福原たまねぎ

Amazon米国本社のシニアプロダクトマネージャー。シアトル在住。日々エンジニアとAm…

福原たまねぎ

Amazon米国本社のシニアプロダクトマネージャー。シアトル在住。日々エンジニアとAmazonクーポンの開発をしています。まじめな話、ほっこりする話、くだらない話。どれも一生懸命書いてまっす。

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  • たまねぎエッセイ

    アメリカ生活でのあれこれ、その他人生におけるちょっとした気づきなんかについて。

  • たまねぎ書評

    最近読んだ本とそれにまつわるあれこれについて。

  • たまねぎキャリア論

    キャリアや仕事のことについて書いていきます!

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好きになるとは、嫌いになることだ

石を投げれば飲み屋に当たる。 そんな言い回しがしっくり来るのが中目黒という街だ。改札を一歩出れば、ありとあらゆる飲み屋が目に飛び込んでくる。立ち飲み屋でひとり生ビールをくいっと飲み干すくたびれたサラリーマン、おでんをつつきながら日本酒を味わう若い女性たち、はたまた暗がりのバーで肩を寄せ合いながらシェリー酒に口をつける大人のカップル。訪れる人々が皆思い思いの形でグラスを、もしくはおちょこを傾ける。高架下で焼き鳥の串を握りながら、目黒銀座商店街でサムギョプサルにかぶりつきながら

    • ベトナムのバイクタクシーから学んだこと

      あれは2012年のことだった。ぼくはその当時大学4年生。就職活動に失敗し人生というものについてそれなりに真剣に考えていた時期だ。ぼくは大学を半年間休学し、ベトナムはホーチミンへと渡った。海外インターンをするためだ。ことの顛末についてはその昔以下の記事に書いたのでそちらに譲るとしよう。それはそうとホーチミンで経験したことで思い出深いものが一つある。それはバイクタクシーだ。 ホーチミンはベトナムの中心地の一つ。しばらくホーチミンには行っていないから今どんな様子かは分からないけれ

      • インドの盗人から考えたこと

        大学生といえばバックパックであり、バックパックと言えばインドだ。異論は許さない。というのはもちろん冗談だけど、なにかモラトリアムにハマった人間はインドへと誘われるのではないか。そういうもんじゃなかろうか。 ぼくも二十歳の時にインドにインターンというかたちで赴いた (そのことは以下の記事でも書いたっけ)。大学生のときの話だけど、その時のぼくの友人もインドを訪れたみたいだった。どうやらバックパックでインドを旅行したということだった。彼はインドから帰ってきた後にこんな話をしてくれ

        • ニュースってなんやねん -オーストラリアの毒グモの話と-

          ぼくは小学校1~3年生ぐらいまでの時間をオーストラリアのシドニーというところで過ごした。ぼくは最初に現地の学校に通うこととなったけれど、アジア人差別にあったことで馴染めず、方向転換して日本人学校に通っていた。それについては細かくこちらの記事に書きましたけれど。 日本人学校というのは海外に住む日本人のお子さんが通う場所だ。シドニーという場所にあるからといって、日本人学校である限り教室の光景は日本のそれとさして変わらなかった。ひとクラスに大体20-30人ぐらいの生徒が所狭しと机

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          帰る国があるということ -アンドレとデシオの話-

          ぼくは目にちょっとした病気があり(それについては以下の記事で書きましたが)ずーっと同じ眼科に通院をしている。アメリカに移住した後も、日本に帰国する度に決まって訪れる眼科があった。 最初の帰国時のこと。ぼくはアメリカに移住してから初めて日本に帰り、そしてその眼科へと向かったのだった。久しぶりだ。 ぼくはいつものルーティーンとして通院している病院へと向かった。目黒にある会社のオフィスに程近いその眼科にはいつもの光景が広がっていた。全体的に白くシンプルな内観、優しく声の高い受付

