元旦にゴミハウスを片付けて、ルンバを買って幸せになった話
2023年1月1日の話。
年末年始は実家にも帰らず、年末年始らしいこともせず、ひたすら一人でTwitterを眺めたり、InstagramでASMRショート動画を見たりして無為な時間を過ごしていた。
生まれてから28回目の年末年始を迎えているが、間違いなく今年が一番カスな年末年始だ。あ〜あ。
しかし、年が変わったその瞬間、私はある衝動に駆られ、いてもたってもいられなくなった。
「今、ものすごく部屋を掃除したい!!」
と。
まるで何かの宇宙信号を脳内で受信したかのように、突然の出来事だった。
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ちなみに、私はとんでもないゴミハウスに住んでいる。
毎日Uber Eatsを頼み、2Lペットボトルのお茶をガブガブ飲んでいる私は、部屋内にプラスチック製品のゴミを大量発生させながら生活をしていた。
部屋と地球の環境破壊を繰り返し、部屋全体を巨大なゴミ箱にしてしまった結果、下の写真のようなお部屋になってしまった。
※まじで本当にヤバいほど汚いので注意
Uber Eatsでスタバとすき家とマクドナルドとロッテリアをヘビーローテーションで頼みすぎた結果、このような大惨事を生み出してしまった。
ゴミの中に埋まるYogiboとテーブルが非常に不憫であり、28歳女性の部屋とは思えないカスっぷりだ。
しかも、よく見るとこの写真の中に、
水道料金の督促状も写っている。私はもう終わりなのかもしれない。いや、もう終わっているのかもしれない。すみませんちゃんと払います。
別に水道代を払いたくないわけではないし、お金がないわけでもない。
ただ「払う手続きがめんどくさい」という理由で放置した結果、水道光熱費の督促状が届きまくる人間になってしまった。
チュートリアル徳井が脱税してたときに「想像を絶するルーズさ(で脱税してしまった)」と言ったのを覚えているけど、彼の気持ちがよくわかってしまう。絶対わかっちゃいけないけど。
そんな私のゴミカス人生をよく表しているこの汚部屋だが、年が明けた途端なぜか掃除がしたくてたまらなくなったのだ。
大掃除は年末にやるのが通例だと思うので、まさか「年明け」をトリガーに掃除を始めたくなるとは、自分自身でさえ夢にも思っていなかった。
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妙な衝動に突き動かされて、早速作業を開始することにした。
ベッドからいそいそと出て、さっそくごみ袋を広げてゴミを分別していく。
無言でひたすら作業すること5時間。
ごみ袋約30枚分のゴミを出し終えて、床が見えるようになった。
だいぶ綺麗になった。まあまあの達成感だ。
でも、床が髪の毛や小さなゴミで汚い。フローリングが白いせいで余計に目立っている。掃除機をかけないといけない。
引っ越ししてきた時にAmazonで適当に買った中華チックな激安掃除機を使おう。
もう半年くらい使ってないけど。
ちなみに、私が購入した掃除機のamazonでの商品名は、
「掃除機コードレス 20000pa 電量ディスプレイ PRETTYCARE W200 長時間稼働 コードレス掃除機 遠心分離 1.2Lダストカップ 4way 伸縮型パイプ 左右180°上下90°回転 多重濾過 LED付き スティッククリーナー 掃除機 サイクロン ワイヤレス 掃除機 掃除機スティック モーターヘッド搭載 ワンタッチゴミ捨て フロア/カーペット/カーテン/ソファ/車に適用 コードレス そうじ機 コードレス クリーナー 小型掃除機 そうじき コードレス掃除機 掃除機ワイヤレス」
だった。
さあ、「掃除機コードレス 20000pa 電量ディスプレイ PRETTYCARE W200 長時間稼働 コードレス掃除機 遠心分離 1.2Lダストカップ 4way 伸縮型パイプ 左右180°上下90°回転 多重濾過 LED付き スティッククリーナー 掃除機 サイクロン ワイヤレス 掃除機 掃除機スティック モーターヘッド搭載 ワンタッチゴミ捨て フロア/カーペット/カーテン/ソファ/車に適用 コードレス そうじ機 コードレス クリーナー 小型掃除機 そうじき コードレス掃除機 掃除機ワイヤレス」を起動して掃除しよう!
私は玄関のシューズボックスに乱暴に突っ込まれていた掃除機を取り出して電源ボタンを押した。
でも、掃除機はうんともすんとも言わない。動かない。
……あれ?
