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ヤバイファン映画その2 『ザ・ファン』

ヤバイファン映画その2

『ミザリー』『ザ・ファン』『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の順でやってます。


***


デ・ニーロがもう『タクシードライバー』のトラヴィスそっくり。。

『ザ・ファン』のギルも世直ししようとしてる。
スターの間違いを訂正させたい。
俺が正しさってやつを教えてやる、という姿勢。


スター VS ファン


ヤバイファン映画の構図は、スター VS ファン。


『ミザリー』ではファンが100%ヤバイやつで、スターは普通以上にまともな人。

『ザ・ファン』では、
ファンもめっちゃ最初っからヤバイやつだけど
スターもちょっとヤバイ。

ま、普通のヤバさですけど、そんなに立派な人ってわけではない。


スター(ボビー)のセリフ
「ファンはアホだ。女と同じだ。打ってる時は〝愛してる〟と言い、打てなくなるとツバを吐く。」


ファンを嫌いになる気持ちは理解できる。
プロスポーツ選手なら成績によって掌返しするファンへの愛憎の気持ちがきっとあるんだろうな、と。
その悲哀はわかる。

ただ、
「ファンはアホだ。女と同じだ。」はヤバイ。
ファンは女と同じでアホだって言ってるわけですから、だいぶ男尊女卑のクソ男。

でも、マッチョ主義の男なら普通?


マッチョ主義(の批判?)


このマッチョ主義(の批判)がこの映画の肝かと。


ファン(ギル)の仕事はナイフの営業マン。
調理用ではなく完全なる武器としてのナイフ。

ナイフが何度も出てきますが、描写がいちいち怖い。

なんで普通に生活する中で武器としてのナイフを携帯しなきゃいけないのか、
切れ味や貫通力を求めなきゃいけないのか。

それを恐怖演出で描いています。

**


監督がトニー・スコットで、サスペンス演出がずっと素晴らしい。

大したこと起きてないんだけど、ずっと緊張感が張り詰めていてじわじわ怖い。

それがホント素晴らしいんだけど、、、
この演出が
暴力やマッチョ主義、
「男だぜ!」「力だぜ!」というノリに対する批判なのか、、どうかは、ハッキリしない。。

僕はそう捉えましたけど、、
ただただ映画をスリリングにするための演出方法だったのかな??という心配もちょっとあります。。


トニー・スコット作をそんなに真剣に観てきていないので、ごめんなさい。
「お前はトニー・スコットを理解していない!」と怒ってくれる人がいたら、これからトニー・スコット作をノリノリで見始めますよ!


スターの悲哀


ウェズリー・スナイプスの演技もいいですね。

「ホームラン打たないと息子が殺させるかも!」っていう終盤の盛り上がりはちょっとアホっぽくてかわいそうでしたが、、、

全体的にはプロスポーツ選手の悲哀が感じられる素晴らしい演技。

あの強靭な肉体に隠されてる弱い心みたいなものも見えてきて、素晴らしかった。


ホームラン問題


「ホームラン打たないと息子が殺させるかも!」っていうサスペンスはちょっと上手く行ってなかったですね。

雨降ってきて試合中止になっても「ホームランを打てなかった」ってことになるってことも知らないし、
敬遠されても「ホームラン打てなかった」ってことになるっていう設定も知らないから。

敬遠されたら「逆によかったじゃん。ホームラン打たなくて済むじゃん」と思ったけど、打たなきゃいけないみたいな感じで、みんなドキドキしてんだけど、敬遠されたらしょうがないよね。。

あと
ランニングホームランもホームランのうちだ!って感じでみんな盛り上がってるけど
これは逆に観客も「いや、ランニングホームランはダメでしょうよ、そういうとこだよ!」って思うわ。
ここはギルと観客は同じ意見ですよ。
「アウト!アウト!」って叫びますよ。

で、ホームラン打ちさえすれば息子が帰ってくるっていう確証もないわけだから、、、
ホームランどうこうよりもサッサとファンを捕まえようよ、ってことになる。

なんか大事なとこなのにグダグダでした。


***


エレン・バーキン、
ジョン・レグイザモ、
ベニチオ・デル・トロ、
クリス・マルケイ、
チャールズ・ハラハン、
あと本当に一瞬のジャック・ブラックたちの
演技、存在感は素晴らしかったです。

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