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ヤバイファン映画その1 映画『ミザリー』ラストネタバレあり

ヤバイファン映画その1

『ミザリー』『ザ・ファン』『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の順で行きます。


まぁこの『ミザリー』が断ッッットツで名作でしたね。

最初からキャシー・ベイツの演技を中心にしようとしているし、それが成功してる。

でもキャシー・ベイツはこれの前はヒット作があったわけでもないんだけど、
監督やプロデューサーが見抜いたんですかね。


****

スターVSファン


ヤバイファン映画を3本観ましたけど
構図はどれも、スターVSファンでした。

ヤバさの比率が映画によって異なります。

『ミザリー』で言うと
ファン…アニー(キャシー・ベイツ)
スター…ポール(ジェームズ・カーン)

ファン(アニー)が100%ヤバイ。人格的にもヤバイし、行動もそれに呼応してヤバイ。実際今までやってきたこともずっとヤバイ。

スター小説家であるポールは一貫してまともな人物。全く破綻しない。


『ミザリー』
スターには全く非がないところで、ファンの逆恨みを買ってしまって、ヤバイことになっちゃうという話。


そこが怖いとこ。
「一個も非がないのに、ヤバイ人物に引っかかってしまった!」という避けられない事故みたいな感じの怖さ。


マッチョ主義を否定した世界

このスターは小説家っていうことで
最初からそんなに体力ないし
車の事故で肩を脱臼、右腕骨折、両足複雑骨折してるので
とにかく弱い。

反面、
脱出方法をいろいろ考えたりファンの行動を操作したりと
小説家らしい頭脳派。

(後半、隠れて筋トレし始めるのも可笑しい)


これは『ザ・ファン』とは正反対です。
『ザ・ファン』はアメリカ男のマッチョな世界。
このマッチョ信仰こそが悪だと言いたいんじゃないかってなくらいに、一貫してどす黒いマッチョ感を描いてました。


****


『ミザリー』にはこのマッチョ感はないし
とても意図的だと思ったのは、
老保安官の存在。


どう見ても全く役に立たなそうだし
普段から全く役が立たない存在として扱われているであろうバスター保安官。
(演じるのはリチャード・ファーンズワース。『赤毛のアン』のマシューだ!)

自分の奥さんが保安官補佐で、そのコンビも面白かったですが。

足腰弱いしのらりくらりとしてるけど
勘や知恵でアニーの凶行に唯一近づいていける人物。

「パワーだぜ!」「男だぜ!」「マッチョだぜ!」というノリとは正反対の映画の作り。


ファン(アニー)への観客の共感

あとは、
ファンに対して観客がどれほど共感するかもポイント。

キャシー・ベイツ演じるアニーの
愛嬌や孤独さはかなり観客の心を掴むものだと思います。


このファンがあまりにも観客の気持ちと離れちゃうものだと
「サッサと死んでくれ」と思っちゃうから
映画に深みが出ない。

ラストでアニーが再び出現するときに
「うわ!怖い!」と思う反面、
「また会えた!」という喜びもちょっとある。

キャシー・ベイツの演技がまぁまぁ素晴らしいんだけど、この演技を映画の中心に置いたこの映画自体も素晴らしい。


ネタバレは以下に。




小説家ポールはミザリーシリーズで大成功。
大金持ちに。

しかし、
自分の小説家人生がミザリーシリーズに乗っ取られるのはイヤだってことで、
小説の主人公ミザリーを殺して
ミザリーシリーズは終わりにすることに。

コロラドの冬山に篭って新作を書き上げる。
(ミザリーが死んじゃう内容の小説)

新作を書き上げて車で帰ろうとしたものの
吹雪で事故。
結構な重症。
それを助けだす1人の女性。

シルバークリークの近くの家。
町からかなり離れている。
アニー、看護士。
ポールの両足の複雑骨折も治療。

雪で病院に連れて行けないという設定。
(ホントは行ける)

アニーはポールのナンバーワンのファンだと主張。


**


出版エージェントのシンデルがポールの行方を探して
シルバークリークの保安官に通報。

あんまり活躍してくれなさそうな老保安官。。


**


アニー:
あなたがあのロッジに泊まっていることはみんな知ってた。
私は時々ロッジに行って窓の明かりを見ていたわ。
初稿を読ませて欲しいの。


ポール:
初稿を見せる人は決まってる。
編集者とエージェント。
そして命の恩人だ。

アリー、初稿を読み始める。


**

アニー:
文章はいいけど、言葉が下品だわ!
そんな汚い言葉を使うわけない!

