見出し画像

体は傷んでおりますが心はいたって元気です

ある日を境に突然起こったひざの痛み。立ち上がろうとするとひざがガクンと外れてしまいそうになる。
運動やムリな動き、なにか思い当たることはありませんかと医師に聞かれても、とくに激しい運動をしたわけでもなくぶつけたこともない。それが突然しゃがめないだけでなく、歩くのにも足を引きずるほどの痛みに襲われ、そのうち太ももの裏側までしびれるようになった。
もともと私は痛みに強いらしく、病院に行かず自分でなんとかできるならと思ってしまう性質。それでも今回はいつもと違う気がして。友人の勧めもあり痛みから三日ほどで病院へ行く覚悟を決めた。

病院はリハビリ併設で意外と混んでいる。
1時間ほど待って名前を呼ばれると、白髪交じりの先生はていねいに痛みの様子を聞き取りながら私の足をあれこれ動かし、看護師に指示を出し、逐一カルテに記録する。
その後レントゲンで足と腰の撮影。悪いのは膝だけだと思っていたら、なんとヘルニアに坐骨神経痛まで起きていて、私はその痛みに全く気付いていなかったことになる。
MRIの日程も決まり、なんだか大ごとになってきた。

日を改めて金曜日、MRI検査を行った。
MRIは大きな音と閉所恐怖症は注意と言われたことがある。大きな音は苦手だけれど今回ばかりはめったにないチャンスだからリズムを楽しむいい経験だと最初から腹をくくった。耳栓をして、どんな音が聴こえるかMRIと勝負しよう。
工事現場のようなガンガンという音、歯医者さんのドリル音、ちょっと木魚感のある音、ベースのような心臓にどんどん響く音、さまざまな音色が案外楽しく、次の音を予想するのもクイズっぽくていい感じ。
そうこうしているうちに少し睡魔に襲われて、あっという間に約30分の検査が終わっていた。こんな大きな音にも負けずリラックスできたのはなかなかいい傾向だと自分を褒める。

病院は混んでいるため待ち時間は読書が進む。これをいい機会に積読の本をたくさん読もう。

診察室に入る時にも、看護師さんからゆっくりでいいですからねと声がかかる。一体どんな風に思われているんだろう。

「今、3つの症状の中で一番悪いのは坐骨神経痛。座る姿勢が一番悪いので立つか寝転ぶかどちらかにしてください。」

先生、さすがにそれはムリでしょう。けれど先生は真顔で「安静にしてくださいね」

安静と言っても寝ていられるはずもなく、痛みに耐えながら仕事と最低限の家事をこなす。

毎年この時期は安静を言い渡される。しかもまったく別の理由で。
去年は貧血の悪化で息が切れるからそろーりそろりと歩いていた。なぜ毎年問題が発生するんでしょうね、この体は。

月曜日は朝から会議があり、久しぶりに地下鉄に乗る。
会議の席では企画内容を発表し、質問にも耐えながらなんとか終えることができた。頭が空っぽになり力を使い果たしたと思っていたら、ホワイトボードの足に躓いて転倒。
右ひざと鳩胸を強打。
あまりの大きな音に隣の部屋まで響いて物が揺れたらしい。何があったと人が駆け込んできて、その時は恥ずかしさのあまり、なんともないですと言っては見たもののちょっと不安になる。そのまま3時間ほど打ち合わせをし、帰宅した時にはひざにあざができていた。

動きの鈍い足をかばった挙句、結局は両ひざを痛める始末。
その日も友人に笑い話で話すと、折れてたらいけないから明日必ず病院に行くこと!と言われ、恥ずかしながらも再度病院へ行く。

何と今度は右ひざの側副靱帯損傷とな。
スポーツマンでもないのに下半身、相当痛めつけてしまってすっかり満身創痍。もう一度右ひざのためにMRI撮影をすることになり、2週連続で同じ時間に予約を取る。先生も苦笑いを隠し切れずに…
看護師さんからは歩けますか、大丈夫ですかと優しい天使の声。

サポーターと包帯で固定するように言われた右ひざ。痛みは左ひざの方が強いんですがと言うと、これ以上の損傷を防ぐために固定し、左の痛みはしばらく耐えてくださいとのこと。

自分でやってしまったからには仕方ないけれど、足が上がらないと歩くだけでなく、日常生活でこんなに苦労すると思わなかった。
キッチンに立って食事を作るのがつらい。お風呂に入るのにバスタブに足を入れるだけで痛みが走る。つかまる場所がないと立ち上がれない。しゃがめない。ないないづくしで生活困難。

実家の母には心配をかけるから結果が出るまで伝えずにいたけれど、仕方がないから話すことにする。
友人たちは私が気落ちしていないかと心配して励ましてくれた。

私の体調不良では何とも感じない夫とムスメ、靱帯損傷とかけがになると自分の痛みと置き換えられるらしい。
数日は買い物やごみ捨てを率先しておこなってくれたけど、もうほとぼりが冷め、以前と変わらずこき使われる日々。

リハビリが始まり、家でも行うように言われたストレッチ。やり過ぎたらしく、痛みが出るまでやらないでくださいと注意を受ける。

せっかくプロの方に見てもらえるんだから、この際肉体改造にチャレンジして、明るい老後を目指したいと思う今日この頃。

明るい未来を自分で作ろうと案外元気に過ごしています。ご心配なく。


私のnoteを見つけて、そして読んでいただいてありがとうございます。サポートしていただけるのであれば、少し離れた場所への取材や学びの場への参加費に充てさせていただきます。