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公演に寄せて『"俺"の環世界で生きること』

こんにちは。
譜面絵画の代表をしています、三橋亮太です。
脚本と演出と宣伝美術も担当しています。
開いていただきありがとうございます。

譜面絵画 vol.12『花の咲かない原因と対策』の上演初日までもうすぐです。
そこで、公演に向けた文章を公開させていただきます。
よかったら今回の文章をお読みいただいた中から、公演のイメージなどをわずかでも掴んでいただけると幸いです。

最初に、
今回の公演は”環世界”を扱っています。

環世界とは、

「環世界(かんせかい、Umwelt)はヤーコプ・フォン・ユクスキュルが提唱した生物学の概念。環境世界とも訳される。すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという考え。」
——Wikipediaより引用

となっています。

「それぞれの知覚世界」および「知覚世界の中でそれぞれは生きているよ!」ってことを示した言葉なのですが、具体的な例を挙げると、よりわかりやすいかもです。
マダニは、視覚・聴覚が存在せず嗅覚・触覚・温度感覚が優れています。哺乳動物が発する匂いや体温を感じ取り、血を求めるために木の上からターゲットに向かって身を投じます。マダニにとっての世界は、見えたり・聞こえるものでもなく、温度と匂いと触れている感覚で出来ています。他にもコウモリは超音波を使い世界の把握を行います。また、ミツバチは紫外線を可視できることで花の模様が人間とは異なって見えたり、と、それぞれの世界の把握具合は異なっています。
どんな生物も環境に存在する自身が認識できる範囲の情報を受け取っています。そのような世界の断片こそが”環世界”であり、認識以外の世界全体がどういうものかは知る術もないと思われます。そうやっておそらくほとんどの生物は、環世界こそが世界の全てだと信じて生きています。

しかし私たち人間は、自身が認識する以外の世界を「想像」することが出来ます。

どんなに逞しい人でも、賢い人や美しい人でも、共通することの一つには、必ず死ぬことが挙げられます。死後に強い思いや後悔がある場合には幽霊になるかもしれません。つまりどのような人物でも幽霊になる可能性があると言うことです。あと、幽霊は生きている人間を本当に把握することが出来るのでしょうか。死んだ他の生物を認識することが出来るのでしょうか。

そのようなところから今回の公演は出発しました。

ですので今回の公演では、「人間以外の生物における環世界/幽霊の環世界」を想像することで、私たちが認識している世界以外への関心および拡張を促すための演劇公演を上演したいと考えています。
 
「え??」みたいな部分は多いかと思いますが、つまりは噛み砕きまくると、自分やそれぞれの環世界より外のことを、いろんな角度で考えられる作品が作りたーいってことです。

自分が認知している世界だけが、世界のすべてのような気がしたり、あるいは全く逆で認知していない全てこそが世界のような気がしてしまうことがあったりすると思います。
稽古場ではそんなことを考えながら、「環世界の拡張」についてここまで検討してきました。
稽古も大詰めになってきましたが、考えることにおいては、ようやくここからが始まりであるような感じがします。

最後に、
この公演は今月23日から26日まで、アトリエ春風舎にて行います。ほとんどの回でアフタートークもあります。お世話になっている方々を中心にお招きさせていただきました。
そしてこの作品はこれで終わらず、一度進化する予定です。このことについてもお知らせできるように尽力しますので、よろしければTwitterやInstagramをフォローいただけると幸いです。

嬉しいことですが、残席数残り僅かの回もチラホラ出てきました。お座席には限りがありますので、お早めのご予約をおすすめしております。

それでは、小竹向原にてお会いできることを楽しみにしております。
お読みいただきありがとうございました。


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