と怒り出して、スープをベッドにこぼしてしまう。

アニー:
ごめんなさいポール。愛してるわ。

ポール、こいつやっべえな、、と窓の外を見る。


**


保安官もおじいちゃん。
保安官補佐もおばあちゃん。

2人は夫婦。


木が折れているのを発見。
雪の重みのせいか、腐っていたのか。
車の事故を疑い、周辺を捜査するが
事故現場は雪で隠されていて発見できない。

しかし一応新聞社に連絡に行こうとする。


そこにアニー。
「なぜ保安官が事故現場に?」


**


アニー、エージェントに連絡したとポールにウソをつく。


ポールの部屋に豚登場!

アニー:
ミザリーよ。会わせたかったの。

ポール:
可愛い豚だ。

アリー:
初稿を800ページ読んだわ。傑作という言葉では足りないわ。

**


アニーの夫は出て行った。
看護師の仕事に集中した。
そのとき『ミザリー』がアニーを救った。


**


アニー:
ミザリーを殺したわね!

ポール:
僕が殺したんじゃない。彼女は死んだんだ。

アリー:
お前が殺したんだ!
あんたもみんな嘘つきだ!
明日からは変わるからね。
ちなみに誰にも連絡はしていない。
私に何かあったらあんたも死ぬ。


**


ポールは脱走を試みるが、両足骨折してるし腕も折れてるし、全然無理。。

痛々しくて見てられない。。


なんとかドアまでたどり着いたが、ドアが開かない。。絶望。。


**


保安官と保安官補佐:
クレジットカードを使った形跡もない。
誰も彼を見てない。


**


アニー:
証言台に立たされた時も私は混乱した。
でも今は大丈夫。
神にこう言われたの
「彼に正しい道を示しない」と。

アニーの首には十字架のネックレス。


**


アニーは原稿を焼こうとする。
「辛いでしょうけど」

ポール:
辛くない。原稿のコピーがエージェントにある。もう出回ってる。

アニー:
じゃ焼いて。

マッチとライターオイルを渡す。
ポール、原稿を焼けない。

アニー:
24歳の時処女作が売れた。
そのときコピーはなかった。
それ以来縁起を担いでコピーは作らない。
11年前テレビで言ってたわね。
神様がお望みなのよ。

アニー、ライターオイルをポールのベッドにかける。

アニー:
私はあなたを助けてるの。

ポール、マッチに火をつけて、原稿を焼く。


アニー:
オーマイグッドネス!オーマイグッドネス!


カーテンにまで燃え移っちゃう。
水で消火。

アニー:
火事になるとこだったわ。


**

保安官、ヘリで捜索。
アニーの家の上を飛ぶ。

保安官:
65年型のムスタングはない。この先は家がないし、戻ろう


ヘリは行ってしまう。
それを見て落胆するポール。


**


アニー、テレビを見ながらスナックを食べてコーラを飲んでいる。


ポール、ベッドで食事。
アニーから与えられる薬を疑ってベッドに隠す。


**

アニー:
『ミザリーの生還』を書いて。
傑作を期待してるわ。


机とタイプライターを用意。
(nがないタイプライター)


ポール:
この紙じゃ文字が滲むんだ。

試し打ちする。

アリー:
ホントだ。滲むわ。
高い紙なのに。
作家先生に必要なものは?
来客用のスリッパ?
こんなに尽くしてるのに!
この紙じゃ書けないだと!?

と、紙の束をポールの足に殴りつける。

で、アニーは車で町へ買い物に。


**

ポール、床に落ちてるヘアピンを拾う。

ヘアピンでドアの鍵を開けようとする。
「小説では開くのに!」
開く。
「本当に開いた!」


電話をかけようとする。
が、電話はハリボテ。普段から電話ん使っていない。

ポール:
狂ってる……


夫の写真や思い出のアルバム。
そしてポールの本と写真。
自分のサイン。
が部屋に飾られてる。


ペンギンの置物を落としそうになり、元に戻す……


いつも飲まされてる薬を服に隠す。


車椅子を降りて這いながら勝手口から逃げようとするも、ドアが開かなくて無理。。

キッチンのナイフを見る。


そこにアニー、帰宅。
急いで車椅子に乗り部屋に戻る。
ヘアピンで鍵をかける。


ここのサスペンスすげえ。。。


アニー:
どうしたの?汗もすごいわ。。顔も赤い。


ポール:
痛いんだ!痛み止めをくれ!
お願いだ。

アニー:
そんなあなた、胸が痛むわ。

痛み止めの薬を飲ませる。

アリー:
私の癇癪は問題なの。
誰にも好かれない。
あなたもいやでしょう。


メモ帳とえんぴつを渡して
アニー:
構想を書いて!

