない選手)を前方のエリアに配置することもあるはずである。


 今回は、アトレティコのマンマークディフェンスをベースとしたサイドからのフリーキック守備について分析しました。
 私の考えでは、マンマークによる守備は個人の能力に依存するところが多く、競り合い、ヘディングの技術、高さや体格などで敵よりも優位に立てる場合は非常に有効だと思います。
 ではここで、マンマークディフェンスに対するフリーキック攻撃について、有効な対抗策を考えます。
 相手がマンマークであるということは、こちらが動けば相手もそれを追わなければならないため、攻撃側が意図をもって「相手を動かす」ことができます。よって、攻撃側は人を流動的に動かすによって相手を動かし、スペースとフリーマンを作り出すことができるのです。また、あらかじめ特定のエリアに密集しておいて相手を引き付けておき、空いたスペースをターゲットとするやり方も効果があると思います。

画像参考)
以下試合映像より引用
・23-24ラ・リーガ第23節
 レアル マドリード vs アトレティコ マドリード
・23-24ラ・リーガ第27節
 アトレティコ マドリード vs レアル ベティス
・23-24コパ・デル・レイ 準決勝
 アスレティック ビルバオ vs アトレティコ マドリード


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