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カテキンのがん予防・抗がん効果


・はじめに

がんは1981年以来、
日本人の死因の第一位の病気です。

2019年の、がんによる日本人の死亡者は
37万6425人
(男性22万339人、女性15万6086人)で
年々増加しています。
一生のうち2人に1人
(男性:65.0%、女性:50.2%)は
がんと診断されています。

がんは私たちにとって最も身近で、
誰でもかかりうる病気だといえます。

がんにかかったら、
早期発見・早期治療が重要ですが、
がんの発生・進行の初期段階では、
自覚症状がありません。

そのため定期検診や、
生活習慣の改善によるがんの予防が
大事となります。

緑茶に含まれるカテキンはがんを予防し、
進行を抑制する効果があることが
動物実験を通じて明らかになってきています。

・がんの予防

がんの発生の仕組みは、大きく分けて
3つの段階に分けられます。

1.正常な細胞の遺伝子が変異する
2.遺伝子の変異が相次ぎ、
  細胞の増殖が止まらなくなる
3.細胞が悪性化、がん(悪性腫瘍)となる

カテキンは、このすべての段階を阻止し、
発がんを予防する可能性が示唆されています。


・抗がん作用

では、既にがんになってしまった
細胞に対して、
カテキンはどんな作用を示すのでしょうか。

体内には、がん化した細胞の
増殖・転移を抑える仕組みがあります。
そのうちの一つが、
細胞に自ら死ぬよう促す
「アポトーシス」です。

始めに、膜の構造が変わって
細胞が膨らみます。
次に細胞内の遺伝子が細切れになり、
細胞がバラバラに分かれていきます。
分裂した小さな細胞は、
免疫細胞によって除去されます。

カテキンはがん細胞のアポトーシスを
誘導することで、
がん細胞を死滅させる効果が報告されています。


・ヒトを対象とした研究

動物試験を通じて
カテキンのがん予防・抗がん効果の
しくみが明らかになりつつある一方、
カテキンがヒトに対しても
同様に有効であるか、
実証研究が進められています。

埼玉県立がんセンター研究所の報告では、
40歳以上の一般地域住民8552名を対象に、
1986年から10年間の追跡調査を行いました。

8552名の中から、
がんを発症した419名を
一日の緑茶飲用量3杯以下、
4~9杯、10杯以上の
3グループに分類しました。

3グループのがん発症年齢を比較すると、
飲用量の増加にともない
男性は65.0→68.2才に、
女性は67.0→74.3才となり
緑茶の飲用は発症を遅らせる効果が
示唆されました。

今後のさらなる研究の進展により、
ヒトにおける
カテキンのがん予防・抗がんに対する
有効性がより明らかになることが
期待されます。