アニー、投げキッス💋

**

保安官、ヘリからやっと事故車を発見。


ニュース番組。署長の会見。

署長:
彼は死亡したと見られる。
車から這い出たが雪に埋もれているだろう。
雪解けを待っても動物に死体を食べられる恐れが。


捜索しろよ。
てか雪が少ないのかもね。
実際はもっともっと雪深い設定なのかも。


保安官補佐:
彼は生きてると?

保安官:
とにかく署長たちの推理とは違う

**

ポール、メモ帳を小さな紙袋状に組み立てる。
そこにいつも渡されてる赤い薬の中身を入れていく。


**


ポール、タイプライターで小説を書き始める。

アニー、数枚読んでから
書き直して!
インチキよ!
ミザリーにインチキはダメ。

書き直させる。


**


ポールが書き直した『ミザリー』にアリーは感激!
めっちゃ感動する。

ポール:
今夜の食事は一緒にどう?君のおかげでミザリーは生還した。


**


保安官、ポールの本をいっぱい買ってくる。


**

オシャレしたアニー。
ダイニングで2人で豪華な食事。


ポール:
高級店より美味い。
乾杯しよう。ミザリーに。

グラスになみなみとワインを注ぐ。

アニー:
ミザリーに。


ポール:
待って。ロウソクはあるかな。


アニー、ロウソクを探しに行く。
ポール、その隙にアニーのグラスに薬を入れる。


アニー:
ポールとロウソクディナーができるなんて。

乾杯しようとしたら
アニーがロウソクを倒してしまって
あわててグラスも倒してしまう。

薬の入ったワインはこぼれ、ワインを注ぎ直し、乾杯。


アニー:
ミザリーに。

ポール:
ミザリー(惨めだ)…
(Miseryには惨めという意味が)


**


翌日からめっちゃ書くポール。
12章。

それを読むアニー。

カットバックで過去作を読む保安官の映像。


19章。35章…


ポールは書きながらも、重いタイプライターで筋トレをする。


嵐の夜。


アニー、元気がない。

アニー:
あなたが来たときわたしはあなたの作家の部分だけ愛していた。
いまはあなたすべてを愛してる。
でもあなたはわたしなんか愛さない。
あなたは洗練された才能豊かな有名人。
わたしはキレイでもないし何もない。
愛する人を失う気持ちなどわからないわよね。

ポール:
失う?

アニー:
本は完成する。
足も治る。

ポール:
ここが気に入ってる

アニー:
それはウソよ。

アニー、ポケットから銃を取り出す。

アニー:
いっそこれを使えば…。
弾を入れてくるわ。

アニー、車で外出する。


**


保安官
ミザリーの中の
〝人間の正義を超越した正義。わたしはそれに従います〟

という文章をメモる。

**

ポール、包丁を装備。

アニーの思い出のアルバムを開く。

そこにはポールの死亡記事の切り抜き。

他にも

銀行員カールが転落死の記事

看護師の優等生(女性)転落死の記事

アニー・ウィルクス、優等で卒業の記事

救急病棟の看護師長に昇進

小児科部長が急死

産科病棟に新看護師長

生後5週間の乳児、郡病院で死亡

軍病院で2人目の乳児死亡

看護師事情聴取される

豚の写真

乳児の死亡は看護師に

疑惑の看護師ついに逮捕


**


ベッドに戻るポール。
包丁をサッと出す練習。可笑しい。


アニーが帰宅。

ポールの部屋に入ってこない。
自分の部屋にそのまま入ってしまった。

包丁はベッドの下に隠す。

ポール:
朝まで待とう

ポールの作戦はいつも失敗する。。


**


深夜目を覚ますとアニーの顔。
雷に照らされる顔。
ポールに注射を打つ。


翌朝。


ポール、ベッドに縛り付けられている。


アニー:
ペンギンの置物は南向きに置いてるの。
部屋の外に出たのね。


ポール、包丁を探す。

アニー:
これを探してるの?

