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メイクの仕上げは、にっこり笑顔。

私が鏡に向かいメイクをしていると、横から視線を感じることがあります。じぃー。
『次、これでしょ?』
『うん?ありがとう~』
どうやら娘は、私が次に手を伸ばすメイク道具の順番を自然と覚えたようです。凝ったメイクをする訳ではないし、正直、『見てて楽しい?』と思うのですが、考えてみると、私にもありました。そう、それは遠い日の祖母と私の大切な時間の中でのこと。

毎年、夏休みを秋田で過ごしていた私の楽しみは、毎朝、祖母が化粧をする様子を見ることです。じぃー。

『ねぇ、これ何に使うの?』『これは?』『これも使う??』
化粧箱の中から、見たことのない道具を次々に取り出しては、祖母に聞きます。母は皮膚が弱い等の理由で、化粧を好まない人でした。参観日や親戚の集まりの際、しぶしぶ化粧をする姿を見ても、全然、面白くありません。それに比べ、祖母の化粧は違いました。元々、何事にもゆったりマイペースな祖母ですから、当然、化粧の時も時間をかけて丁寧に下地作りから始めます。『自分、大好き』とも思われる表情で化粧をする姿を見る度に、『絶対におばあちゃんは自分に惚れている!』と思っていました。化粧の仕上げは紅を引きます。唇の周りに優しく、丁寧に線を書き入れる時、私は何故だかとてもドキドキした覚えがあります。

大学生になり、最初に祖母に会った時のことです。メイク姿の私を見て、祖母は『ほぉ~。いいことぉ』とそれはそれは嬉しそうに褒めてくれました。メイクに反対ではなかったけれど、メイクを覚えた娘にどこか冷ややかな目を向ける、父や母と違うその反応がとても嬉しかったです。(今になって思うと、両親なりに娘の変化に戸惑いもあったのでしょう…)
ある時、私が祖母の隣でメイクをしていると、じぃー。熱い視線を感じました。

『tomoさん、(祖母は私を「ちゃん」「さん」と気分で呼び分け、時々、丁寧語で話す人でした)それは何ですか?
『あー。これは、マスカラだよ~。睫毛に塗って、長く見せるの!』
『ほぉー。それ、おばあちゃんの分も買ってきてけれぇ?』
『うん。いいよ!』

マスカラに興味を持ち、それを欲しがる祖母をかわいい女性だなぁと思いました。早速、祖母はお財布から1万円を取り出し、私に渡します。

『多いよー。1本、千円ちょっとだから・笑』
なんぼ?千円?ほぉー。じゃあ、残りでtomoさんの分を買いなさい。あなたも使うでしょう?』
『ありがとう~。当分、マスカラには困らないね・笑』

他愛無い会話は、穏やかで優しくて…。心地良い、大好きな時間でした。そして、何より、綺麗になりたいとメイクや髪形を工夫する行いを応援肯定されているようで嬉しかったです。女性らしさを求めることは、それが例え自分自身のためであっても、時に誤解を受けることもありますからね…。

メイクは私の生活習慣の一部です。耳鼻科の手術で入院した時も、出産の時も、私はこっそり、ほんのうっすらメイクをしました。でも、看護師さん達の目は誤魔化せません。『少しメイクしてるでしょう?顔色の変化が分からなくなるから、落として下さいねー』と見抜かれてしまい、お願いして、眉毛だけは許可してもらったり・笑。世界がコロナに見舞われ、自宅で過ごす時間が増えた時も、何処へ出かけるにも大きなマスクを着けるようになってからも、ずっと毎日、メイクをしています。『マスクがあるから、メイクしなくて楽~♪』と喜ぶ姉にとっては、理解不能のようです・笑。

どうして、私は毎日、メイクをするのだろう?家族以外と顔を合わせない日もあるし、外出しない日だってあります。メイクが生活の一部習慣になっているのも理由でしょう。そして、一番は、メイクをしている自分の方が好き!根底にこの気持ちがあるからだと思います。

メイクをする時には、必ず鏡を見ます。じぃーと見つめて、顔色目元の状態を見ると、何となくその日の調子が分かります。仕上げには『今日もよろしく~』ニコッと笑顔を作ります。これで、よし!

先日、新しいファンデーションを試した時、すぐ近くに祖母を感じました。『おばあちゃん、私は元気だよ~』この日は、自分自身に、そして、いつでも応援してくれた祖母に向けて、仕上げににっこり笑いました。

《祖母との思い出シリーズ2》を読んで下さり、ありがとうございます。残念なことに私のメイク技術は高くありません・涙。バッチリ、しっかり系ではなく、ごく普通のメイクです。ただ、毎日しているので、面倒に思った時、それは本当に病んでる時なのでは?と、少し心配です。らったった☆


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