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精神科からの帰り道には桜が咲いている。

精神科に行ってきた。

久しぶりに、と言いたいけれど今日も、精神科に行ってきた。


今回は、最近酷く寝つきが悪いこと等色々、先生に話してきた。(まあ書くのもなんだか今日は面倒なので詳しいことは書かない。) 


先生と1対1で上手く話す自信がなかった私は、恋人を連れ添って入室し、話した。


先生は優しい。恋人も優しい。看護師も薬剤師も。私が顔を見せれば、それがどんなに暗くひどい面であろうと、お大事にと微笑む。
そういう世界なのだ。精神科は不思議な世界だ。
優しい世界。少々気味悪いくらいだ。


私と優しい恋人は、優しい先生から優しく説明を受けた。苦い薬をオブラートに包むことで初めてヒトは受け入れられるように、"この世界の"先生は、どんなヒトも受け止め易いよう、諭すように話す。恐ろしいほどに、優しい。


私は、複数の薬を処方された。

先生と話した際、恋人はこんなことを言った。


「出来るだけ薬に頼らずにーーーーー」


正直、私は驚いた。
勿論カウンセリング、薬物療法、各々に合った治療法が沢山ある。そんな事は皆知っている。


恋人は、苦しむ私の姿を幾度と無くそばで見ているはずだ。胸を張ることではないが、それなりに迷惑もかけてきたはずだ。それなのに、お医者さんが処方してくれた薬にも頼らず頑張ろうという鬼の精神暴論、ホントの鬼か?と思った。と同時に悲しくなった。わたし を受け入れてくれていない と感じてしまったのだ。

まあしかし、この世界は動じない。
先生は穏やかな顔で、不安気な恋人に説明してみせた。その人に合うお薬を上手く使えば良い方向に進む と。その通りである。

恋人も私も頷き無事病院も終わり、精神科から出てきた二人。

普通の街に出た時、"普通"の世界に立った時、優しい世界の中で、私がショックを受けた恋人のあの発言は、この世界で振り返ると、凄く優しく、温かい気持ちがぎゅうぎゅうに詰まった発言だったと分かったのだ。分かってしまったのだ。

嬉しいのか悲しいのか、温かい気持ちになるべきか落ち込むべきか、私は分からなかった。申し訳無かった が、1番正確かもしれない。

ただ、あの先生にも、隣に居る恋人にも、温もりを感じた。温もりというと、なんだか胡散臭い。私も、ぬくもり なんて言葉簡単には使いたくないが、本当に感じた。感じたのだ、君のぬくもりを。


帰り道、いちごミルク色の桜が、嘘みたいに美しく咲いていた。

今日もわたしには、明日の自分の事すら考える余裕なんてないが、わたしは君とずっと一緒にいたい と今、心の底から思っている。


ありがとう。と思った。素直に思った。

かっこいい言葉は出てこないし知らない。


私は今、カネコアヤノのアーケードを聴いている。

今日は眠れるといいなあ。




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