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卒論と焼肉とTCGのゲームデザイン

ある日、卒論発表が終わって、友人と焼肉を食い、友人宅で遊ぶことになった。そんな日に考えた、日記を軸としたゲームデザインの考察コラムだ。

最初に述べておきたいこととして、私は卒論発表会により脳が疲労しており、なおかつ焼肉を食った満腹感で正常な思考力を手にしないまま当文章を構成している可能性がある。論文脳のままに徐々に理論が迷走していたとしても、これはあくまで日記という体なので暖かい目で見守って頂きたい。

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まず、焼肉。友人と2人で食べた。肉を焼きあい、お互いに必要なカロリーを摂取する。これはある意味で、お互いに肉を監視することによって肉の質を高める協力プレイゲームであり、しかしそれぞれが狙った肉を確保するというVS型ゲームでもある。ここでのゲーム勝利条件は「互いに狙った肉を確保し、腹を満たす」と仮定する。

この日は、お互いに必要なカロリー摂取量に差があり、かつ気の知れた良き友人だったので焼肉における肉の奪い合い戦争とはならなかったが、焼肉というシステム自体は非常にゲーム性の高い行為だと言えよう。ごちそうさまでした。

肉を食い終え、最初はポケモンカードゲームで遊ぼうということになり、BOOK・OFFでポケモンカードゲームを揃えようとしたところ、意外と1デッキを揃える事が難しいことが分かり、ポケカ遊びを後にした。

この現象をゲームデザインの観点から考えてみる。TCG(トレーディングカードゲーム)というものは、チェスや将棋といったゲームと違って、ゲームを始めるために各個人によって異なる金銭的コストがかかる。

カードには「レア度」が存在し、出現率はカードによって異なる。つまり、トレーディングカードゲームは金銭的資源の有利なプレイヤーほど強いカードを手に入れられる構図となっている。

だから、新しく気軽にトレーディングカードゲームを購入しようとしても、既に他のプレイヤーは潤沢なカード資源を持っており、そこに太刀打ちするためには現環境に追いつくだけの圧倒的金銭的資源や戦略性を学習する必要がある。

という観点から、トレーディングカードゲームというものは、カードや戦略といった資源を積み重ねていっていったプレイヤーが強く、強いプレイヤーのコミュニティが確立されているという環境が生まれやすい。そこがコアファン層になっているため経営陣としては有難いことなのだと思うけれど。

初心者は初心者同士で最低限のカードを揃えて始めればいいが、初めのうちはカードが少ないために戦略性に乏しくカスタマイズ性に欠ける。そうなると、娯楽が溢れる現代において新たなトレーディングカードゲームにわざわざ新規が参入する価値は失われていく。

ゲームとしての焼肉と比較すると、トレーディングカードゲームには明確なルールがあり、明確な勝者が存在し、服に焼肉の匂いがつかないという利点がある。しかし、参入のためには他プレイヤーと戦えるレベルのカード収集力や固有の知識が必要だという点で焼肉の方が参入障壁が低い。

ゲームとして作られているので、焼肉と比べれば確実にゲームらしい「おもしろさ」を味わえる。そして、焼肉はお腹いっぱいになるけれど、トレーディングカードゲームには拡張性があり、お腹いっぱいになることはない。これは大きな違いだ。

拡張性という点では、卒論も同じだ。ここで少し「ゲームとしての卒論」を考えてみる。ここでの勝利条件は、「卒論発表会の審査で卒業判定を貰う」と仮定する。

教授陣に対して、自分自身の大学の学びを如何にアピールするかが戦略性として問われる。大学で学んだ理論を応用したり、参考論文を引っ張ってきたり、プレゼン資料を分かりやすくデザインしたりと、そこには様々な戦略がある。

しかし、実はこの卒論というゲームにおいてトレーディングカードゲームとは明確に異なる点がある。一部、教授を敵プレイヤー視して卒論執筆をすすめる層もいるけれど、教授も自身が担当した学生が卒業することを望んでいない訳が無く、一定のボーダーを設けているだけである。

トレーディングカードゲームにおいては倒すべき相手プレイヤーが明確に存在し、それを倒せば勝ちで倒された方が負けとなるが、卒論は特定のボーダーとの戦いで、それを超えれば特定のユーザー全員が勝利することができる。逆に全員が敗北することもある。勝ち負けの判定方法における大きな違いだ。

ここで焼肉というゲームに立ち返ってみる。これも各人の満足度に勝利条件が委ねられるので、確実な勝ち負けの判定がないゲームと言える。ただ、卒論は「特定のボーダーに達しなかったら負け(卒業不可)」となるが、焼肉における負けとは何だろう。値段に応じる満足度が得られなかった、食べ放題で食べすぎて腹を壊した、焼肉臭で好意を持つ相手に嫌われた、などが思い当たる。この辺は各人が任意に設定するものなのだど思う。

というように、日常風景をゲームデザインとして考えてみると意外と楽しくなってくる。卒論発表会で脳を回転させた後だからか、様々な事物を理論化するのが楽しい。特にゲーム関連の卒論を発表した訳では無いけれど、今後も個人的にゲームの考察は続けてみたいなと思う1日であった。

おまけ投げ銭コーナー

この日は、玩具屋で購入したバウンス・オフというゲームを友人やったのだが、このゲームにおけるゲームデザインについても思うところがあったので少々。

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