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"ゴッドハンド"に出会ってしまったかも知れない【#わたしの本棚】

最近、地味に腕が痛い。
腕というか、肘というか。

特段、ケガをしたワケではない。
ドアノブをひねる、バッグからスマホを取り出す、といったとっさの動きで「イタタタタ」となってしまう。
ある日突然、こんな風になってしまった。

どうやら、こういった症状を世間では、テニス肘というらしい。
ぐぬぬ。
テニスなんて、やったことないのに。

文字を入力することも億劫になってしまって、自然とnoteから離れてしまっていた。
(言い訳である)

ネットやYouTubeを見ながら、テニス肘に効くというストレッチやマッサージを繰り返す日々。
でも治らない。
そんな日が続いて、思い立って整骨院に行ってみることにした。

骨が折れているワケじゃないから整形外科ではないだろう。マッサージもなんとなく違う気がした。
病院とマッサージ店の間をとって、評判が良さそうな整骨院を探して予約を入れた。

私は、これまで肩こり腰痛に悩まされ、いろんな整骨院やマッサージ店を渡り歩いてきた。

ヨガを習うようになってから、悩まされることは減ってきたが、セルフマッサージを習いにいくくらいには、マッサージマニアだ。
だからはじめての院といっても、やることはだいたいなんとなくわかる。

だが今回、足を運んだ整骨院は、何から何までこれまで行った場所とは違っていた。

まず問診表で聞かれる項目の多さにビックリ。
普通なら、年齢等の個人情報や痛みの箇所・症状を記載して終わりだろう。
でもここでは、A4サイズの紙、両面に質問事項が続く。普段の姿勢や食生活、睡眠時間に至るまで、ありとあらゆることを聞かれるのだ。

記入しながら、己の普段の生活を振り返る。
…あ。不摂生な生活してるかも。

さらに診察でも、姿勢や身体が動く可動域を、くまなくチェックされる。
とにかく痛みの原因を探るため、私という人間に向き合ってくれていると感じた。

いろいろ検査をしてもらって、先生に言われたのが、
「左の頸椎と左の腰椎に詰まりが生じていますね」。

…いやいやいや。
首と腰は大丈夫なのよ。
私が痛いの、右肘だから。

言われてみれば、首も腰も前から気になってたけどさぁ。
心の中でつぶやきながら、診察台の上で施術される。
首や腰をソフトにポキッとされた。

それだけで、首と腰の詰まりがスッキリ抜ける。
…え?

そして、ここ数日、何をやっても力が入らなくなっていた手の指に力が戻ってきた。
えぇぇ~?なんで~?

全然不調を訴えていない場所の歪みを見抜いて、施術してくれたことに驚く。
施術前後に撮った写真は、明らかに左右のバランスが変わっていた。

さすがに完全回復とはいかないけれど、身体に変化があって、回復の兆しが見えてきた。
すごい。

これまで通ってきた整骨院では、電気治療や揉みほぐし。
ほぐされて楽になるけれど、時間が立つと元に戻っちゃうなぁと感じていた。

1回の施術で、自分の変化を感じたのははじめてだった。
私は、ついに"ゴッドハンド"を見つけてしまったのかも知れない。

思えば昔から、私は自分の身体をラクにしてくれるゴッドハンドを探していた。

ずいぶん昔に刊行された
近藤史恵
・著『整体師探偵・合田力』シリーズが好きである。


このシリーズに登場する合田力は、口は悪く、無愛想だが、『身体の声を聞く』凄腕の整体師。
患者の背中を撫でるだけで不調を言い当て、癒してくれる。
患者が抱える心や身体の不調の謎を解決していく、ミステリー作品である。

私は、合田の施術をずっと受けたいと憧れ続いていた。

まず、最初に瞼を掌で覆われた。ほどよい圧力と温かさが、目のまわりの筋肉に伝わる。そうされてから、はじめて、自分の目がひどく疲れていることに気づいた。
心地よさは目から、頭の芯まで伝わっていく。

シリーズ3作目『シェルター』より

ううう。文章だけでも気持ちよくなりそう。

きっとどこかに合田のような整体師がいるはずと夢見てきた。でも、今までどこにもいなかったのだ。

フィクションだものねぇ、と落胆すること幾年月。
でも、ようやく憧れ続けた合田に会えた気がした。

実際の先生は、合田と違って、すごく愛想がよくって、ソフトな印象。
いろいろと教わってきたので、せっかく巡りあえたゴッドハンドの言うことを聞いて、姿勢に気をつけ、ストレッチに励もうと思う。


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