新規事業のセオリー_フェーズⅢ.2. 顧客パートナー開拓
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新規事業のセオリー_フェーズⅢ.2. 顧客パートナー開拓

前平秀志 | 新規事業@副業コンサルファーム

「新規事業を創ること」はとても難しいことであり、とてもとても楽しいことですね。このnoteが「新規事業を創る楽しさを、皆さんと共有できる場」になることを期待しています。

新規事業のセオリーでは、新規事業創造のステップをフェーズ毎に区切って連載していきます。記事の最後に全体像(連載目次)を記述しています。


フェーズⅢ : 仮説検証    2. 顧客パートナー開拓

仮説検証フェーズの第一歩は「顧客パートナー開拓」です。顧客の課題を真に理解し、解決につながる製品やサービスを開発するには、顧客の現場に入り込まなければいけません。

顧客パートナーを作らなくてよいケースがあります。それは自社が実験場になるケースです。自社の課題解決に繋がった製品やサービスを外販する方法であり、とても有効な手段です。競合他社に販売する可能性もあるので、競争につながるコア部分を外すケースが多いです。

それでは、顧客パートナー開拓に関する実践的な方法を記述していきます。


(1)選定基準

まず顧客パートナーは1社が良いと考えます。複数のパートナーを持ち、それぞれアドバイスをもらいながら進めることも可能ですが、「アドバイスが相反する場合、どっちを採用するのか」や「対応する業務が2倍になる」などのデメリットも多く、プロジェクトを進めるメンバー等の気持ち的にも、信頼できるパートナー1社に絞ることをお勧めします。

顧客パートナーは仮説設計フェーズで行った「第一次フィールドリサーチにて高評価をいただいた企業」が有力候補になります。(第一次フィールドリサーチの詳細はこちらをご覧ください)

高評価だった企業からは「いい物が出来たら持ってきてよ!」という感じの言葉を、きっともらっていると思います。これがあると協力の依頼がとてもスムーズです。

顧客パートナーの選定基準は大きく4点です。
① 試作開発に関わる顧客内の業務や情報を開示してくれること
② 表面的なやりとりではなく悪い点や改善点を率直に指摘してくれること
③ 順調に本番リリースができた時には、社名を出して販売促進の協力をしてくれること
④ 新製品やサービスがたくさん売れることで、同じ課題で困っている同業者が喜ぶことを、心底望んでいること

①、②、③はそのままストレートにご依頼し承諾を取ります。④については「この製品が売れることで、貴社の競合他社の課題解決につながり、貴社のデメリットになることも想定されます。この点はどう思われますか?」と先方の決裁者に聞いて確認することをお勧めします。「そんなことは気にしない。困っている同業者が喜べば嬉しいし、何なら同業者を紹介するよ!」と快い返事をもらえる方とは、良いパートナーシップを築けると思います。


(2)開拓方法

顧客パートナーを開拓するために、開発業務提携という形で提案書を作成します。基本的な内容は下記のようになります。

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ここで一番重要な内容は、「1. 私たちが目指していること」つまり、自社のビジョンに共感いただけるかどうかです。新規事業の目的は「自社のビジョンの実現」です。(詳細はこちらをご覧ください)

「この度の新規事業創造を通じて、●●●のような社会を実現したいと強く願っています!」と冒頭に先方の決裁者に対してプレゼンし、「素敵なビジョンですね」とか、「当社のビジョンにも通じますね」など、共感するコメントを頂けるかどうかが、とても重要です。ここの部分の共感がないと、先方も「とても忙しい中でなんで協力しているんだろう」とか、「私たちにメリット少ないよね」とか、不満や損得勘定が前に出てしまい、結果として良い試作品開発が出来ないことを私自身、経験してきました。「あんまり共感していただいてないなぁ」と感じる場合は、こちらから打診しておいて失礼ですが、うまく提案を取り下げることがいいと思います。

次に重要なことは「5.貴社にご依頼したいこと」にて、依頼内容を具体的にはっきり全て伝えることです。基本的に相手は協力する側ですので、「何をどのくらい協力すればいいのか」を明確し知りたいのです。特に現場の方々は、「その協力をすることで、どのくらいの時間や労力を費やすのか」、「日常業務に支障の無い範囲内で対応できるのか」を確認したいのです。最初にはっきり伝えずに、後出しであれもこれもと依頼すると不信感につながり、取り組みがうまく進まない原因になります。

「この取り組みにはとても共感できるし、これくらいなら協力するよ!」という前向きな雰囲気で、スムーズに開始できることが理想です。


(3)契約締結の注意点

1つ目のポイントは「8. 費用に関すること」にて記載する内容です。基本的には試作開発への協力をお願いするというスタンスですが、とはいえ、先方へのメリットが何も無いと、先方の取り組み姿勢が消極的になってしまいます。そこで私の場合、「試作開発を終え、予定通り本番リリースした後、継続的に無償で活用頂ける権利」を提供します。また試作開発に関して原則、先方に費用負担させることは無いと明言し、費用面での不安を取り除きます。