充電が切れているのか? と思ったものの、充電コードは半年前から刺さったままだ。充電切れは考えられない。
むしろ、半年前から充電コードを挿しっぱなしにしていたことで、過充電が起きて壊れてしまったのかもしれない。
頭が悪いので過充電のことは正直よくわかっていないが、それくらいしか原因が思いつかない。
何度ボタンを押してもどうにもならない。対処法がわからない。
掃除機の説明書があった気がするが、私がそんなものを大事に保管しているわけがない。もちろんなくした。
昔から物をなくすことにかけては誰にも負けない。
自転車を購入した際についてきた2本の鍵を、購入から1か月足らずであっという間に2本とも失くしてしまい自転車に乗れなくなったという不名誉な実績が私にはある。
その自転車を今ではマンションの駐輪場に置きっぱなしにして、半ば不法投棄のようなことをしている。
わりと大切な自転車の鍵ですら秒速でなくしていく「物失くしのプロ」である私が、よくわからない電化製品の説明書なんて大切に保管しているわけがない。もうお手上げだ。
しかし、せっかくここまで部屋を綺麗にしたのに、ここで終わるのは嫌だという悔しい気持ちが私を焦らせる。
その時、壊れた激安掃除機にシールがついているのが見えた。
「何か問題があれば
是非ご連絡ください〜」
…………
うーん………
いや、新しい掃除機を買おう!!!!!!!!
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私は掃除機を探す旅に出るために、再びベッドに潜ってインターネットの海にくりだした。
私にはお目当ての掃除機があった。
ロボット掃除機ルンバだ。
部屋をゴミまみれにするやつにはルンバなど無用の長物であると言われたら本当にぐうの音もでないのだが、
むしろルンバがあることによってちゃんと床に物を置かなくなるのではないかというささやかな期待を抱いていた。
私はこんなに数限りない失敗を繰り返しても、まだ自分に期待をしているのだ。
そして、できれば毎日床を掃除したいという希望もあってルンバが欲しい。
3日に1回、隅から隅まで完璧にピカピカにするよりも、ロボット掃除機で不完全ながらも毎日それなりに掃除してくれる方が助かる。
なぜなら最近私は抜け毛が本当に酷く、そのせいで床が髪の毛まみれになっているからだ。
ハゲてしまう恐怖を感じるほどに簡単に抜ける。
白い床に長い髪の毛が数本落ちているだけでわりと不潔な印象なので、なるべく毎日それを除去したい。
不動産屋で今の部屋を借りるときには、その床の白さがとても綺麗で気に入って借りたのだが、綺麗なものは労力をかけてメンテナンスしないと維持できないと気付いたのは住み始めた後だった。
自分で毎日5分掃除機をかけるのは面倒でも、アプリから起動ボタンを押して、私の外出時にルンバに勝手に掃除をしてもらうくらいなら私にもできるはずだ。
上記のような理由から、ロボット掃除機(とりわけルンバ)を重点的に探していくことにした。
年始だからなのかはわからないが、各家電量販店でルンバが安くなっていることがわかった。
これは私にも手が届く値段だ! 買うしかない!
早速購入ボタンを押して配送してもらおうと思ったものの、配送だと到着が1月3日になるとの表記を見て少し悩んだ。
いや、私は!! ルンバが"今日"欲しいんだ!!!
私はいつも衝動的に生きているので、欲しいものはすぐに手に入れないと気が済まない人間だ。
店頭で取置きをしてもらって、ハンドキャリーで持って帰ることを考えた。
新宿のヨドバシカメラでお取り置きをしてもらったので、早速取りに行くことにした。
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新宿に向かう私の脳内に一つの疑問がよぎる。
「ルンバって、持って帰れる重さなのか?」ということだ。だんだん恐ろしくなってきた。
ネットで検索してみると、案外持って帰れそうだった。ノジマさんのブログを見るに、問題なさそうだ。これは杞憂だったようだ。
重量などは分からなかったものの、箱に取っ手がついている、ということはある程度持ち運べる重さだということが推測できる。
私は安心して新宿に向かった。
ヨドバシ新宿に到着。せっかく来たので訳もなく店内を物色する。
一通りぶらぶらと店内を見て満足したところで、レジでお金を払ってお取り置き商品を受け取る手続きをする。
店員さん「今持ってきますので少々お待ちくださいね〜」
店員さんを待つこと5分。店員さんは台車にルンバを乗せてやってきた。
その姿を見て私は絶句した。
「いや、
思ってた大きさと
随分違うんですけど!!!!???」
店員さんが持ってきてくれたルンバのあまりのデカさに驚愕。想像してたより厚みが3倍くらいある。
ノジマのブログで見ていたルンバと、私が購入したルンバは全然違う品番のものだったらしい。
いや、これを新宿から世田谷区の自宅まで持って帰るの無理じゃね?
