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医療に従事していると多くの訴えを耳にします。
腰が痛い、頭痛がひどい、めまいがある、おしっこが近い、動悸がするなどなど。その中でも『眠れない』という訴えは上位にあるのではないでしょうか。

高齢者だけでなく、若年者でもこのような訴えをする方は増えています。

現代社会には睡眠を阻害するものがたくさんありますし、眠れない条件のようなものが揃いやすいという特徴があります。

今回はそんな睡眠について勉強していきたいと思います。

まず睡眠に関する訴えにはいろいろあります。
寝付けない(入眠障害)、途中で起きる(中途覚醒)、睡眠が浅い感じがする、一度起きると眠れない、日中眠い、朝の寝起きが悪いなど。

睡眠の質が悪くなることで、日中の活動の質が低下したり、記憶力の低下、疲れが取れないなどの症状がでます。そしてめまいや頭痛などの症状を引き起こす場合もあります。

裏を返せば、睡眠の質を改善することで、その他の症状が治ってしまう可能性が高いということです。

睡眠の質が低下している多くの場合、投薬によるアプローチが行われますが、この記事を書いている私は理学療法士ですので、理学療法士としての観点で原因や対処法をお伝えしたいと思います。

まず、睡眠の質が低下する方の特徴は
①自律神経が乱れている
②体が硬い
③姿勢が悪い
④睡眠(睡眠前)環境が悪い

これらの中で、少なくとも一つは当てはまると思います。


①の自律神経の乱れですが、これは要因がかなり多いため一つに絞ることは困難ですが、ストレスや生活環境などが原因のことが多くなります。
自律神経は交感神経と副交感神経に分けられますが、疲れやストレスが溜まると、交感神経が優位になり、副交感神経が弱くなります。
交感神経はアクセルですので、体を動かす方向へと導きます。
心臓では脈が速くなり、血管は収縮する。血圧は上昇し、呼吸は速くなる。筋肉は緊張し、胃腸の動きは抑制されます。
この状態が続くと眠れる訳はありません。

つまり交感神経を落ち着かせ、副交感神経(交感神経の逆)をしっかり働かせることで、体の機能を安定させることができます。

②の体が硬いと③の姿勢が悪いは関連する部分があります。
年齢を重ねると筋肉や関節は硬くなります。動きがどんどん小さくなり、関節の可動域や姿勢の歪みも大きくなります。これらが強くなると、①の自律神経の乱れを生んでしまいます。

自律神経は背骨の中を通っています。脊柱管といいますが、姿勢が歪むとこの脊柱管が歪みます、そうすると神経が圧迫され、正常に神経伝達が行えなくなります。

つまり体の緊張や硬さ、柔軟性などを整えることで姿勢が改善し、自律神経の正常化が図れる可能性があります。

④の睡眠(睡眠前)環境はスマホやパソコンなどの使用、寝具の不適合などがあります。睡眠前のスマホ使用がよくないことはなんとなくわかると思います。
寝具に関しては特に枕が重要です。首の位置は睡眠の質に直結しますので、高さを変えるなど試行錯誤が必要かと思います。
少し値段はしますが、オーダーメイドの枕なども効果的かもしれません。
また寝室の環境としてこれからの季節湿度に気を付けたいところです。

湿度が高いと呼吸器に負担をかけるため睡眠の質が低下します。
除湿器や除湿剤をうまく利用して40~50%の適切な湿度調整をしていきましょう。

呼吸法も良質な睡眠には欠かせませんが、まずは深く考えすぎず、静かな呼吸を繰り返し、意識してみることから始めてみましょう。

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睡眠の質を下げる原因と上げる対策をざっと説明しました。

どれが合うかは人それぞれですので、実際にやってみて効果を確認していただくことが大切かと思います。

参考書籍:カラダをゆるめて最高の睡眠を手に入れる