2つ目のポイントは「9. 知的財産権に関すること」です。試作開発を行う中で、たくさんのアドバイスを受け、改良していきます。このアドバイスに含まれる知的財産権を先方に全て放棄いただき、(もしくは使用権だけ提供し)自社が所有できるように了解を取ることです。

本番リリース後のライセンスフィーの支払いやレベニューシェア等の契約を締結する方法もありますが、まず本番リリースまで無事に辿り着けるかわかりませんし、他者からのアドバイスの反映の場合はどうするかなど、懸念すべき事項が増えていきます。新規事業創造において、やるべきことがたくさんある中で、この部分に労力を費やすのは、私は得策だと思いません。よって、この部分ですんなり進まない相手には、こちらから打診しておいて失礼ですが、うまく提案を取り下げることがいいと思います。

顧客パートナーが決定すると、いよいよ仮説検証が始まる実感が湧いてきます。社外に仲間が出来た喜びもあってプロジェクトメンバーも喜び、活性化していきます。そして、ここから顧客パートナー先の現場との行き来が始まり、一気に忙しくなり、第二次フィールドリサーチの終了まで走り続けることになります。「新規事業創っているなぁ」と最も実感する時期になると思います。


「 フェーズⅢ : 仮説検証  2. 顧客パートナー開拓」はここまでです。
次回は「 フェーズⅢ : 仮説検証  3. 試作開発 」について記述します。

私自身も本業では実務者として、副業ではコンサルタントとして、新規事業創造に日々悩み、日々楽しんでいます。このnoteが新規事業に挑戦している皆さんのお役に立つことを願ってます。一人でも多くの新規事業に関わる方々にこのnoteが届くように、Twitterでのリツイートの協力よろしくお願いします。

「新規事業のセオリー」目次(案)

フェーズ0 : 定義と目的
1. 新規事業の定義 (掲載済) 
2. 新規事業の目的 (掲載済)
3. 新規事業とDX (掲載済) 

フェーズⅠ : 方針策定
1. 方針の定義と構成要素 (掲載済) 
2.Misionと内部資源(掲載済)
3.事業規模と投資方針(掲載済)   
4.フェーズとマイルストーン(掲載済)   
5.推進体制とメンバー選任(掲載済)
6.方針策定のまとめ(掲載済)         

フェーズⅡ : 仮説設計
1. 仮説の定義と構成要素(掲載済) 
2. 市場動向調査とアイディア創出(掲載済)
3. 類似サービス調査(掲載済) 
4. ターゲット顧客と価値の仮説(掲載済)       
5. 価値の経済的効果仮説(掲載済)        
6. 市場規模仮説(掲載済)     
7. 価値提供する機能の仮説(掲載済) 
8. 競合との優位性仮説(掲載済) 
9. 第一次フィールドリサーチ(掲載済) 
10.機能実現の技術力調査(掲載済) 
11.リスク調査(掲載済)           
12.試作開発計画(掲載済)            
13.第一次投資回収計画(掲載済)  
14.第一次事業性評価(掲載済)       

フェーズⅢ : 仮説検証
1. 検証の定義と構成要素(掲載済) 
2. 顧客パートナー開拓                  ←今回
3. 試作開発                                       ←次回予定

4. 第二次フィールドリサーチ
5. 価値と経済的効果検証
6. 顧客の市場規模検証
7. 競合との優位性検証
8. 製品・サービス名称の決定
9. 知的財産権の調査
10.仮設検証のまとめ

フェーズⅣ : マーケティング計画
1. マーケティングの定義と構成要素
2. 製品・サービス戦略
3. 価格戦略
4. プロモーション戦略
5. チャネル戦略
6. 第二次投資回収計画
7. 第二次事業性評価
8.マーケティング計画のまとめ

フェーズⅤ : 立ち上げ
1. 立ち上げの定義と構成要素
2. 立ち上げ計画(撤退判断)
3. 正式開発
4. テスト販売
5. リリース
6. 運用改善サイクル
7.立ち上げのまとめ

最後に
1. 新規事業の手段としてのM&A
2. 新規事業の手段としてのDX
3. 新規事業での経営者の役割
4. 新規事業を担う人物特性
5. 新規事業を楽しむ

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前平秀志 | 新規事業@副業コンサルファーム
◆IT企業/事業開発・コンサル(在籍4年):副業でコンサルプラットフォーム会社/社長 ← 情報通信会社/社長(11年) ← コンサル会社/コンサル(6年) ← 保険会社/営業(6年) ◆MBA・中小企業診断士 ◆「新規事業を創ること」は難しいことであり、同時にとても楽しいこと。