マガジンのカバー画像

絵画の様式論

6
運営しているクリエイター

2018年10月の記事一覧

絵画の様式論(二)

絵画の様式論(二)

時代を象徴する様式ではなく、美術家の本質を示す様式——。つまり絵描きにとっての様式について考察を深めるようになったのは、その後、阿部展也と福沢一郎の回顧展を続けて鑑賞したことが大きい(「阿部展也——あくなき越境者」は埼玉県立近代美術館で11月4日まで、「福沢一郎生誕120年」は富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館で11月11日まで、それぞれ開催)。前者は1913年生まれであり、後者は1898年生

もっとみる
絵画の様式論(一)

絵画の様式論(一)

もし極く簡単に芸術を定義せよというなら、芸術は「感覚が自然の中に、霊魂のヴェールを透して認めるものの表現」だと言おう。
──エドガー・アラン・ポー

美術家にとって「様式」とは何だろうか。先ごろまで東京都美術館で開催されていた「没後50年 藤田嗣治」展(10月19日から12月16日まで、京都国立近代美術館へ巡回)で、もっとも深く印象づけられたのは、このような問いであっ

もっとみる