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シアトルでアウトドア - 潮干狩り編 -

前回、カニ釣りをしてポップな浮浪者に出会ったという話をした 。こちらの記事を参照のこと。

今回はいざ潮干狩りに。メンバーは前回と同じく日本人のお友達。普段アメリカ人なりインド人なりとガシガシ仕事をしているわけだけど、さすがにマイノリティーだなと思うことは少なからずあって知らずしらずにストレスを溜めていることはある。海外生活あるあるというやつだろう。そんななか心置きなく話せる日本人の方が近くにいると、それだけで心がほっこりするものだ。

場所・道具などなど

潮干狩り。というわけで、行ってきたのはNorth Bayというところ。シアトルのダウンタウンから車で小一時間ほどでいける。

ターゲットはあさり。ボンゴレとかで (文字通り) いい味出してくれるあの貝である。

用意したのは軍手、熊手、ブーツ、そして持ち運びできるバケツだ。あさりのとり方ははシンプルで砂浜でじゃりじゃりじゃりっと熊手で掘って貝をほいほいバケツに入れていくだけ。

シアトルは海岸が入り組んでいて入江が多いから、波の立たない静かな浜辺がたくさんある。今回訪れた場所も例外ではない。ひたひたと水面に浸かってる砂浜に潜むあさりを狙う。

これがはっきりいって、とても簡単に取れる。ほとんど貝は「ほら、ここにいるよ」と言わんばかりに姿かたちが砂浜のなかから浮き出ている。あれよあれよという間に、気付いたら何十個かになっている。一人60個までというルールがあるのだけど、1時間もせずに収集完了といったところだ。

なかには既に死骸になっていて、貝の中はじゃりだらけなんてものもある。この子たちを取り除くべく、コンコンと叩いて音を確認したり(土が入ってると鈍い音がするわけだ)といった作業も並行して進めていく。子供の時にレゴをぽちぽちくっつけたのと同じように、なんとなく静かに集中してやってしまう。心地よい単純作業である。

いざ調理!

皆で収集したあさりの数は優に100個は超す量に。さてどう料理しようか。

一行は近くのキャンプ場へ。一緒にいった同僚の方がいわゆるキャンパーだったので、バーベキュー道具なりなんなりを車からせっせと運び出していざ調理に移る。この手際のよさがかっこよすぎて、ついぼーっと見てしまう。

あさりは1-2時間ほど海水につけておく。そうすることで「ぴゅっぴゅっ」と勢いよくあさりが砂を吐き出してくれる。その後真水で洗ってなんども砂を取り除く。この工程を怠ると、あとで口にしたときに「じゃりじゃり」となってしまうわけだ。あさりを食べたいわけであってじゃりを食べたいわけではない。ここも根気よく単純作業で水洗い。

そこまで済んだらあとはお好きなように。ガーリックで炒めるもよし、味噌汁にするもよし。炊き込みご飯なんて選択肢も。

こう書くといかにも自分が手際よくやってのけたような感じに聞こえるかもしれないが笑、ぼくはただただそのキャンパーの同僚がカッコよく調理しているさまを見つめ続けた。ときどきビールなりワインなりをあおりながら。うーむ、こういう大人かっこいいなとしみじみ思った。

たらふくあさりを食べたあとはお散歩に。台風が去ったあとかのような嘘みたいに静かな海を見ながら色んなことを考える。

「いやーアメリカにいるね、おれ」とか
「この前仕事であんなこと言っちゃったけど、おれにも非はあったよなー」とか
「"あさりあっさり取れた"ってギャグを何度もかましてみたけど、ぜんぜん刺さってなかったなー」とか。

気づけば日本を離れて半年ほどの時間がたった。海外に暮らすことはそれこそ血を入れ替えるような作業で苦労は絶えない。まるで砂を噛むような後味のわるいことだってまれではない。

なんだけれども、時折グッと来るような時間が必ずある。仕事でもそうじゃないところでも。ぼくの場合、10年ほど「アメリカのテック企業で働きたい」なと頭の片隅にずっと思っていたわけなので、無理もない話かもしれない。「夢が叶った!」なんていうウキウキした感じというよりかは、「そうそう、こういうことしたかったんだわ」と静かに頷くような。

波一つないしんとした海を眺めながら、そうしんみり思ったりしたわけである。

すたすたと歩く帰り道を照らす月がまた綺麗なこと。

そんなこんなであさりがあっさり取れたという話でした。それではどうも。お疲れたまねぎでした!

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