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児童図書館スタッフに教わった、子どもに対して守るべきマナー

私が勤めている図書館では、日常的に子どもの利用者が来館するわけではありません。
そのため、図書館見学にやって来た近所の小学生(集団)を案内する任務を命じられたときは往生しました。なにしろこちらが一生懸命絵本コーナーの前で説明していても、相手は「わーい」みたいな感じで走り回っていて、聞いちゃいなかったですからね…。引率の先生や保護者の方々の苦労がしのばれると同時に、自分の「児童サービス力」の低さを思い知った一日でした。

やはり児童サービスの専門スタッフは、子どもとの接し方についても独自のノウハウを持っているようです。とくに子どもの利用者に対して守るべきマナーの点で参考になると思ったので、まとめてみました。

1. きちんと自己紹介する

よく子どもに対して「お名前は?」「いくつ?」などと質問攻めにしがちですが、子どもからしたら「人に名前を聞くなら自分から名乗れ」という感じではないでしょうか。大人同士でも何者かわからない相手というのは信用できないので、「私はこの○○図書館で司書をしています、××といいます。どうぞよろしくお願いします」と最初にきちんと自己紹介するのは大切です。

2. 選択の余地があるものは、本人に選ばせる

たとえば飴一個あげるにも、「イチゴとメロンどっちがいい?」と聞くとか、カラーバリエーションのあるものも「はい女の子はピンクねー」などとやりがちですが、なるべく本人に選んでもらいます。時間的制約があってやむなくランダムに配る場合も、ひとこと「勝手に決めちゃってごめんね」と断ることで、子どもに「自分の意見が尊重される」と伝えることはできます。

3. 子どもの頭ごしに大人同士で話を決めない

相手が誰であっても「本人が目の前にいるのにまるで存在しないかのように扱う」というのは無礼です。
たとえば夏休みの課題などで親御さんに連れられてカウンターに来るような場合でも、大人同士のほうが話が早いのでこちらとしてはどうしても親にばかり話しかけそうになりますが、ぐっとこらえて必ず子どもを通すようにします。意外と親御さんが言うのとは違う意向を持っていることもあります。
保護者や先生とだけ話したいことがある場合は、別に打ち合わせの機会をつくると良いようです。

4. むやみに体に触れない

近頃では性犯罪疑惑を避けるため、ということもあるでしょうが、そもそも礼儀として許可なく人の体に触ることはさけるべきです(もちろん相応の信頼関係があるときや本当に必要な場合は別ですが…)。
そういえば私も小さいころ、知らない大人に頭を撫でられたときに「許可なく人の頭に触るな。無礼者め」と思っていた記憶があります。

5. なめてかからない

たとえば小学生なのに幼児向けの本をすすめたりすると、子どもからしたら「バカにすんな」となるかもしれません。もちろん子どもによってはそれでちょうどいい子もいるので見極めは難しいのですが、すくなくとも「子どもだからどうせこんな難しいものはわからないだろう」というのは禁物です。むしろ早熟な子だとためらわず大人向けの本をすすめたほうが良い場合もあります。注意深く話を聞いて、相手の理解と知識の範囲を確認する必要があります。

まとめ

世の中には、会食の席次だのお茶出しの順番だの敬語の使い方だの「えらい大人」に対して守るべきマナーの情報は山のようにあります。
それに対して、「子どもへのマナー」というのは探してもなかなか情報がありません。「子どもにマナーを教えるにはどうすればいいか」という情報ばかりです。
でも、礼儀正しくしてほしいなら、まず子ども自身も礼儀正しく取り扱われる経験をしたほうがいいのではないでしょうか。それはどちらが上とか下とかではない、人間として尊重されたという経験です。

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