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014:追加予算 - 一度やったことは簡単になる

届いた図面の完成度はかなり高いものでしたが、それでも最初の案には改善すべきポイントがいくつかありました。

「バリらしさと日本らしさを融合させたホテル」を目指し、日本のお客様にも満足してもらえるような「ワンランク上の快適さ」を追求したい。そのためには細かいところにもこだわりたかったのです。

バリにはお洒落なホテルがたくさんあります。でも、見た目やインテリアは良くても、実際に泊まると細かい点で「あと一歩!」と思うことがありました。

例えば、バスタブ。日本人はお風呂に浸かることが多いですが、バスタブが浅かったり、仮に深くてもそこに充分なお湯を溜めるだけのお湯が供給できないことがあります。そこでバスタブは一般的なホテルより深め、ボイラーもより大きめにしました。

また、当初フロントはバリらしくオープンエアーの設計でした。それはそれで良かったのですが、冷房を完備したかったため室内にしました。

さらに、当時のバリではまだ一般的にはなっていなかったインターネットも各部屋で接続できるように、各ヴィラに回線を設置しました。

その他にも、バリらしい雰囲気は残しつつ、日本人の目線で細かい点に拘りました。

問題発生

それからしばらくして、最初の暗に対して、こちらからの要望を取り入れた図面が届き、それと同時に正式な見積が出てきました。いくつもやりたいことを追加したこともあり、提示された見積金額は予算を大幅にオーバーしてしまいました。

全然予算が足りない・・・

プロジェクトが始まって以来の決断を迫られます。

妥協をしてやりたいことを諦めるか、予算を増やすか

これは本当に大きな問題でした。でも、もしも予算を増やす必要が生じたとしても、それをクリアできる確信はありました。

初めてのことは経験がないから難しい。二度目は一度目よりも楽になる。

ヴィラのプロジェクトがスタートする前は「どうやって資金を集めるか?」が最大の問題でした。しかし、この時点では既に一度資金を集めることを経験し、それを達成しています。

「あれをもう一度やれば良い」と考えると、それはそれほど困難なことではないように感じられたのです。問題はそのことより、予算を増やしても十分な収益が確保できるかということでした。

私達は予算を増やしてもそれを返済できる十分な収益を確保できるか、入念に検討しました。その結果「大丈夫」という結論に達し、追加の出資者を募ることを決めました。実際に動き出してみると、追加予算の確保は前回よりもスムーズで、はるかに短い期間で集めることができたのでした。

その理由は次の3つだと思います。

1. 既に具体的にプロジェクトが動き始めていたこと
2. 私の中で「バリにヴィラを作る!」という思いが強くなっていたこと
3. それまで応援してくれていた大勢の人達の存在が後押ししてくれたこと

ヴィラのための資金は土地と建物を含め、最終的に約7千万円になりました。ヴィラを作りたいと思った時の私には知識も経験も資金もなにもなかった自分がここまで来ることができた。それだけでもすごいことのように感じました。

この経験であらためて実感したのは、「できるかどうか?」ではなく「必ず実現する」という強い思いを持つこと、そしてその思いをたくさんの人々に伝え続けることの大切さです。

その思いが伝わったからこそ、大勢の人々が賛同してくれて資金が集まったのだと思います。私はそれまでの全ての出来事に感謝をし、さらに感謝の気持ちを強めて、次のステップへと進みました。

読んでいただいてありがとうございます。何かを感じてもらえたら嬉しいです。これまでの経験について本にしようと考えています。よろしければポチッと・・・。