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飲みすぎとsober curiousのあいだ

日本人とお酒

日本における最古のお酒の記述は古事記、日本書紀にみられます。
古代、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する時に使用したのが酒、日本酒です。出雲観光ガイド参照
日本は自然豊かな国で、地域により風土が異なります。
地域特有の穀物、微生物がその土地ならではの酒を作り出します。
神にお供えする事により豊作、無病息災を祈り、その酒を飲む事で厄を払い身を清めてきました。
私たち日本人にとってお酒は酔っ払うための飲み物という位置づけではなく、皆が健康で平和に生きていく為に、神との交流の為に必要な飲み物であったことがわかります。

しかしながら近年、私たち日本人が何世代にも渡り受け継いできた酒文化を完全に否定するような考え方が生まれ、一つのムーブメントになっている事をご存知でしょうか?

シラフ is COOL.

僕も最近知った言葉なのですが、sober curious という考え方があります。

簡単にいうと、飲まない方が体も頭もスッキリ!という事だと思います。

確かに、それは実感する事もあります。ついつい飲みすぎてしまい次の日に後悔する事もしばしば…年齢を重ねると2日酔いの日は夕方ぐらいまでは頭が機能していません笑
お酒が好きな皆様も2日酔いの経験はありますよね??
そして、今まで必要ない飲酒が多かったような気がします。
必要ない飲み会、適切でない量のお酒。

日本人の神聖であるお酒文化はいつしか神とは無縁のところまで辿りついてしまったようですね。

文化継承の為に

今、小倉ヒラクさんの発酵文化人類学という本を読んでいます。

お味噌のお話の中で
“産業を作る事により文化が途絶えてしまう”という内容の記述がありました。お酒業界はまさにこの記述通りだと思いました。
少し本の中から引用させていただきます。

特許や業界の規格によって技術をさせたり、産業を作る事も大事だ。
しかし同時に技術や知識をオープンにする事、つくる人を増やす事も大事。

これはお味噌を含め全ての業界にとって言える事だと思いました。

〝囲い込むこと〟が極端になりすぎると、プロが大量生産するものを、素人がお店で買うという関係性しかなくなる。最初のうちは、以前よりもたくさんのお金が生まれて新しい市場が生まれ、消費者は便利になり、メーカーも利益が出せる好循環が生まれる。

働く事が人生の大半を閉め、夫婦とも働きが当たり前になった現代では消費する事で時間を節約したり、何かを補う事が当たり前になっているんですね。

買うだけで、自分でつくらなくなった消費者は“味噌とはそもそも何なのか”を忘れてしまう。省略
メーカーと消費者のすれ違いを放っておくと、いつしか文化そのものが消滅してしまうかもしれない。

お酒の業界もこの悪循環に陥ってます。
味よりも量。原料由来でないものの添加。品質の良くない原料の使用。
それらを本物と認識する消費者。

小倉ヒラクさんの記述に驚き、そして感動しました。
このままだと日本人が日本のお酒文化を消滅させてしまう事になります。

冷静と情熱のあいだ

本当に必要な物を必要な量だけ頂く。
必要以上にいただく必要はなく、文化や歴史に関して全てを学ぶ必要はないと思います。
飲みすぎは良くないし、全く飲まないことは寂しい。
ただ飲むのではなく、飲める事に感謝しながら味わって飲む。
そんな日本になれば良いなぁと心から思います。

理想はお酒造りの免許を廃止して、課税しない事ですが、現実的ではないです。
自分にできることは、造りを一生懸命する事。
造り手の立場から本当の事、事実を発信する事。
大好きなお酒の文化がこれからも継承されるように続けて日々精進してまいります。

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