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合唱と打楽器演奏が好きな理系大学生

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  • パズル的リズム解釈法まとめ

    既に楽譜の読み方などリズムに関する基本を理解している方に向けて、リズムの分析方法を一からまとめています。

最近の記事

6拍子の構成

2、3、4 拍子についてはこれまでの記事で十分言及できたので、次は 6/8 拍子について深堀りします。 一般的に 6/8 拍子は 3/8+3/8 の2 拍子系として考えるのが定石になっています。これを音符の重ね合わせで表現すると以下の通り。 この図の赤い部分、 2 拍子としての要素に注目しましょう。音のピーク位置については主なもので以下の3パターンが考えられます。 ① 1 拍目、2 拍目ともにピーク ②1 拍目のみピーク ③2 拍目のみピーク ①②③の各パターンの強弱

    • グルーヴ=ずれという説明の怪しさ

      グルーヴとはなんぞやという話をするとき、グルーヴとは「ずれ」であるという意見をたまに見かけます。 この考え方は正しい面もあるのでしょうが、同時に的を射ていないようにも思えてしまいます。 ずれなら何でもグルーヴになるわけではないし、曲中に無秩序にいくつものずれを起こしてもそれはグルーヴとは言わないでしょう。すなはち、グルーヴとは何らかの法則を持った存在であって、感性のままに二転三転するようなものでは決してないのです。そうでないと他人とグルーヴの心地よさを共有することなんてで

      • 一旦総括

        ここまで、2拍子系と3拍子の拍を分割する方法とリズムをレイヤーさせるという概念について説明しました。 これによりリズムをパズル的に分析するための知識は全て出揃いました。分析の手順を説明します。 ①リズムを「3+3+2」や「2+2+2+2」などの『ノリ』で捉える ②3や2の各グループの中身を見る  ・3つの音符がまとまったグループは前述のように「1+1+1」「2+1」   「1+2」「3」の4パターンのどれかで考える。  ・2つの音符がまとまったグループは   「2つの

        • 三拍子の分析

          今回は今まで避けてきた三拍子について言及します。 ひとまず、『複数のリズムをレイヤーさせる』の回と同じ手法で三拍子を分析してみましょう。 まず四分音符があります。それを3個まとめた付点二分音符も同時にあります。重なっている音符が強くなるので一拍目のみ強拍、それ以外は弱拍。 以上。 三拍子にぴったり収まるのは一拍分の音符と三拍分の音符だけなのでここで終わりです。 これだけだとあまりにも簡単すぎ、工夫の余地が無さすぎなのでもう少し突っ込んでみましょう。 これまで、ノリを作

        6拍子の構成

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        • パズル的リズム解釈法まとめ
          12本

        記事

          リズムが持つ強調(後編)

          リズムが持つ強調後編です。 前回は 短い音符→弱い、軽い、鋭い 長い音符→強い、重い、鈍い というイメージをそれぞれ持っている。 長短さまざまな音符が並んでいるとき、より長い音符が強調されやすいという話でした。 以下の画像を見てください。 この中で比較的長い音符の八分音符が強調されますから、上の列のリズムは四分音符の表拍が強調されたノリになります。 一方、下の列のリズムは八分音符に注目すると四分音符の裏拍が強調されたノリになります。 更に例を挙げると、以下の画像

          リズムが持つ強調(後編)

          リズムが持つ強調(前編)

          リズムが持つ強調前編です。 リズムによる強調を語るためにまずは音符の長さと音符の印象の関係について話さなければなりません。 1つ実験をしましょう。 一秒に一回のテンポで手拍子をしてください(手が綺麗な円の軌道を描くことを忘れずに!) 次はその四倍、大雑把に一秒に四回程度のテンポで手拍子をしてください。 自然に手拍子をすればそれぞれ2つのパターンでの円の軌道や手の感触が同じにはならないはずです。 速い手拍子ほど円は小さく、手の動きは速く、叩く感触は軽くなるはずです。

          リズムが持つ強調(前編)

          そもそもノリは何によって生じるか

          前回で4拍子の曲の中にどんな『ノリ』があり得るかという話が完成しました。今回の目的は一から十まで体系的に説明することです。従って少しくどい話になりますが、どんなヒントから曲の『ノリ』を見つけ出すかということについて触れておきます。 これまで、『ノリ』を作るために4つやら2つ、3つの音符をまとめてグループを作っていました。 「グループが出来る」 は 「そのグループの最初の音符が強調されている」  とほぼ同じ意味で、これが『ノリ』作りの胆となります。 グループと強調が生まれる

