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シカゴ旅行記 -MBAはお高いのね-

Amazonの同僚のエンジニアと飲むことがあると旅行の話になることが多い。アメリカ人の同僚は週末を利用したり有給を使ったりしてアメリカ国内のいろんな都市をふらっと遊びに行っているようだ。「なるほど、そうやってリフレッシュしてるのねん」と感心した覚えがある。ぼくが東京に住んでいたときは週末にふらっと沖縄や北海道に行くということすらなかったから、なんだか随分と狭いところであくせくしてたのだなと思ったりする。

それはともかくとして、同僚のアレックス (以前こちらの記事で紹介した若手のナイスガイ) に「アメリカの都市で旅行するならどこがおすすめー?」と気軽に聞いてみた。「そうだな」と少し考える素振りを見せた後、彼はそのイタリア系っぽいワイルドなイケメンをこちらに向けてこう言うではないか。「うむ、やっぱりシカゴだな」と。

「なんでシカゴがいいのー?」とこれまた軽く聞き返してみる。すると思いがけず答えに窮した。

やや間をおいた後「うーん…まあ大都市だからよ。広いしデカくてすごくいいんだよ。うん。」と少し突き放したようなトーンでこう答えた。

今思うとなんて大雑把な答えなんだろうと笑ってしまう。だけれども、この「大都市はやっぱり凄い」という純粋な言い回しには何か引っ掛かるものがあった。魚の小骨が喉に引っかかってしまったような感覚で落ち着かない。これはもう行くしかない。

そんなわけで。シカゴにふらっと旅行してきました。2023年の10月20日(金)から22日(日)の二泊三日のぶらり旅。写真を交えながら振り返ってみる。

やっぱり大都市だった

ぼくが住んでいるシアトルからシカゴまでは飛行機で4時間半ほど。シカゴの空港からダウンタウンまでは電車が出ており1時間弱ぐらいで着く。

ダウンタウンにいざ到着。電車を降りて外に出てみる。飛び込んできた光景はゴクリと唾を飲むものだった。

クラシックで趣のある街並み

まずシアトルに比べると高いビルが圧倒的に多い。そしてどのビルもそれなりに年季が入っていることが見て取れる。クラシックなデザインは威厳と確かな説得力を持ち合わせていて文句のつけようがない。荘厳で迫力がある。ピカピカの建物が並ぶ銀座や新宿などともなにかが違う。

ホテルに荷物を置いて軽く街を散歩してみる。するとダウンタウンの敷地もシアトルのそれよりも断然広いことがすぐに分かる。それに比してレストランやバーの数も圧倒的に多いことが分かる。これは楽しそうだ。

この時点で「大都市だから違う」という点は痛いほど分かった。アメリカは都市によってスケールがうんと変わるから、シンプルであれど決定的な違いを作るのだ。もちろん大きければいいというものではないけれど。

ノースウェスタン大学

観光先としてまず向かったのはノースウェスタン大学だった。知り合いがKellog School of Management (ケロッグ経営大学院)というこの大学のMBAに通っていたのでせっかくなので案内してもらうことにした。

アメリカの大学はどこも綺麗で壮大な感じがして昔から好きだった。通う予定もないのにアメリカを旅行するときには好き好んで大学を訪れていたな、そういえば。ハーバード大学とかマサチューセッツ工科大学とか、どこも見て回るだけで惚れ惚れするような美しさだったな。

今回訪れたノースウェスタン大学も例外でなく、とてもとても美しかった。「あーぼくもこんな校舎で勉強してたらまた何か違ったのかもな」なんて思ってしまう。

歴史と品の良さを感じさせる素敵なキャンパス
なんだかヨーロピアンな校舎

大学の敷地からミシガン湖、そしてそこから臨めるシカゴのダウンタウンの景色が一望できる。うーむ、これはエモい。きっとここの学生は卒業した後にこの景色をすっと思い出すことがあったりするのだろう (勝手な想像だけど)。ハンモックを吊るして読書をしている輩なんかを見ると、なんだか大学を卒業した後にいろんな大事なものを失ってしまったような感覚に陥る。

うっすら見えるダウンタウンがとても綺麗
大学生っぽくていいなと思いつつ、「ぜったい集中できないだろ」とか思ってしまう

ケロッグMBA

キャンパスの奥まで歩を進めると、近代的でどこか浮いたビルが現れた。見た瞬間に「これがMBAだな」とすぐ分かる。なぜならどう見ても金がかかってそうだからだ。きっと優れたビジネスマンとなった卒業生から献金を集めてリッチな建物を建てたのだろう。事情は知らないけれど、そんな気がする。

