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ドキュメンタリー映画『戦場記者』少しの行動の変化が生まれるかも知れない

戦場記者(2022年製作の映画)
あらすじ
須賀川は、JNN中東支局長というポジションながら、中東はもとより、ヨーロッパ、アフリカ、西アジアと地球の約1/3という驚異的な広さのエリアをカバーし、世界各地を飛び回ってニュースを発信している。
「戦争に白黒はない」と、常に反対側からの視線も忘れない須賀川。
彼は時間の制限ゆえに戦争の現実をごく一部しか報じられないテレビ報道の枠を超え、YouTubeやSNSも駆使して戦地の肌感覚とニュースの向こうに広がる光景や真実を危険エリアから撮影クルーと共に日本の視聴者に届けてくる。
スピード感溢れる怒涛のレポート、ホンモノの紛争地のヒリヒリした緊張感を伝える語り、筋書きのない意外性に満ちたYouTube配信は、従来のニュースファンだけでなく若い視聴層も取り込み、平均30万再生以上の人気コンテンツとなっている。
彼のチャレンジはテレビ・ジャーナリズムの新しいカタチと言えよう。
本作では普段テレビや動画では見られない“平時“の須賀川に、権威ある「ボーン・上田記念国際記者賞※」も受賞したスター記者の葛藤や、戦地に足を運び続ける思いも語らせる。
※米・ピュリッツァー賞にならい国際報道で優れた業績を上げたジャーナリストに贈られる賞
監督 須賀川拓

https://filmarks.com/movies/105390

危険な地域に取材に行くジャーナリストの数が海外より日本の方が少ない。



フリージャーナリストはいても、テレビ局などの会社に所属している記者で危険な地域に行ける人はどうやら本当に少ない。

会社には安全配慮義務があるので社員を行かせるのはリスクだし、世論も政治も日本人が危険な地域に行くことを嫌うし、もし誘拐でもされたら記者が叩かれ、自己責任だと見捨てられる。

故に、紛争地での映像は海外ジャーナリストが撮影し外国語で解説しているものばかりを日本人は見ることになり、それに慣れている。

海外の問題を外国人が取材した映像。
それは日本人としては「遠い問題」と認識してしまっても致し方ないと思う。


須賀川 拓 記者とは


コロナ禍でYouTubeを漁っていた時に須賀川さんにハマりました。(クレイジージャーニーは観てません)

正直最近はテレビのニュース番組もほとんど見てないですが、
ニュース映像で観せられる映像だと瓦礫だらけの灰色の街で泣き叫ぶ人たちの様子がどうしても多い。

映画でも中東のものは妙に田舎だったり、それこそ戦争してたり。
アスガー・ファルハディ監督やジャファール・パナヒ監督はいるけど、サスペンスフルだったり、強い社会性があったりする。

どれもとても大事で価値あるものだけど、
「中東ってなんか大変だね、日本は平和」と線を引いて終わってしまう可能性も。

須賀川さんのニュース映像は、
危険な地域に入って為政者に「大丈夫?」っていう質問をしまくったり、爆弾が落ちてくる可能性もある場所に行ったり(安全を確保しつつ)、現地の人でも「地獄」と評する橋の下に行ったりと、
そうそう見れない衝撃的な内容のものが多いんですが、

それと並列して、
そこで我々と同じように"普通に"生活する人たちの様子とやりとりも映してくれている。
市場に行けばすぐ現地のお菓子や軽食やスープを美味しそうに食べるので、観てるこちらもそれを食べてみたくなる。

が、なかなかイランに旅行に行く覚悟はできないし、、
そもそもガザには入れない。
そう考えると社会問題によって断絶されたものはあるんだけど、
やはりそこで生きている市民というのは、ニュースや体制側が喧伝するような姿とは違って、自分と近い人たちだと知って親近感を持つことができる。

***

ガザ、ウクライナ、アフガニスタン…



今作『戦場記者』では、どれも違った歴史、宗教、政治、地理の問題から発露した大変な状況が映されていました。

いわゆる”戦争”状態にある地域だけではなく、戦争が終わったとされ、世界の目から逸らされた地域の状況も見せてくれます。
戦争、戦場という言葉の定義に限定されない、広い視野での取材が観る人をただの観客にさせない作りにさせていると思います。

これまたそれと並列して、ジャーナリストとして苦悩する彼の様子も描かれる。

苦しんで助けを求めている人のインタビューを撮影して放映するが、それが彼らを救っていることになるのか。
「偽善だ」と言われて、そうじゃないと言えない。

****

僕は事前に須賀川さんの映像を観ていなかったら、ガザとハマスを同じものだと雑に認識してしまったと思います。

ある程度正確な知識を入れて、現在の惨状を知ることができています。

少額でも寄付するなり、支援団体を支援するなり。
その国の生産物を買うなり。

少しの行動の変化が生まれるかも知れない。

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