          そもそもノリは何によって生じるか

          奇数のノリ:補足

          前回、奇数のノリについて説明しました。何点か補足があるのでここにまとめます。 ①偶数のノリは音符が等間隔で並んでいるため、これに合わせて足踏みをすると行進になります。これが縦ノリです。一方、奇数のノリに合わせて足踏みをすると自然と体の重心が横にずれます。横ノリの根源はここにあると考えられます。奇数のノリがリズミカルな曲において重要な理由は縦ノリだけのお堅いリズムを回避し、横ノリも導入するためのものなのです。 ②前回は八分音符8つを振り分けて奇数のノリを作りましたが、振り分

          奇数のノリ:補足

          奇数のノリを感じよう

          これまでの内容を基にリズムを「きちんと」演奏出来るようになりました。しかしこれだけでは複雑でリズミカルな曲には対応できません。ここまでの話だけを基に演奏を組み立てようとすれば「真面目すぎてノリが悪い音楽」になる可能性がかなり高いでしょう。『ノリ』階層のリズムに一工夫を加えてこの危機を脱しましょう。 八分音符8つ(四拍子のエイトビート一小節分)を題材にします。 今までは、八分音符を2つ集めた四分音符や、4つ集めた二分音符を並べてきました。8つの音符の配分を数字で表すと以下のよう

          奇数のノリを感じよう

          リズムの階層構造

          流れでいくと次は16分音符なのですが、これに絡めてリズムの階層構造の話もしてしまいましょう。 1つの曲の中でのリズムを極めて大雑把に分けると3層のピラミッドとして表せます。3層のうち真ん中はメロディーです。その他の階層についても順次説明していきます。 今まで四分音符などを並べるだけの簡単なリズムばかり取り扱ってきましたが、実際の曲のメロディーのリズムがこれらに合致することはそうそうありません。では今までやってきたのは何だったのかというとピラミッドの最下層、『ノリ』の部分です

          リズムの階層構造

          裏拍も円を描こう

          前回は4/4拍子を例に、四分音符より大きい音符をレイヤーさせて感じるという試みでした。次は四分音符よりも細かい世界を紐解きましょう。 前回の最初にお見せした四分音符だけの譜面 に八分音符を加えます。 ここでレイヤーの話と同様に音符の重なりを考えると、音符を二種類に分類できます。ここでは音符が重なっているところを表拍、重なっていないところを裏拍と呼びます。一般的に表拍、裏拍と言うときはこの譜面のような4分音符の表裏を思い浮かべる人も多いでしょう。 ここから先に進むためには表拍

          裏拍も円を描こう

          複数のリズムをレイヤーさせる

          今回話すのはリズムの重ね合わせの話です。4/4拍子を例に挙げて、リズムをレイヤーさせるという考え方を説明していきます。 さて、4/4拍子で感じるリズムと言えば真っ先に四分音符を思い浮かべますよね。まずはこの音符から考えましょう。 譜面のように延々と四分音符が並んでいくとき、拍子は存在しないことがわかりますか? 目印が無いですから、拍を数えるにしても123456789……というように果てなく数えていくことになります。 音符は2つでまとまる(2つに分割する)ことが大好きなよ

          複数のリズムをレイヤーさせる

          事前の言い訳と前提

          本題に入る前にこれからの文章の意図について説明せねばなりません。リズムについてGoogleで検索すると、ほとんどがおすすめの練習法などの実務的な話です。これらの内容はすぐに役に立ちますがリズムについて俯瞰してみるためにはあまりに具体的すぎます。私はこれらのような方針をとらず、主にリズムの理論を一般的に述べることにします。具体例が不足したときはその分の補足を読み手にお任せすることになると思います。我が身の無力さを恥じるばかりです。 もう一つ、前提として私は物や手を叩くことでリ

          事前の言い訳と前提

          一旦、持論を放出したい

          最近の私の悩みは趣味の合唱の練習にのめりこめないことです。原因はリズムです。合唱をやる前に長らく打楽器奏者としてただリズムだけに向き合う日々を過ごしていたことで、リズムに多少の自信が付き、自分の『リズム観』のようなものも出来上がってきました。しかし、この半端な自信のせいで私はことあるごとに「語りたい」という出しゃばりな心が抑えきれないのです。歌うときにも私の心は半分以上打楽器奏者になってしまいます。「語りたい」という心を打ち倒すためには持論の出来に目をつむり、思う存分語るしか

          一旦、持論を放出したい