「ブックカバーは有料です」【#今こんな気分】
「袋とカバーは有料です」
書店で何気なく本を物色していた時のこと。
レジから聞こえてきた店員さんの声に、立ち読みしていた私は思わず振り返った。
ブックカバーって、タダじゃないの!?
今まで無料でかけてくれていたのに?
プラスチック排出が問題となって、レジ袋が有料になって久しい。
また最近は、ありとあらゆる物が値上げとなって、お金がどんどん減っていく。
それなのに有料か。
ブックカバーよ、お前もか。
ちょっぴりウツウツとした気持ちになって、何も買わずに書店を後にした。
書店でかけてもらうブックカバーには、いろいろと思い出が詰まっている。
老舗書店でかけてもらうカバーは、毎度お馴染みのロゴで落ち着く。
企画ものの珍しいカバーをかけてもらうと、ちょっと得した気持ち。
本のサイズによって、ピッタリしてたり、分厚くて外れそうになるのを慌てておさえたり。
とにかく本を汚したくないから、持ち歩く時は必ずブックカバーをつけて重宝している。
サービスでかけてもらっていた、ブックカバー。
ありがたい存在だなーと、改めて思う。
ちょっと思いついて、
『有料』 『ブックカバー』 という語句で、検索してみた。
有料のブックカバーは、『ONE ECO PROJECT』といって、エコ活動支援に賛同された一部の書店さんの取り組みだという。
カバーの売上金の一部は、環境保全団体に寄付されるんだそうな。
柄もピーターラビットと猫のダヤンがあって、とっても可愛い。
これなら買ってもいいかも、と思った。
ただし値段は50円。
寄付を含めて、これを高いと思うか、安いと思うかは人それぞれだろう。
早速、翌日書店に行って、本を買うことに。
心なしか
「カバーは有料です」
と言う店員さんの声が、ちょっとビビり気味だ。
こっちはカバーにお金を払う気マンマンなので、全然平気なのだが。
幸い、私のお目当てのピーターラビットのカバーがあったので、それをかけてもらうことにした。
カバーをかけてもらいながら、
「カバーが有料だというと、ビックリされるお客様がいるんじゃありませんか?」
と聞いてみた。
彼女は消え入りそうな声で
「そうなんです。とても心苦しいんですけど」
と言う。
いろんなお客様がいるから、これまで無料だったものが有料になることを理解してもらうまでに、時間がかかるだろうなと思う。
かけてもらったカバーは、見本のとおり可愛いらしいものだった。
見本じゃわからなかったけれど、実際触ってみると和紙独特のざらつきがある。
どこか、あたたかいカンジ。
BOOK・OFFで引き取られ、商品として販売できなかった書籍やコミックをリサイクルして作られた和紙なんだって。
それに紙質が薄いけどしっかりしているから、手にも本にも、ピッタリなじむ。
特別感のあるカバーだ。
今までブックカバーを粗末にしていたかも。
もっと大事にしなくちゃってキモチになった。
ピーターラビットやダヤン好きさん、ブックカバー好きさんにはオススメできる。
このONE ECO PROJECT、ブックカバーを販売してる書店さんは、まだまだ少数のもよう。
でももしそんな書店さんに遭遇したら…。
「なんで有料なのかな?」
「どんな取り組みなのかな?」
って、まずは興味をもってもらえるといいなぁと思う。
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