足跡

置いてきた足跡は
歩まなかった未来を空想するかの様に
大きく膨らんだ

それを見た僕は怖くなって
ひたすらに前だけを見て歩むようになった

振り向けば後悔で
押し潰されるかも知れないと思っていた

ある日、歩む先に光を見つけて
大きく息をつく

やっと見つけた
安堵の息のような、ため息のような

ようやく僕は振り返る

後ろを見て気がついた
ああ、全部僕なのだと

あったはずの理想の僕も
それを選べなかった僕も
そんな後悔を重ねてきた僕も

不甲斐ない自分を受け入れた
今の自分を作る為の僕だったと

置いてきた足跡は
置き去りにした僕を祝福するかの様に
綺麗に色づいていた

再び僕は前を向き
もっと綺麗かも知れない
光に向けて歩き出した