突如としてモダンな建物が現れた、と思ったらMBAの校舎だった

中に入ると、段々畑ならぬ段々階段が目に入る。学生がだらっとした姿で友達とだべったり、課題にせっせと取り組んだりしている。はたから見るとゆったりしているように見えるのだけれど、MBAの学生はたくさんの課題をこなしたり、インターンの準備をしたりでとても忙しいとのこと。

階段でたわむれるMBAの学生

ケロッグの日本人の学生と合流していろんな話を聞く。MBAは一学年にたくさんいるようだけど (それこそ何百人とかの単位で) 日本人は10人もいないといった具合のようだ。皆選ばれしものということだろう。MBAの門戸をくぐる理由は人ぞれぞれのようで、アメリカでの就職を目指す人や日本の会社から社費留学で来る人など様々な様子。

これから世界で活躍していくビジネスマンの卵が二年間に渡って切磋琢磨する。MBAの授業はどんどん進化しているようで、往年のマーケティングやファイナンスの授業に加えて、仲間と一緒にものを作るようなプログラムもあるのだそう。クリエイティブでなかなか楽しそうだなと羨む自分がいる。

ラボって感じでカッコいい

以前こちらの記事にも書いたけれど、ぼくはアメリカのMBAを検討したもののその選択肢を取らなかった。その理由はMBAに行ってもアメリカで働ける保証がないこと、そしてMBAにそもそも入るための受験勉強がめんどくさすぎてぼくにはムリだったことだ。

だからといってMBAの選択肢自体に懐疑的なわけではない。MBAを経てアメリカでのキャリアを切り開く人も当然いる訳だし、それぞれが自分の状況にあった選択肢を取ればいいだけだと思う。

そして何よりも会社の枠を出ていろんな国のいろんなバックグラウンドの人と素敵な時間を過ごす。そんな有意義な二年間は人生にあって然るべきじゃないか。こうしてMBAの学生さんたちと話しているうちにどんどん「MBAって素敵だな」という気持ちが高まっていく。授業料を聞くまでは。


「で、二年間でどのくらいお金はかかるものなんですか?」とふらっと日本人の在学生に聞いてみた。少し苦笑いを浮かべた上でこう返事が戻ってきた。


「うーん、授業料だけで3,000万円ぐらいですね。。生活費も含めるとなると4,000万円とかですかね…」




「え、4,000万円!‥‥‥そーーーれは考えものですね。」




コロッと手のひらを返してしまった (笑)。どれだけ質の高い経験を提供されたとしても、"費用対効果"というものを考え始めてしまうと首を傾げてしまうところがどうしてもありそうだ。ただ本当に大事な経験ってそもそも費用対効果なんてものは考えないだろうし、すべては自分がどう捉えるかだよな、と思い至ってこの話はおしまい。

カフェテリアでMBAの学生が楽しそうにおしゃべりしている

毎週金曜日の夜にはMBAのカフェテリアで無料 (ただ) でビールが飲めるというではないか。それならばと思い一緒に美味しく生ビールをいただくことに。

話を伺ってみると、無料とはいえこれもきっちり学費から賄われているみたいだ (笑)。「うむ、そりゃそうだよね…」とか思いつつ、学生さんと一緒にビールをくいっと飲み干す。MBAの学生生活がチラッと垣間見える素敵な夜だった。

Kingston Mines (キングストン・マインズ)

帰りにはシカゴを代表するブルースのライブハウス、キングストン・マインズを訪れる。

シカゴで毎夜ブルースが演奏されるバー

ブルースと聞くとギターが好きなおっちゃんが集まっていると思われるだろうが (なんならぼくはそう思っていたけど)、意外にも若い人も女性もたくさんいた。そして腕を組んで真剣な眼差しで食い入るように演奏を観るといったものではなく、どこまでもリラックスしている。皆ビールをちびちび飲みながら、ある人は静かにステージに体を向け、ある人は隣の席の人とダベったリしている。「週末なので飲みに来ちゃいました」という程度の気軽さが好感を呼ぶものだった。

ステージではもちろんブルースの曲が演奏される
みんな演奏を聴いたり聴かなかったりで人それぞれ

息を呑む夜景

ブルースで心地良くなったのもあってか、なんだか歩いて帰りたくなった。Uberでホテルまで戻るところを途中で降ろしてもらい、夜風にあたりながらシカゴのダウンタウンを歩く。

橋を渡るところでそういえば明るいなと気づく。光の差す方に体を向ければ、そこには大都会の夜景が。あーーーこれは綺麗だな。

この街は夜にまた別の顔を持っているみたい
言葉をなくすほどの美しい夜景

最後はもちろん、シカゴと言えばここでしょ、というところで一日を締めくくる。お腹いっぱいなシカゴ旅行一日目でした。

夜景に華を添えるシカゴ劇場のネオン

今日はそんなところかな。

それではどうも。お疲れたまねぎでした!

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