新作ドキュメンタリー映画『BORDER 戦場記者 × イスラム国』
須賀川監督の新作ドキュメンタリー映画『BORDER 戦場記者 × イスラム国』。
まずは3/15からのTBSドキュメンタリー映画祭で3回だけかな、上映されますね。
20日(水・祝)東京を皮切りに、全国6都市で順次公開されます。
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前作『戦場記者』を観ていなくて、この『BORDER 戦場記者 × イスラム国』を試写会にて先に観ました。
そして、配信で『戦場記者』を観ました。↓
というのも、これが須賀川さんの作風なのかどうかを確認したかったので。。
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ガワの話
このドキュメンタリー映画の中で描かれている惨状や近未来への絶望など、、内容が凄まじいのですが、、それはひとまず置いといてまずは「ガワの話」。
全体的にニュース番組、テレビ番組のような雰囲気がありました。
章の頭の動的デザインが、言ってしまえばちょっとかっこ良過ぎた??
音楽もちょっと煽ってるかなと思いました。。
ご飯食べながら見るニュース番組であれば、この演出は効果的だと思いますが、
真正面に座って誰とも喋らずまっすぐ集中して観る「映画」だと、ちょっと過剰に感じました。
で『戦場記者』を観ましたらそっちはそんなことはなかったので、毎回やってる須賀川さんの作風ってわけではなさそう。
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もちろん自分の映画なんだから好きにすりゃいいんだけど、、
もうちょっとガワの演出は抑えめにクールにした方が
内容の凄惨さが直に伝わったかなとは思います。
もうちょい映画的な雰囲気があった方が、
せっかくテレビでもYouTubeでもなく「映画」として観せるのであれば、新規顧客といいますか、映画なら観る人、ドキュメンタリー映画が好きな人、とかにも届くかなと思いました。
ジャーナリストが画面に映り込まなくても全然作品としては成立するんだけど、
日本人である須賀川さんが映っていることで、自分と近しい人がこの地に足を踏み入れて兵士や為政者と喋って、子供から「お前の首を切り落としてやる」と言われているシーンを観るからこそ、
他人事ではなく胸に突き刺さると思うので
ジャーナリスト本人がずっと映っていることはとても意味も効果もあると思いますし、
ジャーナリストを含めた取材者たちの姿ややり取りを映すことで、ただ観るだけじゃない何かが生まれるとは思います。
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中身の話
壊滅したと思われたイスラム国。
実際、リーダーもいないし支配地域もないみたいなんですけど、散らばった世界各地とか難民キャンプの中で、その思想がむしろ濃縮して増殖しているようです。。
今、イスラエルがハマスに対してやろうとしていることがいかに無理な話なのかが、、、この映画を観るとわかりますね。。
難民キャンプ内で何の教育も受けずにただ母親たちから過激思想を叩き込まれた子供たちから須賀川さんは
「お前の首を切り落としてやる」と言われます。
異教徒だという理由で。
子供らしいギャグや馴れ合いではなく、思想に基づいた本気度の強い言葉なのは映画を観た人ならわかるし、、ものすごい恐怖です。。
↑映画『月』のレビューでも書きましたが、
自分のことを殺そうと思っている人がいることはめちゃくちゃ怖いことです。
自分がその人に対してなんかやっちゃったならまだしも
一つの属性を持っているだけで何の関わりもない人から殺意をあらわにされるって、、全然平和じゃないんですよね。。
直接的に刃物を向けないまでも、
差別の温存に加担するなどの消極的な殺人をする人は多くいますよ。
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映画『BORDER 戦場記者 × イスラム国』を観て、
「海外って怖い。日本は平和で良かった」とか言ってる人がいたら、
「ちょ待てよ」って言いに行きますよ。
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