屈強な男性でもちょっと嫌になるデカさじゃない?
運動なんて高校生以来したことないヒョロガリの28歳OL女性には、これは無理では??
店員さん「このままお持ち帰りになりますよね? 取っ手つけますね〜」
私「あっ、ありがとうございます……」
店員さんは、無慈悲にもルンバの箱に手際よく取っ手をつけて渡してくれた。ここで店員さんに「やっぱり配送してください」と言えるほどのコミュ力はもちろん持ち合わせていない。
腕に10kgほどのルンバがずっしりとぶら下がる。
あ、これ、無理だな……。
身体が全力で『無理』を訴えている。
引っ越しをしたときに、クソ重いベッドを横たわらせて一人で悪戦苦闘しながら足をつけて組み立てた記憶が蘇る。
すぐにタクシーを使うという選択肢が頭によぎった。しかし、変なところでケチな私はできるだけタクシーを使いたくない。
渋谷からであればタクシーに乗ったことがあるのでだいたい料金の想像はつくが、新宿からはタクシーに乗ったことがない。未知の金額を後払いするのは誰だって怖い。
せめて、せめて渋谷までは自分で運びたい……ッ!!!
新宿駅の中で、クソ寒い正月に私一人だけ顔を真っ赤にして、メガネを白く曇らせながら汗だくになってクソデカ段ボールをひょこひょこと運ぶ。腕が痛い。暑い。
両手にルンバをぶら下げて前で持つ。重心をかなり後ろにしないとこけてしまう。スリラーの逆ver.みたいな姿勢で新宿駅を歩いた。
途中で何回も休憩する。腕が痛い。手が震えて上手にスマホを触れない。こんな正月があってたまるか。体の芯から吹き出す汗を感じる。腕が痛い。
こんなときに助けてくれる友達もいない。なぜ私はこんな人生を送ることになってしまったのだろう。振り返れば最悪の人生だ。恥の多い生涯を送ってきました。とにかく腕が痛い。ちぎれる。ちぎれるちぎれるちぎれる!!!うわああああ!!
体も心も死にそうな思いをしながら渋谷に到着。無事にタクシーに拾ってもらい、自宅に到着することができた。
とにかく本当に腕が痛い。痛すぎてもはや腕が肩以上には上がらない。力が入らない。着ていたコートを脱ぐのも一苦労という状態だ。もはや大怪我レベルだと思った。
しかし、早くルンバを開封したい衝動に駆られている私は、すぐに無言でルンバを開封する。
ルンバのセットアップは簡単だ。すぐに使える状態になった。
満を持してルンバを起動させると、広くなった床を悠々と走ってくれた。時には壁にぶつかりながら不器用に掃除をしてくれるその姿には愛おしささえ覚えた。
健気に働くルンバを見て「買ってよかった…‥」と心底思った。
20分ほどかけてルンバが掃除をしてくれた結果、髪の毛も埃も綺麗になった。
うわああああ〜〜〜〜〜〜!!
部屋、綺麗だとめちゃ気持ちいい〜〜〜!!!
こうして私の部屋は1日かけて綺麗になった。
部屋に人を呼びたいくらいに綺麗になったので、まずは友達作りから始めようと思う。
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終わってみれば、私は1月1日をなかなか有意義にすごせたのではないだろうか。なんなら例年よりもよっぽど有意義な正月だった。
しかし、正月なのに帰省せずに一人でこんなすったもんだをしていたせいで、
1月1日は誰からも「あけましておめでとう」なんて言ってもらえなかったし、言える機会もなかった。
なんならヨドバシの店員さんとタクシー運転手さん以外とは話す機会すらもなかった。
そんな寂しい私だったが、1月2日にいつものようにUber Eatsでスタバを配達してもらったら、
ペーパーバッグに、「あけましておめでとうございます😋」と店員さんが書いてくれていた。
2023年、私が初めてもらった「あけおめ」の挨拶はこれだった。
大量生産品の、おそらく店員さんが無の気持ちで書いてくれたであろう新年の挨拶。でも私は嬉しかった。
綺麗な部屋で腕の筋肉痛に耐えながらスタバのホワイトモカを飲む。甘いホワイトモカが体に染み込む。
腕もすこぶる痛いし、一人ぼっちだし、人生を呪うこともあるけれど、なんだかんだ言ってやっぱり生きてるって幸せなのかもしれない。
今年はいい年になりますように。
そして、ゴミハウスを二度と生み出さない自分でありますように。
ルンバが活躍できるレベルの部屋を維持できますように。
新年の目標も決まったところで、それではさようなら。
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