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荒波に揉まれ、ふくしに漂流してみて|叶谷凜生|2023-24 essay 08 【影山ゼミ・フィールドワーク】

所属や分野・領域の垣根を超えて多様な人たちが集まり、対話し、実践的に学び合う「ふくしデザインゼミ」。2度目となる今年は、28名の学生と若手社会人が、東京八王子、伊豆大島、滋賀高島、長崎諫早の4地域をフィールドに「福祉をひらくアイディア」を考えてきました。

正解のない世界を漂流する2ヶ月のプロセスのなかで、若者たちは何を感じ、何を思うのか。このエッセイでは、ゼミ生一人ひとりの視点から、ふくしデザインゼミを記録します。essay 07からは、フィールドワークのお話です。

どうも、かのちです。やっっと!やっと、このエッセイが書ききれそうな気がして。

ずっと逃げていました。大学の期末レポートだったら即落単ってぐらい締め切りを過ぎているけど、今更ながらどうしても書きたくなりました。影山ゼミへの気持ちが、自分の中で確かな言葉になりました。

「かのち!何があったんだ!」そう思うでしょう?今日は少しだけ、影山ゼミの軌跡をたどっていきたいと思います。


始まってしまった、影山ゼミ。

私たちのテーマは「半福半X~地域と福祉をつなげる~」。キックオフキャンプの時、明らかに私たちのゼミは困惑していました。このテーマに、そしてゼミのメンバーに、です。

半福半Xって何、、?という位置からスタートした人。半福半Xについて飲み込めていて、自分の言葉で表現できる人。それぞれの立ち位置の現在地が分からないままに、議論が進んだかと思えば、急に置いてけぼりにされた気持ちになって。私自身、テーマをつかめているようで、実は異質なものを「ただ持たされているだけ」みたいな。動揺。困惑。そんななかで「始まってしまった」のです。

そこからの影山ゼミは、お互いにくっつこうとしたり、離れようとしたり。自分たちなりに、まず探る期間であったように思います。

今まで私はチームなら「くっつく」のが当たり前だろうと、そう思っていました。でもね。このメンバーそうは思ってないみたい。ひとりでみんなにくっつこうと頑張って、くっつけた!!って思ったら、すぐ離れてしまって。そんな「わからなさ」に身を任せていくうちに、「チームならまとまるのが当たり前」と思っていたこと自体が自分の凝り固まった考えなんだと。やっと受け入れられました。

波浮港で。山と海を一望できる絶景でした。

他の星からやってきたもので。

あっという間にフィールドワーク前になり、ゼミをちょっと俯瞰してみると、「あれ、半福半Xのことってどこいったの?」

自分たちはただ足踏みをしているだけになっていないか。まとまってもいない。本当に進んでいるの?それぞれがそれぞれの方向を見て、何も混ざり合っていない感覚のままフィールドワークに雪崩れ込みました。

1日目を終えて、大島の自然に、そして人のあたたかさに触れ、火を囲む中で酒を交わし、互いに溶け合えているような感覚になりました。

1日目の夜にいただいた思い出の「御神火」。
いつもゼミ生をつないできたのは、お酒・・?

ところが、2日目。いよいよ企画会議!なのに、あれれ、自分の思いが整理つかず、そして互いの思いが分からず。なんだかゴタゴタした雰囲気。モヤモヤ、ちょっぴりイライラ。

昨日までの程よい溶け具合はどこにいったの?2月の寒さで一気に固まっちゃった?

これからどこに向かうのか分からず、また困惑していました。加えて、今まで整理してこなかった、向き合ってこなかったお互いの気持ちが爆発したのはそのあと。あるゼミ生が、影山ゼミの今までの話し合いの姿勢・進め方の良くないところを話し始めました。

今まで進めてきた私が悪いの?その時は心の余裕もなく、そう思わざるを得ない状況でした。泣きたくなかったけど、泣きました。泣いたら意外とすっきりして、その人が言いたかったことも飲み込めて。その後、みんなでお酒を呑みました。

私たちは、それぞれ本当に違う星からやってきたんだね。とその人は言います。本当にそうです。だからこそ私は話していきたいと思うんですよね。

わからなさがありつつも必死にアウトプットした企画会議

不恰好ってなんかいい

フィールドワークの最後。プレゼンにむけてメンバーにアナリスト、デザイナー、などそれぞれ役割が与えられました。私は「メンバー同士をつないでいく」マネージャー的な、役割?

ここまで。メンバー同士をつなげようと何度もバットを振り続けてきましたが、どれも空振り三振。もうバッターボックスにも立つ気力がない、そんな気持ち。でも一方で、影山ゼミをここから変えていけるかもしれないという一筋の自信がある自分もいて、「あまり自信ないけど、やります」、なんて中途半端な答え、頼りないマネージャーのスタートです。

そこからは不器用ながら不恰好ながら、「マネージャー?」やってみました。いきなり深夜に、焦ってLINEグルに「これやらなきゃですよね!!」と投げかけたり。個々とのやり取りを通してそれぞれの役割の伴走をしたり、下手だけどファシリテーターやったり。

気づいたら、このマネージャーという役割がとても重く。いつも「何もできていない」自分に矢印を向けて責めている期間がありました。本当は私は何も分からないんだ。どうしたらいいのか、困っているんだ。

そういう姿をみんなに見せてしまおう。みんなに託してみよう。中間発表前のミーティングで、すべてさらけだしました。「無理だ!!」「わからない!!」他のゼミ生もいるなか、カラオケで、そして大声で。

今まで澄ました顔でミーティングのファシリをやっていたのに、急になんて投げ出し方をするのでしょうか。でもね、そのミーティング凄くいい雰囲気でできたのです。

自分の弱さを見せること、気持ちを話すこと。これがもしかしたら、何かを変える。他の星からやってきた者同士が分かり合えるヒントなのかもしれません。

講師の影山さんは、大事なところに石を置いていってくれる。今の私たちから遠い場所に置かれる石もあれば、昔通り過ぎてしまったところに石を置きなおすこともある。

それを辿りながら、「こうかな?いや、もしかしたらこういうことかもしれない」と、3/3にみなさんに「何か」が伝わるように、駆け抜けます。

|このエッセイを書いたのは|

叶谷 凜生(かのや りお)
東京学芸大学教育学部3年

お知らせ ~公開プレゼンを開催します!~

3月3日(日)には、正解のない世界を漂流した2ヶ月のプロセス、そしてアウトプットを共有し、みなさんとともに思考と対話を深める、公開プレゼンテーション〈「ふくしをひらく」をひらく〉を開催します!
エッセイを綴るゼミ生たちがみなさんをお待ちしています。ぜひご参加ください!


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