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#112 福祉事業所における利益の捉え方。

会社=売上・利益を上げ、大きくなるためにある。
民間企業が福祉をやろうとすると、利益重視になるため、本質的な寄り添う支援はできない。

そう捉えていませんか?

少なくとも、かつて自分はそう捉えていました。

自分は、NPO・一般社団法人の障害福祉スタッフを計4年経験しています。
昨年転職し、現在、ソーシャルベンチャー企業の障害福祉マネージャーになって1年以上が経過しました。

頭ではなんとなく違和感を感じていたものの、ようやく肌感覚でこの考え方は間違っていると気づきました。

その感覚を明瞭にしてくれた本があります。

9割の社会問題はビジネスで解決できる

社会的企業家集団を生み出す仕組みを構築しているボーダレスジャパンの代表田口一成氏の著作です。

この方のやってきたこと・考え方については、下記プレゼン動画が分かりやすいです。

この時気をつけなければいけないのは、善意だけで買ってもらう商品やサービスは長続きしないということです。
お客さんは最初は社会貢献という意味合いで買ってくれることがありますが、1回買うとその善意が満たされてしまい、単発的な関係で終わってしまうことも少なくありません。

「9割の社会問題はビジネスで解決できる/田口一成」p.38

例えば、就労継続支援B型事業所は、定期的に仕事の受注を受け続けなければなりません。

B型事業所は、福祉的就労の場と言われています。

A型かB型かによって、雇用契約を結ぶ/結ばないの違いはありますが、継続して働いてもらうことには変わりないわけです。

働いてもらうためには、継続して工賃を支払うことが必要。

継続した工賃を支払うだけではありません。現在、B型事業所では工賃向上計画の作成が求められています。

工賃向上=生産活動費の向上が求められます。

善意で買ってもらう商品/サービスだけでは、継続した受注には繋がらない。
ならば、継続した受注のためにはどうすれば良いか?

「社会貢献になるから買う」だけではなく、シンプルに「モノがいいから、サービスがいいから買う」という要素が必要にないと、選び続けてもらえないのです。
つまり、非効率を含んだビジネスでありながら、「これ最高だよね」と生活者が買い続けたくなる商品やサービスをいかに提供していくのか。(中略)

本著を読んで、改めて、福祉事業所だからと妥協せず、より質の高い製品・サービスをお客様に提供する必要があるのだな、と再認識させられました。

では、最初の問いに戻ります。


果たして、利益を追うことは本質的な支援ではないのでしょうか?

最低賃金は向上しつつありますが、工賃は事業所が決めることができるので、変わらないところはずっと変わりません。

事業所の裁量に委ねられています。

工賃が向上し、障がいを持つ人々の「できること」が経済的な側面からも増えれば、それは価値の高い「支援」と言えるのではないでしょうか。

工賃の向上のため、質の高い商品・サービスを事業所内で開発し、外へ提供する。
これも利用者さんのWell-beingを高める支援の一つと今の自分は捉えています。


利用者さんのニーズを満たすことのできるよう相談支援業務・直接支援業務を行う。
事業所として、利益を上げる努力をする。

これは両立できるし、むしろ、両立することこそが、福祉の本質に真に迫れるのだと思います。

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ふくしまソーシャルワークラボでは、『思いやりを広げる人を増やす』をミッションとし、社会福祉に関する啓発活動をプロボノ活動として取り組んでいます!
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