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LINEと行政サービス

※これは、「未完成な僕たちに愛を Advent Calendar 2021」の九日目の記事となります。未完成のままですので、ご了承ください。

しばらく前から、行政サービスにLineを使うことがブームになっていた。そんななかで、LineはZホールディングス傘下に入った途端に海外からデータがアクセスできていたことが問題になった。この問題について考えたい。

◇会社情報

 LINEってどんな会社なのか、意外と知らない人が多いのでは?

 LINE株式会社は、2019年12月13日設立、社員数2,800名、資本金342億円の会社です。本社は、東京都新宿区四谷にあります。出澤剛が代表取締役社長CEOで、Zホールディングス株式会社代表取締役Co-CEOでもあります。

 現在、LINE株式会社の株は、Zホールディングス株式会社が保有していますが、Zホールディングス株式会社(旧ヤフー株式会社)の主要株主はAホールディングス株式会社(65.3%)で、Aホールディングス株式会社(Yahoo! JapanとLINEの経営統合)の主要株主は、ソフトバンク株式会社(50.00%)、NAVER Corporation(韓国)(42.25%)、NAVER J.HUB株式会社(7.75%)となっています。

 元をたどると、1997年に韓国サムスンの社内ベンチャー「ウエブグライダー」チームが始めた韓国語検索ポータルサイト「ネイバー」です。そのチームは、1999年12月にオンラインゲームポータル「ハンゲーム」を開始し、日本法人として、2000年10月にハンゲームジャパンを設立しました。

 ハンゲームジャパンは、2003年にNHN Japan株式会社となり、2010年、ライブドアを完全子会社化して、2011年にオリックス・バッファローズのユニフォームスポンサーとなりましたが、これがホリエモンとバッファローズ騒動の結末だったのでしょうか。

 2013年4月1日に、ヤフー株式会社(現Zホールディングス株式会社)と業務提携を行い、LINE株式会社となりました。

 細かく言えば、もっといろいろありますが、LINEが単なるベンチャー企業ではなく、韓国企業の日本法人から始まって、ヤフー、ライブドアとの経営統合、色々な大手企業との業務提携を行ってきた、幅広い守備範囲を持ち様々なしがらみを抱える会社だと思われます。

◇LINEアプリの誕生

 2011年3月11日の東日本大震災で、家族と連絡が取りにくい状況が発生していたのを見た、NHN(韓国)の創業者、李海珍(이해진)が発案しました。李海珍が日本に滞在し、当時、ネイバージャパン役員企画本部長であった慎 ジュンホ(신중호)がプロジェクトを率いて開発を進めました。

 開発者は15人で、開発チームリーダはネイバージャパンの稲垣あゆみ。日本国籍のメンバーが70%~80%で、他に韓国、米国、中国のメンバー構成でした。開発した場所は日本で、リーダーは日本人、メンバーもほとんど日本人ということで、日本製と言われることもあります。

 2011年6月にメッセンジャーアプリ「LINE」のサービスを開始しました。短期間で開発できたのは、NHN(韓国)が開発した「ネイバートーク」をベース(または参考)にしていたからと言われています。「ネイバートーク」は、2011年2月にリリースされていましたが、「カカオトーク」との競争で敗れてサービス終了となっていました。

◇いつからLINEは行政と結びついたのか

 LINEは、2016年7月15日に東京証券取引所市場第一部に上場し、8月3日には渋谷区とシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定(S-SAP)を締結しました。

  これは、渋谷区内に拠点を置く企業、大学と連携して社会的課題を解決し、区民サービスを提供していくというものです。

 参加している企業、大学は30以上ありますが、LINEが一番最初に締結しています。LINEは、2019年6月1日より渋谷公会堂のネーミングライツプロモーションパートナー(ネーミングライツ事業者)となり、新名称を「LINE CUBE SHIBUYA」とするなど、渋谷区とは強い結びつきがあります。

 一方、第2次安倍内閣でマイナンバー制度が開始し、世界最先端デジタル国家への動きが進められます。

・2016年12月に「官民データ活用推進基本法」
・2017年5月に「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(平成29年5月30日閣議決定。令和元年6月14日改定。)
・2017年5月「デジタル・ガバメント推進方針」

 Zホールディングスは、行政のデジタルトランスフォーメーションを柱とし、その主軸にLINEを据えています。2019年5月「地方公共団体パッケージ」を売り出し、2020年7月21日には、自治体のスマートシティ推進を支援する 「LINEスマートシティ推進パートナープログラム」を創設し、自治体416団体(2021年8月1日時点)が参加しています。そこでは、「持ち運べる役所」として、住民の利便性向上と行政の業務効率化を実現するプロジェクトになっています。

◇LINE問題

 アメリカでは2001年から米国愛国者法(パトリオット法)が施行され、データの海外保管についてのリスクが報じられていました。しかし、2010年当時は、クラウドサービスは個人レベルの利用が多く、サーバーの所在地に関して、それほどニュースになることはありませんでした。

 しかし、2018年3月にアメリカでクラウド法(CLOUD Act)が可決され、トランプ大統領が華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の中国企業に対して安全保障上の懸念があると言い始めてから、データの保存先に関しての注目が高まりました。日本でも、これからクラウド化によって多くの企業、行政がデータを預けようとしている時期で、特にワクチン接種予約でWebサービスでの対応が急がれ、多数の自治体がLINEを採用していた時でした。

※ NHK, ワクチンの接種予約へのLINE利用 自治体により対応分かれる, 2021年4月15日, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210415/k10012975511000.html

 2021年3月17日、ユーザーの個人情報の取り扱いに問題があるとの報道に対し、LINEから「ユーザーの個人情報に関する一部報道について」と説明がされました。情報漏洩はなかったものの、データの保管場所の変更およびデータのアクセスコントロールの強化などの対応策が出されました

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