          帰る国があるということ -アンドレとデシオの話-

          サンフランシスコに行ったことのないアメリカ人

          何気ないエンジニアとの会話だった。そのエンジニアは生粋のアリゾナっ子で(白人のアメリカ人)、名をカーソンと言う。30歳前後の天才エンジニアだ。オフィスの中で一緒にランチをしながら「週末なにするの?」ということについてカジュアルに話していた。 ぼくは結構驚いた。「え、アメリカに生まれてこの方ずっと住んでるのにサンフランシスコみたいな大都市に行ったことがないんだ!」と。 ただ実はそんな会話をその後何度も他のアメリカ人ともした。その度におもしろいなーと思った。 日本で国内旅行

          サンフランシスコに行ったことのないアメリカ人

          走るスパゲッティー

          ある土曜日のこと。お昼過ぎにぼくはシアトルのパイクプレイス・マーケット (Pike Place Market) という場所にいた。パイクプレイスと言えばシアトルで最も有名な観光地だ。ここは魚市場で、お店の人が威勢の良い掛け声をかけながらサーモンを投げ合うという恒例の催し?を見ることが出来る。魚介類や果物がずらりと並んでいたりバラエティに富んだお土産屋さんが連なっていたりして観ていて飽きることがない。そうそう、そしてここにはスターバックスの第一号店があることでも知られている。

          走るスパゲッティー

          フェニックス旅行記 -サボテンと楽器とスコッツデール-

          フェニックス。アメリカ南西部のアリゾナ州に位置するこの街には縁があってよく足を運んでいる。ここにはAmazonの大きなオフィスがあり、Amazonのセールの機能を開発しているエンジニアの多くもここを拠点に働いている。そんなわけで仕事柄ぼくもPMとしてこの街を訪れてはエンジニアとオフィスで話したりランチに行ったりしている。ぼくが住んでいるシアトルからは飛行機で3時間ほど。意外とサクッと行けてしまうのだ。 アリゾナ というと、カラカラとした砂漠にサボテンがぽんぽんと生えていて

          フェニックス旅行記 -サボテンと楽器とスコッツデール-

          バンクーバー旅行記 -癒しがすぎるビーチに台湾まぜそば-

          前回に引き続いてバンクーバーお散歩記録。 朝起きてダウンタウンの街を彷徨う。雲の切れ間からちらっと青い空が見える。こういう時は「なんとなく午後に晴れるんだろうな」ということが感覚的に分かる。シアトルのような基本曇りみたいな場所で生きているとこういうことが直感で分かるようになるみたい。嬉しいんだかなんだか。 グランビール・アイランド (Granville Island)ダウンタウンを突き抜けて向かった先はここ。ちょこっとした島に市場やご飯を食べるところが連なっていてバンクー

          バンクーバー旅行記 -癒しがすぎるビーチに台湾まぜそば-

          バンクーバー旅行記 - "シアトルの兄弟"と呼んでいいかしら -

          バンクーバーはずっと行きたかった。ぼくが住んでいるシアトルから飛行機で1時間、もしくは車で3時間ほどの距離。陸続きなので車でさっと行けてしまう。それもあってかシアトルに住んでいる多くの人がちょっとしたお出かけでバンクーバーを訪れるという話をよく耳にしていた。近いとはいえシアトルはアメリカの、そしてバンクーバーはカナダの街なので国境をまたぐことになる。でも感覚としては"隣町"のようだ。 バンクーバーにはAmazonの大きいオフィスがいくつかあって、今回出張で行けることになった

          バンクーバー旅行記 - "シアトルの兄弟"と呼んでいいかしら -

          Noteの文章がすべて自動で書かれる未来が来るか?

