源氏物語も大河ドラマも長いから【#本紹介】
2024年、今年の大河ドラマの主人公は、紫式部だという。
…平安時代かぁ。
今までと違って、戦国時代とか幕末が舞台ではないので「NHK、攻めるなぁ~」というのが、正直な感想。
まだ始まったばかりなので、視聴しようかどうか迷っている。
紫式部といえば『源氏物語』。
子どもの頃は、その良さがあまりわからなかった。
源氏物語との出会いは、学生の頃に教科書と共に配布された国語便覧だったように思う。
国語便覧とは…学習に必要な豆知識を補ってくれるお役立ち読本のこと。
ヒマさえあれば、便覧を開いては「ふむふむ」と眺め、授業には関係のない知識を得ることが好きな女子高生だった(ちゃんと勉強しろ)。
その便覧の源氏物語のページは、登場人物関係図が大きく占めていた。
だが源氏ときたら…。
いろんな女性と関係しまくっていて「なんとハレンチ(死語)な!」と、当時の私は憤慨したものだった。
「なんなん、この男!こんなふしだらな男が主人公の話を、学校でわざわざ学ぶ必要あるん?」
と、本気で思っていた。
でも大人になって源氏物語に触れてみると…。
源氏の好色さはさておき、それを取り巻く女性たちが、他人のことを羨んだり妬んだり。
1000年たっても、人の感情って大して変わらないのね~と思わせてくれる。
まっ。がっつり読んだワケではないけどさ。
最近読んだコミック、D・キッサン著『神作家・紫式部のありえない日々』が面白かった。
紫式部は、34歳の未亡人、陰キャでひきこもりの同人作家だった!?
夫を喪った寂しさを紛らわせるために創作活動に励んでいたら、作品がいつしか話題を呼び、宮廷から出仕せよとのお達しをもらって、てな物語。
コミュ障な主人公が、人間関係でうだうだ悩んでいる姿に親近感っ。繊細な人だったから、いろんな心の機微を書けたのねと思わせてくれる。
平安時代に疎くても、くすっと笑えるコミカルな作品だった。
ボイスコミックのショート版で、宮仕えを嫌がる紫式部が楽しめる。
気になる方はお試しあれ。
(大河ドラマの吉高由里子さんは、こんなキャラじゃないと思うけど)
なお、もうちょっと大人な雰囲気で、紫式部について知りたい方は、
酒井順子・著『紫式部の欲望』がオススメ。
こちらは「源氏物語って、紫式部の秘めた欲望のはけ口として書かれた小説なのでは?」という視点で解説しているエッセイ。
章ごとに「モテ男を不幸にしたい」とか「秘密をばらしたい」とか、衝撃的なタイトルがつけられている。
イケメンに惚れ惚れする一方、その男がクズ男なら、「痛い思いしろ」と呪いたくなるとか、思わず頷いてしまう。
タイトルは激しいけれど、最後まで読むと「なるほど~」と納得させられるのだ。
登場人物紹介もさらっとしてくれるから、読んでいる内に、源氏物語の登場人物に詳しくなれる。
また、「ん?」と思うことが出てきても、巻末に登場人物表やあらすじも掲載されていて、痒いところに手が届く仕様となっている。
源氏物語も大河ドラマも長いから。
まずは軽く触れられる作品でお試ししてみるのもいいかも知れない。
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