原因が一つとは限らない
当院の心臓リハビリに来られる患者さんは、基本的に心臓や血管の疾患を持たれている方です。
しかし心臓だけが悪い訳ではなく、他にも色々な病気、症状をお持ちの方がおられます。
腰痛、肩こり、不眠、腎不全、脳梗塞、膝の痛みなどなど。
その中でも一番多いのはやはり“糖尿病”です。
日本で約1000万人いると言われていますので、約10人に1人が糖尿病ということになります。
糖尿病治療ではまず食事療法、運動療法が推奨されています。
この食事療法、運動療法で糖尿病に関する指標であるHbA1cの変動を診ます。
食事や運動にて効果がなければ、薬による治療を開始するという流れが一般的です。
一旦治療が始まると、定期的に採血をして、血糖値の変動や生活習慣の状態を確認します。
糖尿病が悪化していくと、薬の量が増えたり、インスリン注射を使用して血糖値を下げなければなりません。
そうなると低血糖や網膜症、神経障害などの症状が出てきてしまい、失明や切断といったことになる可能性もあります。
そのため悪化する前に血糖値をコントロールして、糖尿病を治療しなくてはいけません。
血糖値を上げるものとして甘いものをイメージされると思います。
実際甘いケーキやお菓子も血糖値を上げる作用があります。
しかし普段の食事、例えばご飯や麺類、果物などでも血糖値は上がります。
まじめな人は気になって何も食べられなくなると考える人もいるかもしれません。
大事なことは何が原因で血糖値が高くなっているかということです。
例えば…
・食べる量が多すぎる
・食べる物が偏り過ぎている
・食べるタイミングが良くない
・運動をしていない
・運動をするタイミングが良くない
・運動をする内容が良くない
糖尿病で通われている方でこれらの要件すべて当てはまらないという方はほとんどおられないと思います。
食べる量は適正でも偏りや間食が多い場合や、バランスよく食事はしているが、食べる時間が不規則など、すべてが丁度いい条件にすることは困難です。
各個人の生活様式や仕事関係による状況もあると思います。
甘いものをやめればそれでいいかというと人間の体はそんな単純ではありません。
血糖値が高いという現象をできるだけ多くの視点で観察して、その原因を探っていくことが大切です。
他にも
・食べる時には野菜から食べる
・早食いをせず、しっかり噛んで食べる
・水を小まめにしっかり摂取する
・睡眠をしっかり取るために対策をする
・体の柔軟性をしっかり保つようなストレッチをする
・コンビニや出来合いの物ばかり食べない
・タバコの吸い過ぎやお酒のたしなみ方
一見関係ないように感じるかもしれませんが、生活習慣による影響は未知数です。
いくつかの条件があてはまると思いますので、その一つ一つを確認して対処し、治療を進めていけば、糖尿病自体が良くなるかもしれません。
薬で治すことが必要な時もありますが、本来人間が持っている治癒力を最大限に生かす努力をしてみましょう。
当院は食事療法に関して、管理栄養士による栄養指導。
運動に関しては健康運動指導士や理学療法士の作成したトレーニングメニューの配布などを行っており、食事、運動に関する経験知識豊富なスタッフが常駐しています。
より具体的な内容を聞きたい方や、糖尿病以外でも病気の治療で悩まれている方はいつでもご相談ください。
物の見方を少し変えるだけで、違って見えることがよくあります。
美味しくないと思い込んで食わず嫌いだったものが、食べてみるとそうでもないこともあります。
それと同じで、糖尿病には関係ないと思っていた生活習慣が実はかなり深く関わっていたということもあります。
自分の体が変化していく過程をしっかり感じながら、色々なことに気づき、チャレンジしてみましょう。
どれがあてはまるかは人によって違いますし、それが一つとは限りません。
自分の体の専門家となれるように、我々も出来る限りのアドバイスをしていきます。
どんどん知識や知恵を増やして健康的な生活を送っていきましょう。