包丁を見せる。

アリー:
鍵(ヘアピン)を見つけたわ。アルバムも観たのね。

でかいカナヅチでポールの足を殴り折る。

ポール:
ギャア!!!!!

アリー:
愛してる


**


アニー、車で町へ。
他の車とぶつかりそうになり、口論に。
常軌を逸したアニーの言動を
保安官が見て、ん?と思う。


保安官、メモを持って図書館へ。

新聞記事を読み返す。
アニーの記事。

アニーの言葉「人間の正義を超越した正義。わたしはそれに従います」

アニーとポールが結びついた。

**


本屋。

保安官:
アニーはポールの新刊を買ったか?

本屋:
いつも予約して誰より先に買うさ

保安官:
他に彼女が最近買ったものは?

本屋:
特に何も。紙以外は。タイプ用紙。

保安官:
そりゃ何でもないな。


保安官、アニーの家へ向かう。


**

保安官の車がアニーの敷地内に入る。

それを見たアニー、ポールに注射。
ポールは地下室に隠される。
車椅子を折りたたむ。


保安官:
ポールを?

アニー:
心配だわ。ナンバーワンファンだもの。


保安官を家に入れる。


アニー:
ひざまづいて神に祈ったわ。
祈ってたら神の声が聞こえた。
後を継げと。
それでタイプライターを買ったの。
彼に似せてこの1ヶ月書いたわ。
でも難しい。
ココアでもいかが?

保安官:
ココアは結構。一人暮らしは寂しい?

アニー:
自分と付き合って初めて人と付き合えるのよ。

保安官:
なるほど。

保安官。他の部屋を捜索。

アニー、ココアを入れてきた。
絶対毒入りココア。

保安官。飲まずに家を出る。

外に出ると。ガシャーンという音。
ポールがバーベキューセットを倒した音。

保安官、家に入る。

ポール:
ここだ!

保安官、地下室のドアを開ける。

保安官:
ポール!

アニー、保安官を狙撃。

アニー:
わたしも死んで、あなたも死ぬの
愛してるわ

ポール:
愛してる
僕らは結ばれる運命だ
その前にミザリーを生き返らせる

アニー:
すぐ誰かがくるわ

ポール:
朝までに書き上げる
彼女を蘇らせよう

**


ポール:
そろそろ書き上げる。
儀式の用意を。

アニー:
もちろん知ってるわ。
普段吸わないタバコとマッチとドン・ペリグノン。


**


タバコとマッチとドンペリを持ってきたアニー。

ポール:
これじゃ足りない
今夜はグラスが2つだ

アニー:
オー、ポール❤️


アニー、グラスを取りに行く


その間に
書き上げた小説にライターオイルをかける。
マッチを握る。

アニー、戻ってくる。

ポール:
ミザリーの父親が本当は誰なのか
その父と出会えるのか
ミザリーとイアンは結ばれるのか
知りたいか


ポール、小説を燃やす


アニー:
やめてっ!
わたしのミザリーを。

火を消しに来たアニーをタイプライターで殴る。(普通これで死ぬ)

アニー、銃でポールの肩を撃つ。

ポール、アニーの目を潰して鼻を殴る。
アニーの口に小説の燃えかすを詰める。

反撃し起き上がったアニーの足を引っ掛けて転けさせる。
置いてあったタイプライターに頭を打って死んだ

……かと思ったら、アニー、ポールに馬乗り、
ポール、アニーの腕を噛む。

豚の鉄の置物でアニーの顔を殴る。
血だらけのアニー。
死亡。


**

一年半後。

編集者のシンデル:
文学賞の候補になるわ


ポール:
これは自分のために書いた。
アニーのおかげだ。

シンデル:
アニーの事件を書いたら?

ポール:
金と引き換えにまたあの恐怖を呼び起こせと?


給仕係が近づいてくる。
アニー。
アニーが怒りの表情で近づいてくる。

ポール:
今でも記憶がこびりついてる

給仕係はアニーではない。
ポールの幻影。

給仕係の女性:
私はナンバーワンファンです

ポール:
それはどうも…

おわり


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