6拍子の構成

2、3、4 拍子についてはこれまでの記事で十分言及できたので、次は 6/8 拍子について深堀りします。

一般的に 6/8 拍子は 3/8+3/8 の2 拍子系として考えるのが定石になっています。これを音符の重ね合わせで表現すると以下の通り。

この図の赤い部分、 2 拍子としての要素に注目しましょう。音のピーク位置については主なもので以下の3パターンが考えられます。

① 1 拍目、2 拍目ともにピーク
②1 拍目のみピーク
③2 拍目のみピーク

①②③の各パターンの強弱を上図の黒い部分に適用するとそれぞれ下図のようになります。


6/8 拍子は 2 拍子に生じる大きなテンション変化を、2 拍子よりも多い音数で表現できる拍子と言えます。このため、6/8 拍子は「1つの音の強弱だけでなく連続的な音の流れを表現しやすい」拍子になっているのです。
したがって、1音1音を平坦に演奏せず、なるべく音を動かし続けることで 6/8 拍子の魅力を最大限引き出せるでしょう。


2 拍子としての側面は 6/8 拍子の骨格に値します。今度は肉に当たる部分、 3/8 の中身について考えましょう。

3 拍を切り分ける方法は以下の4通り

上の2つは各音の重さに偏りがないので調べても面白い結果は得られなさそうです。
このため、下2つのリズムの組み合わせについて考えることにします。

これらの3拍分のリズムを2つ組み合わせて6拍子を構成するとき、そのパターンは以下の4通り

③のパターンに注目すると下画像のリズムと同等なものです。八分音符と三連符を同時に叩く練習をしたことがある人なら既に知っているリズムでしょう。

同じような観点で見ると④のパターンは以下のように3拍子の裏拍と2拍子を重ねたものになります。

③④のパターンを見ると 6/8 拍子は2拍子系であるという前提でスタートしても、パターンによっては 3 拍子っぽさが滲み出ることが分かります。
また、③④のパターンと比較すれば①②のパターンが如何に強固な 2 拍子であるか分かるでしょう。

『6/8 拍子は 2 拍子系である。3/4 拍子とは違う。』
というのは概ね正しい規則ですが、リズムを強調すべきキメ所こそ 3 拍子感が利用されることが多いのも事実です。(これをヘミオラと言ったりします。)
盲目的にただの 2 拍子と見なさず、他の要素が隠されていないか疑うことも重要です。

6/8 拍子はその音数の多さから多彩なパターンを持ちます。
「どこで盛り上がり落ち着くか」「どこで区切るのか」
「キメの音はどれか」
こういったことを1小節ごとに柔軟に変え続けることが 6/8 拍子の醍醐味と言えるでしょう。ただ 2 拍子っぽくやれば良いんだと思考を停止せず、自由な 6/8 拍子を演奏してください。


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