#93 目の前のことを大切にすると楽しくなってくる。
ミヒャエル・エンデの「モモ」という児童文学をコツコツ読んでいます。
まだ全部は読み進めていないのですが、印象的なセリフがあったので忘れないうちにと思いnoteに起こすことにしました。
人の話を分け隔てなく聞ける主人公の少女モモが、寡黙な道路掃除のおじいさんペッポと話すシーンです。
ペッポは、決して喋らないわけではないんです。返事に時間がかかるんですね。
モモはペッポのことをよく理解しています。
返事に時間がかかるのは、決して間違えたことを言うべきではないと思ってのこと。
世の中の不幸のすべては、やたらと人が嘘をつくことから生まれているから。
しかもその「嘘」は、せっかち過ぎたり、正しくものを見極めずにうっかり口にしたりする、そのせいなのだと。
ペッポはそういう考えを持っているから、返事をするのに時間をかけるんですね。
少女モモは、聴くことに優れています。だから、世間から寡黙で何を考えているかわからないと思われているペッポの話も聴くことができます。
ぼくはとてもペッポというキャラクターに惹かれました。
ペッポがモモに仕事について語る場面があります。
そのときのペッポのセリフです。
「とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」
こう続けます。
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへってない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路は残ってるのにな。こういうやり方は、いかんのだ。」
しばらく考え込んで、ペッポは続けます。
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひといきのことだけ、次のひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
さらに、考える間があって、このように続けるのです。
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」
先をみる。
そうすると、今のままじゃだめだ、って焦ってしまうことがある。
頑張りすぎてしまうことがある。
結果、道半ばにして折れてしまうことだってある。
目の前をみる。
ひたすらに目前のことに一生懸命になる。
すると、なぜだか楽しくなることもある。
同じことをしているのに、感じ方が違う。
目線を変えることで、感じ方が変わることがある。
ものごとってそういうものかな、とも思います。
先を見通すことも大事。
今を一生懸命に生きることも大事。
こと、モチベーションに力点を置くなら、今を見つめることが大切なのかな、と思いました。
ペッポの人生観もとても好きです。「意図しない嘘」を、ぼくもついちゃってるかもしれないなと思いました。
“ことば”は大切に扱いたいと思います。
この作品はまだ読み始めたばかり。
ペッポのようにコツコツ進めて、有意義な読書時間を過ごしたいと思います!
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