          ロアルド・ダールの『あなたに似た人』という短編 (I・II)がとても面白い。ロアルド・ダールと言えば『チャーリーとチョコレート工場』という映画の(あのファンシーな格好に身を包んだジョニー・デップが主演の映画ですね)原作者と言えば伝わる人もいるかもしれない。この有名過ぎる短編集はただの"面白い"、もしくは"上手い"小説ではない。もちろん短編の名手というだけあって、ストーリー展開も巧みだし紡ぐ言葉はするするとしているようでいて、ガチっと読み手の心を掴んで離さない。 ただこの本に

          Noteの文章がすべて自動で書かれる未来が来るか?

          クニさんから学んだこと -そのミスだけはしちゃだめよ-

          ぼくが高校一年生のときの話。当時ぼくは神奈川県は横浜市の中高一貫校に通っていた。よりにもよって男子校だ。"中高一貫"で"男子校"ともなると世も末だ。だらけきっていて目も当てられない。ティーンネージャー真っ盛りのガキンチョがほぼパンツ丸出しで腰パンをしていた。踏み潰した黒い革靴をパカパカと鳴らしながらオラウータンのようなオラオラ歩きをしていた (くだらないですね)。あるものはバンドに目覚め、あるものはタバコに火を付けた。そして多くは (ティーンネージャーの多くがそうであるように

          クニさんから学んだこと -そのミスだけはしちゃだめよ-

          その封筒を開けてはならぬ

          あれはもう7年前の話だ。ぼくは当時アマゾンジャパンという会社で働いていた。ぼくはAmazonの商品の中でもギターやピアノ、はたまたスピーカーなどを取り扱う楽器・音響機器の事業部に属していた。いわゆる営業っぽい仕事で、メーカーさんに商品を登録してもらってそれをAmazonのWebサイト上でどのように売り出すか考えて施策を実行する。そもそもが音楽が大好きなこともあってこの仕事はとても性に合っていた。取引先のスタジオを訪れて宣伝用の動画を撮ったり、Amazon内外の広告活用について

          その封筒を開けてはならぬ

          トイプードルを預かったら人生変わった件

          どうしたものか。2匹のトイ・プードルがなんでぼくの部屋にいるのか。この独身アラサーの寂しい男(つまりぼくのこと)を健気に見つめるこの4つの瞳は一体なんだ? 話は2020年に遡る。当時の日本は(というか世界はというべきかもしれないけれど)コロナ真っ只中だった。 ぼくはその頃アマゾンジャパンという会社で働いていて(Amazonの日本支社)日本で開催するプライムデーの全体を統括するプロジェクトマネージャーをしていた。プライムデーとはプライム会員向けに実施する年に一度のビッグセー

          トイプードルを預かったら人生変わった件

          レゴの贈り物 -ぼくの仕事の原点-

          みなさん習い事ってしてましたか?ぼくはしてました、人並みに。プールや公文 (KUMON) に精を出していた…とは言わないまでもそれなりにやっていた記憶がある。小さい頃ってなんだか大人になる通過儀礼のようなものとして習い事が存在していた気がする。そんな習い事の一つにとても思い出深いものがある。 小学校1年生だったか2年生だったときのこと。ぼくはエレクトーンを習っていた。エレクトーンとは電子オルガンの一種で鍵盤が上下段に分かれて並べられていて足元にたくさんのペダルが配置されてい

          レゴの贈り物 -ぼくの仕事の原点-

          "やりたいことをやる"という罠

          人生で最初に買ったCDアルバムはなんですか? そんなことを聞けば「今更CDなんて」とぶつぶつとこぼしたくなる人もいるかもしれない。されど30代以上の皆様。きっと人ぞれにCDアルバムにまつわる思い出を一つや二つは少なくともお持ちという人もいるはずだ。ある人はレッド・ツェッペリンの、ある人はHi-STANDARDの、またある人はプッチモニ (つんく♂プロデュース) の思い出と共にあるかもしれない。いずれにせよ、この世に生を受けてはじめて買ったCDとなればなおのこと記憶に残ってい

          "やりたいことをやる"という罠