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001 津軽殺人事件/内田康夫

浅見宅に堀越刑事が相談にやってくる。赤坂で男性が殺された事件現場にダイイングメッセージが残っていた。
「コスモス、無残。」

とても印象的な言葉。一気に寂しい野原が思い浮かぶ。珍しく初っ端から刑事が浅見に助けを求めにきたのは、嫌味な上司の鼻を明かしてやりたいからだそう。なるほど納得。

今回のヒロインは被害者の娘で司法浪人生の靖子ちゃん。
青森で古書店を営む父親は「津軽を旅する会」の中で「太宰治が描いた肖像画」の話を聞き、手に入れようと上京していた。お父さんの訃報を聞くシーンは感情移入しちゃう・・。司法浪人を止める決意をしたところで、青森に帰ってお父さんと一緒に暮らす未来が会ったのに・・。しかし遺族に対する堀越、うざいな。

個人的見所は須美ちゃんの「光彦さん」呼び。赤くなる須美子かわいい。
教養ある雪江さんのおかげで、「コスモス、無残」は太宰の「ア、秋」の一文であると知るのでした。アナクロって言葉が出てくるけど何だろう?

そして靖子ちゃんの恋人・村上は浅見の友人で、これまた調査を頼まれる。靖子ちゃんに会ったら自分が結婚を勧めるよと言う浅見くんと涙ぐむ村上くん。浅見にも良いお友達がいるんだなあ。友情っていいね。

ソアラで青森へ7時間。まじかよ。東北6県は縦にも長いから高速を走っても走っても1県抜けられないんだよ・・。
今回は太宰がテーマなので津軽を旅しながら太宰の足跡を辿る。太宰は上野にも来たことがあるんだね。昔の東北人は上野が玄関口だもんね。青森を旅する時には斜陽館のカフェに行きたいなあ。レトロ素敵な雰囲気を妄想。

ここで、「津軽を旅する会」の1人高野紳士の訃報が入ってくる。高野紳士は靖子ちゃんに「お父さんが何か書き残していないか」としつこく聞いていた。青森県警の松尾警部補から聴取を受ける2人。

調べを進めると、美山湖ダムで亡くなった前崎紳士も「津軽を旅する会」メンバーだった。古書店員の美智代ちゃんと彼氏が竜飛崎にバッグを置いて行方不明に。
前崎紳士が亡くなった時にアリバイを作っていた高野紳士。その高野紳士のアリバイを目撃していたと思しき美智代ちゃん。おお、繋がってきた。
浅見と靖子ちゃんが仲良さそうで悲しい顔をする村上くん。浅見は洞察力あるのにデリカシーがないよね。事件に没頭すると他に配慮ができなくなるのかしら。

ダイイングメッセージ「コスモス、無残」は被害者が旅先の風景を見て、ああこういう風景で太宰は文章を思いついたのではないかと面白く思って書き留めたものだった。そこで被害者はあることを告発しようと思った・・のかな。

津軽人は中央に阿らない。故郷を裏切る行為だと。

土地開発で暴利を貪った映画会社の加部社長。それを知る前崎紳士を高野に亡き者にさせた。前崎から話を聞いていた被害者、殺人代行した高野、アリバイの協力者を葬った事件でした。

最後に村上くんが浅見を庇って刺されちゃう。村上・・好き・・司法試験受かって!

本棚1作目はこれにて。特に思い入れは無かったけど、今日たまたま病院で隣の紳士がこれを読んでいて、裏側に「コスモス、無残」の文字を見て懐かしく、本棚の本はいずれ電子化しなければいけないのかも、と思っていたのもあり、記録してみたのでした。最初に読んだの小学生の時だよ〜。時の流れェ🥹





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